映画『ちょっと思い出しただけ』を見た

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冒頭、夜の都内のショットが綺麗で引き込まれた。登場人物がマスクをしていたり、タクシーには2020オリンピックの表示があったりと同時代性が感じられて好印象。回想に入るまではかなり面白い。描かれる別れた男女それぞれの日常。バーで誕生日ケーキを食べるところとか、助手席に置いた花を客の離婚祝いにあげようとしたりとか、ユーモラスなやりとりは声出して笑ってしまうほど。でも中盤以降の、かつての二人の熱愛っぷりは…ちょっとうんざりした。今時の、等身大な恋愛模様なのかなあとか、おっさんにはわかるはずもなく、ひたらすら繰り返されるカジュアルなイチャイチャを見せられ苦痛すら覚えた。ユーモアもしつこくて鼻につくように。この映画は男女が別れた時点からスタートして、二人が愛し合っていた過去を思い出していく構成。だから二人の別れがしんどいものであればあるほど愛し合っていた過去が輝くのだが、タクシー内での喧嘩を見た限り別れた原因はちょっとしたボタンの掛け違いとしか思えなくて、だから幸福だった過去の回想効果が弱い。タクシー内で『ナイト・オン・ザ・プラネット』の真似するシーンとか、来年プロポーズしようかなとかのシーンは見ていて苦痛だった。なんならちょっと目を瞑ったりしていた。でもああいうシーンに自身の恋愛の過去を「ちょっと思い出す」観客もいるのかもしれない。そういうものがない自分にはまったくピンとこなかったが。

 

主人公が今も猫と暮らしているアパートは、かなり年季が入っていて物も多いのにおしゃれな感じがあってよかった。池松壮亮のダンスをもっと見たかった。ラストの、その後の二人の姿に『秒速5センチメートル』の第三話がダブった。以上そんなところ。