AIMYON TOUR 2020“ミート・ミート”に行ってきた

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 12月12日土曜日。さいたまスーパーアリーナあいみょんのライブに行ってきた。さいたま新都心駅へは何度も来ているがスーパーアリーナへ入るのは初めて。ライブへ行くのも、20年くらい前にエアロスミスのライブで東京ドームへ行ったきりだからほぼ初めてといっていい。

 

なぜコロナ第三波の今ライブなのか。なぜあいみょんなのか。まずはそのことから書いておく。答えはもちろんあいみょんが好きだから、これに尽きる。しかし好きと言っても聴くようになったのは今年の夏くらいからであってニワカもいいところである。アマプラミュージックのおすすめリストに「マリーゴールド」が入っていて、テレビをほとんど見ない自分はそれがどんな曲なのか全く知らずに再生した。これがあいみょんを聴いた最初だった。とてもいい曲だと思った。そしてちょっと懐かしい感じもあった。自分がまだ音楽をよく聴いていた90年代のスピッツのような…。あいみょん、ってなんか聞いたことがあるミュージシャンだな、こんないい歌を歌うのか。それから意識して聴くようになった。といっても感性が擦り切れた40過ぎ独身中年のこと、夢中で音楽を聴くということはあまりなく(もし自分に中学生くらいの子供がいればそっち経由でナウなヤングのカルチャーを摂取する機会もあったのかもしれないが)、なんとなく思い出した時に車でかけるとか仕事の休憩中にスマホで聴くとかの程度だったが。いい曲が多いし、好きだと思ったが、ライブへ行くなんてことは考えてもいなかった。

 

ある朝、通勤途中で毎日寄るローソンへ寄ったらあいみょんのライブの告知が貼ってあるのを偶然目にした。あの頃はコロナ感染が割と鎮静化していた頃だったか、それともすでにニューノーマルなライフスタイルに慣れきっていた頃だったか、現在ほど悪い状況ではなかったから、ふと、行ってみるか、という気になった。東京ドームや横浜アリーナでは遠くて行く気にならなかっただろうが埼玉県内ならいいか、と軽い気持ちだった。ステイホーム続きでストレスが溜まって、突発的に何か新鮮なことをしたくなったのかもしれない。どうせチケットサイトは混雑して繋がらないだろうと思ったらあっさりチケットの予約ができたのは拍子抜けだった。そのあとはYouTubeでライブ動画をちょくちょく見てはいたが、特に予習もせず、多分知っているのは10曲くらい…という状況でライブ当日を迎えた。

 

同行者は元?ジャニーズファンなのでライブには何度も行ったことがあるがさいスパ(たまアリ?)は初めてだという。道々、声出しできないライブってどんな感じだろうか、という話をするが共に想像もできず。チケット予約からライブ当日までに新型コロナ感染者数は増悪しており正直今この時期にライブに行くことへの後ろめたさのようなものは少なからずあった。しかしライブは映画館と一緒で全員が一方向を向いているし、会場は換気を最大限にしているというし、映画館でクラスターが発生していないことを鑑みるにリスクは高くないように思えた。一席空け販売、会場での食事販売なし、時差入退場制、cocoaのダウンロード必須(確認はされなかったが)など主催側も最大限に配慮していた。500レベルの一列目という自分たちの席は鑑賞という点では遠くて微妙だが、密を避けるという点ではいい席のようにも思えた。

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500レベルからの眺め。ステージ遠い。

 

会場は密を避けるため時差入退場制。自分たちは最初の組で16:30過ぎに入場。18:00の開演まで長くて辛かった。500レベルは最上階席でステージがめちゃくちゃ遠く、ステージ上の人の顔は認識できない。倍率8倍の双眼鏡を持っていったがそれでもぼやけてステージ上はよく見えず、両サイドのスクリーンが頼りだった。

 

18:00ちょっと過ぎて開演。セミロングのあいみょんがステージに登場。一曲目は「黄昏にバカ話をしたあの日を思い出す時を」。生で聴く音楽は想像していたより迫力が凄い。音源と全然違う。音源だと歌声がメインになるけれどライブだと演奏の音がかなり大きくなるので曲の印象が少し違った。レーザーの演出が派手でショウとして面白い。光と音のショウ。第一印象は「ミュージックステーションを生で見ているみたいだ」。なんだそりゃという感じだが、ステージから遠過ぎるのでスクリーンを見ていると、ライブに「参加」しているというより「鑑賞」している気分になる。生来の引っ込み思案というか自意識過剰というか、手を叩いたりとか振ったりとかのリアクションに気恥ずかしさがあって乗るのに消極的になってしまったのは反省点。発声禁止だから観客は身振りと拍手くらいしかできることはないというのに。

 

7割くらいは初めて聴く曲だったけれど、生演奏の凄さ、全然飽きずに見て聴いていられる。結構ハードめな曲が多くて(「さよならの今日に」みたいな感じのロックっぽい曲)、ポップな音楽という印象があったから、これがあいみょんなんだ、という意外な発見があった。中盤の「愛を伝えたいだとか」から「マリーゴールド」を経て「君はロックを聴かない」の流れには動悸が物凄くなった。「愛を伝えたいだとか」が赤いレーザーでめちゃくちゃかっこいい演出で、聴き終わったあと呆然としていたら聴いたことのあるメロディーが流れてきて、でもそれが何だか分からなくて、歌を聴きながら「これなんて曲だっけ…」と呆けていたらサビで「あ、マリーゴールドか、なんでこれがわからなかったんだ」と自問するくらい「愛を伝えたいだとか」に圧倒されて酩酊してしまった。その二曲を経てからの「君はロックを聴かない」でめちゃくちゃアガった。この日一番盛り上がった曲じゃなかっただろうか。帰宅してから同じ順番で音源を再生したけれどあんな圧倒されるような感動は全くなく、ああいう高揚体験がライブの醍醐味なんだろうと思った次第。

 

MCが多くて楽しかった。埼玉でライブするのは初めてだそうで、そのステージを見られたのは記念になってよかった。印象的だったのは、上京してきてから下積み時代があったから今の自分がある、みたいな話と、終盤の、いくつになっても歌手でいるつもりだから、おじいちゃんおばあちゃんになっても聴きに来てくれ、みたいな話。ステージ上では堂々としていて貫禄すら漂わせていたがまだ25歳とかなんだな、それが一番の驚きだった。トータルで20分くらい喋ってくれたけれど、あいみょんは一言も「コロナ」とは口にしなかった。終演後そのことを同行者に言ったら、「当然でしょ」という返事。なぜかと訊ねたら、「現実を忘れて今このひとときを楽しんで欲しいからでしょ」。

 

退場も時差。自分たちは最初の組で退場し、グッズ売り場でTシャツとタオルを買った。けやき広場はイルミネーションが綺麗だった。あいみょん、来年もさいスパでライブをやってくれるならまた行きたいと思った。次はちゃんと予習をして、ちゃんと手を振りたい。

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