『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』を読んで自分の投資を振り返る

 

 

本書のオリジナル版が自分が初めて買った投資の本だったと思う。しかし買って読んだものの投資を始めるには至らなかった。前の会社に勤務していた頃だから2010年頃か、ズブの初心者には証券口座を開設するのがハードル高く感じられた。当時の労働環境が結構ハードで心の余裕がなかったというのもあったかも。2012年、転職した今の会社で確定拠出年金をやるようになって投資の要領が少し理解できた。確定拠出年金を始めた2015年は一年間ほぼずっとマイナスか微増だった記憶がある。かといって売却はできない。結果的にはそれが下落に耐えるメンタルを培ってくれたように今は思う。確定拠出年金がいい投資入門になった。自分の証券口座を開設するのはそれから2年後の2017年。その間、ずっと生活防衛資金を貯めていた。水瀬ケンイチさんのブログでは生活防衛資金は生活費の2年分を見ておくべき、とあってそれを愚直に実践していた。今振り返ると投資しながら生活防衛資金を貯めていく同時進行スタイルの方がベターだったと思う。当時すでに自分は30代後半にさしかかっていたから2012年から2017年の期間の複利を得られなかったのは大きなマイナスだった。ひたすら資金を貯めている間に投資の本やブログを結構読んだ。そのうちとくに印象に残っている本は以前まとめた。以下の記事の5冊プラス「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」が自分の投資スタイル(大層なもんじゃないが)のベースになっている。

 

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『第2版』は著者二人の異なる見解が書かれているパートがあったが本書『第3版』では意見は統一されよりシンプルに。「ほったらかし投資の公式本」を目指したとあり、オリジナル版を初めて読んでから10年以上、その間に自分の知識・経験が増したからという理由もあるかもしれないが、改訂されるにつれ明快になっていると思う。インデックスファンドへのほったらかし投資に関してはこの『第3版』一冊を読んでいれば十分とすら思える。本書の著者二人の意見のすり合わせに関して意外だったのが生活防衛資金に関する部分。山崎さんは生活費の3ヶ月から半年分くらいでいいと、上でも述べたが水瀬さんは2年分はあった方がいいと、かねてより主張していた、と思う(『第2版』でも意見が分かれていた)。それが本書では3ヶ月から半年分に統一されていた。下落局面でも心の余裕を保てる効用があるので自分は当面2年分をキープしようと思っている。

 

水瀬さんは20年かけたインデックス投資で先頃資産1億円を達成した(著書の印税などでもっと早く到達してそうに思ったが)。経済的独立を果たした今、会社で仕事をしていても精神的に余裕を持って働けているという。

 本来あってはいけないことですが、万が一、会社から不正を働くように強要されたり、そこまでではないとしても、人としての尊厳や人格を否定されるような要求をされたりしたときに、 躊躇 なく「NO」を突きつけられる心の余裕。なんならお偉いさんに辞表を 叩きつけて、文句の一つでも言って、そのまま辞めてしまうこともできる。大ケガや大病をして長期間働けなかったとしても、生活の心配をすることなく治療や療養に専念することを優先することができる。

 会社から自由になる。それが経済的独立の一面です。

 

嫌な仕事を、仕事だと割り切れることもまた、経済的に独立した人の強さの一つだと思います。

 

まとまったお金があれば選択肢を増やせる。そのことから生まれる心の余裕。自分も無職一人暮らしを経験しているから定期収入が途絶えたことによる生活の不安がいかに人間のメンタルを圧迫しストレスになるか身をもって知っている。それから解放されるのは大きい。あの不安を体験しているからこそ投資に興味を持ったのだから無駄ではなかったと思うが。

 

『第3版』では投資対象のファンドはたった一つの商品に絞られる。自分も昨年の春から毎月積み立てているemaxis slim全世界株式。それまではニッセイのとかemaxis slimのS&P500を積み立てていたが今後のリバランスを考えたら面倒くさくなり、その必要がない全世界株式一本に変更した。「長期、分散、低コスト」の投資の三条件を満たしているのでこれでいいだろうと。未来はわからないが将来も現在のようなインデックスファンドのラインナップならずっとこれを積み立て続けるつもりでいる。

 

本書の構成は水瀬さんによるインデックス投資20年の実践記、山崎元さんによるインデックス投資の理論、証券口座開設の手順など、これから投資を始めてみたいと思う人の入門書として、あるいはこれまで書かれた多くのインデックス投資あるいはほったらかし投資の総集編的な本として、最高の一冊だと思う。自分が本書でもっとも楽しく読んだのは著者二人が質問に答える章。「ほったらかし投資でFIREできるか」「一括投資とドルコスト平均法のどちらが有利か」「ほったらかし投資のベストな終わらせ時はいつか」などの多くの質問に対して真摯に回答されている。証券会社のポイントサービスをどう考えるべきかについても書かれていて、自分と同じ意見だったのでやっぱそう考えるよなあと。「ほったらかし投資」を何十年も続けるために必要なのは目先の損得に惑わされないおおらかな心と、本質を見失わない合理性ではないだろうか。「(キモさえ外していなければ)こまけえことはいいんだよ」の精神というか。

 

著者たちはインデックス投資を鼻息荒くして勧めているわけではない。投資が有利だと思う人のみがやればいいんじゃない? というスタンス。また若い頃から生活を切り詰めて投資にのめり込む姿勢にも懐疑的。自己投資の方がもっと大事だよ、人生を楽しむことを忘れないで、そっちの方が金融資産を増やすことよりも大切だと述べる。

 旅行、趣味、スポーツ、 美味しいワイン、芸術鑑賞など、若い時分に楽しむことが後にも有効だったり、良い思い出が長く残ったりする性質の支出対象は少なくありません。世の中には、中年以降では、使えなかったり、使っても有効でなかったりする支出対象が多数あります。お金は、単に増やすだけではなく、有効な時に使うことが大切です。

 

歳とるとあまり動かなくなるし、おしゃれしなくなるし、食事も量が食えなくなるし、体動かすのだるいから寝ていたいとなっていくし、そんなに生活費がかからなくなるんじゃないか…と10年前と今の自分を比較して将来を予想している。だから老後の不安から必死こいて投資、投資とならなくても大丈夫なのでは、と。30代の頃の自分はどうしてあんなにじっとしていられなかったのだろう? ほうとうを食べるためだけに山梨県までドライブしたり、長期休暇のたびに飛行機乗って旅行行ったり、楽しかったしいい思い出になってるからいいけど、今とは別人のような行動力。あの体験と引き換えにインデックス投資に金を費やさなくてよかった、過去の自分ナイス、と思っている。経験、思い出は人生の宝。

 

自分はこの先も淡々とインデックスファンドを積み立て続ける。ブルーカラーの今の職場はさっさと定年で退職して、その後は近所の工場か研究所みたいなところで何か簡単なデータ入力業務の派遣とかやれたらいいなあと思っているのだが、そんな先の話を今から考えても詮ない。俺も両親もその頃どうなっているかわからないし、定年までと言っておきながら事故起こして大怪我して退職するかも、会社がなくなっているかも、転勤しているかもしれないし。そういう自分の力ではどうにもならない問題は考えるのをよして、自分にできることにのみ注力していこう。山崎元さんの著書からそういう合理的思考を結構教えられたように思う。

 

他人が考えた予想やアドバイスにどんな価値があるのかに想像力を巡らせることが大事なのだと強調しておきます(殆ど無価値です!)。

人生も仕事も投資も自分の頭で考えるのが一番重要。そして考えるためにはインプットが必要。余談になるが山崎さんにはぜひギャンブルについての本を、水瀬さんにはインデックス投資の終わらせ方についての本を、いつか書いてほしいと思っている。