映画『FALL/フォール』を見た

近場で公開していないので西武線を利用して大泉学園駅のT・ジョイSEIBU大泉まで見に行った。初めて行く映画館。2019年から映画館で映画を見るのを趣味にするようになり、当初はちょっとしたお出かけも兼ねて埼玉県内や都内の映画館をあちこち回ったりしていたが、コロナ禍以降人の多い都心へ出かける機会は減少し、それにつれて映画館巡りもしなくなっていった。なので知らない映画館へ行くのは久々。大泉学園東映の撮影所やアニメのミュージアムがある町で映画館があるのはその名も東映通り。北口に出るとアトムやメーテルの像が立っていた。映画館は駅から15分程度歩く。ちょっと遠い。

 

映画館は商業施設の4階。フロア入口そばに高倉健吉永小百合の手の像や水谷豊、森光子らの手形が展示してあっておっという気になるがそうなるのは新参者だけらしく何度も来館しているらしき地元住民らにはスルーされていた。館内は公開間もない鬼滅のワールドツアーが盛況なのか、日曜の昼という時間帯もあったか、老若男女でかなり混雑していたが都心ほどではなかった。漫画『鬱ごはん』の4巻に「無料の娯楽が溢れかえっている世の中で映画は割高だから 年々観る機会が減っていくな…」という独白があるがとくに休日の都内の映画館に限ってはどこも混んでいる印象がある。座れる場所が少ないので案内が始まるまでフロアをぶらぶらしながら立って待つ。

 

で、肝心の映画の感想。

イデアは面白い。辺鄙な場所にある地上600メートルの電波塔から降りられなくなる。予告を見たかぎりだとバズり目的のユーチューバーが強引に相手を誘って2人で登る、みたいな導入かと思いきや、誘われた方は夫を亡くしていてその喪失を克服するための誘いだったのは意外だった。こういう出オチというかシチュエーションがすべての映画はキレ勝負なところがあって90分かそこらでまとめるべきだと思うんだが案外に長く中盤以降ややだらけてしまった。今確認したところ107分もある。ありきたりな悪夢のシーン、一回目のドローン飛ばし、あとはもう忘れてしまったが結構色々このシーンなくてもいいのでは? みたいなのが多くあった気がする。

 

面白かったのは登っていく過程と梯子が崩壊するシーン。とくに後者はそうなるとわかっているのにいざそのシーンになるとスクリーンならではの迫力もあり手に汗握った。一方でそのあとはあれこれ助かろうと手を尽くすものの高所だと方法に限界があり、いいアイデアなのに運悪く失敗するパターンの繰り返しで飽きてくるし、結局スマホで救助連絡かよ、という興醒め感もあり、見終わって面白かったとは思うもののあとまで残るような面白さではなく遊園地のアトラクション体験に近い面白さであり、実際見終わって少ししたらもう細部を忘れてしまっている。ストーリーから大体こうなるんだろうな、という見る前の予想の範囲から外れない、ある意味優等生的な面白さの映画だった、といえるだろうか。映画館で見れば面白いがテレビだったら途中で退屈してしまったかもしれない。しかし地上600メートルの高さに行くのに2人ともあんなに薄着で寒くならないのだろうか。とくに夜。ちょっとしたお色気要素? へんにグロ趣味があったのが可笑しい。生でワシは食えないだろ…。

 

同行者と2人で行ったので帰りは所沢駅の利久あたりで食べて帰るつもりでいたが映画を見終わったら思いのほか空腹になってしまい我慢できず駅前の丸亀製麺でうどんを食べ、タリーズでお茶して、南口のショッピングビル内をうろついて帰宅。ちょっと遠めの映画館へ映画を見に行くとそれだけで休日がほぼ終わってしまう。