GWに見た映画『カモン カモン』と『死刑にいたる病』感想

『カモン カモン』

モノクロの画面は綺麗。とくに都市の景観を広角でとらえたショットはどれもよかった。叔父と甥の交流というストーリーに関しては事前に予想する範囲を超えない、意外性のないもの。甥っ子のわがままっぷりに少し苛々した。彼がそういう性格になったのは家庭内の問題(父親の心の病?)が原因のようだが、ありきたり。子供の言動に対していちいち彼の母親と主人公が電話でやりとりするシーンが何度も出てくるがしょーもない話しかしないので全部いらねーだろと思った。父親が喚くシーンと母と主人公の電話シーンをカットすれば20分くらい短くできたのでは。この母親が、頑張ってるのはわかるが被害者感出してくるのもどうも…。ホアキン主演の映画は『ジョーカー』と『her』しか見たことはないが、今作もまた気弱そうな、うだつのあがらない独身中年役。面白味ない。子供たちに自分の将来や大人や社会に対して意見を言わせるのは説教臭い。あと「回復ゾーン」だっけか、スピリチュアルっぽい話も時々出てきてげんなり。俺向けの映画ではなかった。エンドロールまで子供のインタビュー流してしつこい。別に大したこと言ってねーし。音を採取してたんだから最後は波の音とか都市の喧騒とかそういうのを流せばよかったのに。

 

『死刑にいたる病』

阿部サダヲの目が気味悪い。ストーリーはご都合主義的。そもそもなんで主人公は殺人犯の願いを聞き入れて面会に行ったのか。パン屋の主人と客の関係でしかないのに。普通行かないだろ、不自然。主人公は大学でぼっちっぽいのに知らないサークルの飲み会に参加したり、行動が変。美形なのにぼそぼそ声でしか喋らないし。阿部サダヲがカリスマ性ありすぎて刑務官まで操るようになるのは笑えた。24人のうちの一人だけ殺した犯人が違ったとしても(だったとしても今更阿部サダヲの死刑は変わらないだろう)映画中で他に怪しい人物といえば長髪男くらいで、しかし演じている人的にこいつが真犯人とも思えないし、だとしたらやっぱ阿部サダヲがどうせなんか企んでるんだろと予想がついてしまう。中山美穂の情緒不安定な母親役はよかった。中山美穂が大学生の子供がいる母親を演じるほど時が経ったのか、との感慨も。家庭内の描写、薄暗くて妙に緊張感があった。父親がビールを飲むシーンとか。ヒロインは鬱陶し過ぎて出てくるとイラッとした。飲み会誘っておいて遅刻してきたり、飲み会の口実自体がウソだったり、怪我した手を舐めたり、なんやこいつ。ラストから遡って考えると主人公を籠絡するための手管だったのかな。サークルの男どもはなんであんな絡んでくるのか。性格悪すぎ。ラストのオチは世にも奇妙な物語みたい…と思った。全体的に会話のシーンばっかりでテンポが単調、あと長すぎ。この映画の見所は阿部サダヲの光がない目と主人公の家庭の緊張感。