映画『孤狼の血LEVEL2』を楽しみ、映画泥棒に遭遇する

ユナイテッド・シネマ入間12:00からの回で鑑賞。観客は30人弱程度。前作が面白かったので続編の公開を楽しみにしていた。端的な感想としてはかなり面白かった。見る前は松坂桃李の前作からの豹変ぶりを楽しみにしていたが、実際に見たら鈴木亮平が完全に主役を食っているように思えた。やってることがめちゃくちゃで、ヤクザというより猟奇殺人鬼かテロリストだった。「何もかもぶっ壊れりゃええんじゃ」とか暴力の行使そのものが目的になってしまっていて、エンタメとしては面白いんだけどやり過ぎの感なきにしもあらず。彼の存在も恐ろしいが、警察組織の陰湿さも怖い。ラストの、カーチェイスからのタイマンは熱い。松坂桃李は確か大学の空手部出身という設定だったと思うが、負傷の上に両手が塞がっている状態ではさすがに立ち回りにキレがない。死神なんていない云々という台詞に、『チェンソーマン』の「必要な悪には国家が首輪を付けている」という台詞を連想したり。最後の銃撃、三発目だったか、不自由な両手で狙いすます仕草がかっこよかった。

 

鈴木亮平が凄すぎたのであって、松坂桃李もよかったし、滝藤賢一も前作とはキャラが変わっていて面白かった。逆にベテラン勢の演技はイマイチ迫力がなかった。平成三年の広島が舞台なのにあまりその雰囲気がなかったのは物足りなかった。コロナ禍によりロケに色々制約があったのかな。あとこれはかなり残念だったのだが、全体的に音が小さく何度か台詞が聞き取れなかった。自分の耳が悪いだけか? 最後の山狩りは蛇足。ニホンオオカミを見たという通報に、オオカミはとっくの昔に絶滅した、でももしかしたらまだどこかに生き残りがおるかもなあ、とか言って役所広司の形見のライターでタバコに火を点ける、みたいなありきたりな終わり方でよかった。とはいえいい映画であるのは間違いなく、見終わって満足。今年は『すばらしき世界』『あのこは貴族』『ドライブ・マイ・カー』と邦画の当たり年。逆に洋画は『プラットフォーム』くらいしかいいと思えたのがなく不作気味。

 

で、今日人生で初めて映画泥棒に遭遇した。ユナイテッド・シネマ入間シアター4のC1とC3の二人組。映画が始まるとやたらスマホを光らせて、C1のたぶん男が何度もシアターを出たり入ったり。初めトイレかと気にしなかったが、繰り返すうち何やってんだと。チェーンを付けているらしく出入りするたびに金属音がして目立つ。やがて上映から30分くらい経ったら出て行ったきり戻ってこなくなり。それきり忘れてまた映画に集中していた。残った方はたまにスマホを光らせて、正直上映中こんなに頻繁にスマホをいじる客自体初めて見たので若干ムカついたが、ずっといじっているわけでもないのでなるべく気にしないようにしていた。すると終盤のカチコミのシーンくらいで出て行った男がまた戻ってきて、スマホいじり始めて、松坂桃李が警察を脱走するシーンで二回カメラのフラッシュが点滅した。どっちが撮ったのかは知らん。それを見て、あーこいつら客じゃなかったのか、つーか映画泥棒って実在するんだ、と。どんな顔してるのか、上映終了後明るくなったら確認しようと思ってたのにエンドロールでさっさと退出してしまった。金払って途中退席とか、スマホいじりとか、コロナ禍の中わざわざ映画館に出向くくらいなんだから映画が好きなんじゃねーのかと思うんだがなんなんだろ。真っ暗な中スマホで撮影したってろくな写真撮れないだろうに、そんなもんが何の役に立つのやら。

 

今日の上映は、クライマックスのシーンでおっさんがスマホ光らせたり、何度もスマートウォッチ光らせる奴がいたり(そのくせエンドロールで退出していくときは前傾姿勢でまだいる客の邪魔にならないように出て行った。気を使うとこそこじゃねーだろ)、行儀のよくない客が多かった。30人程度でこれって割合的にかなり高いのでは? 新宿や渋谷など都心部の映画館でブロックバスター映画を見るとスマホいじる客は珍しくないというが、ここ埼玉県入間市だからなあ…。以前ここで『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を見たときは観客全員行儀よくてびっくりしたものだが、客層が違いすぎるか。『ヤクザと家族』は客層普通だった。『アウトレイジ最終章』の時はどんなだったか…もう忘れた。だから今回は忘れないように記録として残しておく。映画がよかっただけになおのこと残念というかムカつくというか、もやる気持ちが残る。

 

しかし昨日以下のエントリを読んで執筆者の感性を怖く思ったのだが、もしかすると自分もまた神経質過ぎる変な客なんじゃ…俺がおかしいだけでは…という気もしてくる。俺に映画館は向いていないのかもしれぬ。

 

映画館は危険だわ

怖いよ。

2021/08/27 15:37