熊谷0円彷徨

鬱々たる気分を払拭できず*1、対症療法的に気分転換を図って先週末熊谷に一泊した。春めいて暖かくなってきたかと思いきや週末また冬の寒さが戻ってきて、おまけに雨で*2せっかくのお出かけなのにやや落胆の気持ちあり。

 

熊谷は馴染みがない土地。宿泊サイトで県内を検索すると春休みのせいかホテルの宿泊料が軒並み高く、その中で手頃な所を探したらルートイン熊谷がヒットした。大浴場付きで朝食無料。いいじゃないの。というわけで選択した。

 

駐車場が広く、部屋は清潔で、大浴場も洗い場が多く、いいホテルだった。唯一の難は上階の客室のドスンドスン音で、これが長く続いて閉口した。時期的に子供だろうか? どうも俺はホテルに泊まると引きが強く騒音に遭遇する。神経質すぎる? 自宅でも外泊でも寝るときは耳栓が欠かせない。そのくせ普段は耳が遠くて人の話が聞き取れなかったりするんだが…。ある人が、上階の騒音がものすごくて一睡もできなかったと翌朝のチェックアウト時にフロントに苦情を入れたら、あなたの泊まった部屋は最上階だと返されたという怪談を何かで昔読んだことがあるが今回俺が泊まったのは最上階ではなかった。

 

 

翌朝、朝食会場へ開場の6時半に行ったら行列ができていて10分ほど並んだ。早起きの人多いんだな、と意外の感。朝食メニューではホタテフライが旨かった。

 

チェックアウト後、ホテルから少し離れた熊谷さくら運動公園へ桜を見に行く。自宅周辺もだがここもまだ咲き始め。今週末あたりが見頃だろうか。桜の開花時期って気温が不安定だったり風が強かったりで天候が荒れる印象。

 

この公園、それほど面積は広くないんだけど、運動公園の名のとおり運動できる場所がたくさんあってプレーしている人も大勢いた。サッカー、野球、ゲートボール、ジョギング。舗装された道を一周すると約1キロ。写真を撮りながら散歩した。この日は晴れたもののやはり気温は低く、シャツ2枚の上から厚手のパーカーを着ていたが寒かった。何日か前は20℃を超えていたのに。自律神経がぶっ壊れそう。

 

イオン熊谷へ移動。敷地内にある片倉シルク記念館を訪問。このイオン(かつてはジャスコだった)ができる前にこの土地にあった片倉工業の倉庫を記念館として残したものという。片倉工業は絹糸の製造で富を築いた旧財閥企業。富岡製糸場も片倉工業の所有だった。しかし94年に蚕糸事業から撤退し、現在は不動産業などを手がけている。君はニューライフカタクラを知っているか? あれも片倉工業が展開する事業のひとつだった。今は小売業からも撤退している。

 

見学無料。シルク製造に関心があるわけではないけれども無料のミュージアムと聞くと行く気が出る。展示は充実。閉鎖する平成6年まで使われていた実際の設備が置かれている。その設備を見ていると職場を思い出してしまい、明日からまた会社か…と憂鬱な気分に。沿革のビデオが流れていたので見る。滞在時間40分くらい。自分と同行者のほかには誰も来なかった。熊谷ではないけれど父方の実家(農家)も昔は蚕を育てていたと聞いたことがある。俺が物心ついたときにはすでにやめていたようだが。数十年で人々の暮らしも生業もすっかり変わってしまう。

 

星溪園へ移動。明治期、熊谷の発展に貢献した地元の県会議員が作った庭園。入園無料。入園無料、私の好きな言葉です。

 

中はこんな感じ。池には鴨がいた。下の写真の建物は中に入れる。観覧者は自分たちの他に数人。

日曜の昼時だというのに熊谷のこのあたり(最寄り駅は秩父鉄道の上熊谷)は全然人が歩いていない。かなりのどか。国道17号は車がひっきりなしに往来しているのだが。人の少なさが同行者はかなり気に入ったようで、「いいねえ」と言っていた。歩きやすいのはたしか。

 

八木橋百貨店へ移動。丸広百貨店や矢尾百貨店と同じく埼玉県にあるローカル百貨店の一つ。もう二十年以上も昔、ここに勤めている人とちょっと知り合いだった。訪れるのは初めて。何か目的があってきたわけじゃない。なんとなく入ってみたくなった。

 

通りを歩く人の姿はまばらなのに店内には客が大勢いたのでギャップが可笑しかった。食品売り場をひやかしたあと、7階のレストランフロアへ。俺が子供の頃は今ほど外食チェーンが多くなかったから(すかいらーくが憧れだった)たまの外食で「よそ行きの服」を着て百貨店内のレストランに連れていってもらえるのは機会の少ない貴重なイベントだった。よし、ここで昼飯にしようとフロアをぶらつく。子供の頃のノスタルジーに浸るならカプチーナという洋食レストランがぴったりだった。お子様ランチがあって、店頭ではプラレールが走っていて、窓からは外の景色が見下ろせて。しかし洋食の気分ではなかったのと子供客が多くて落ち着かなそうとの思いからよして、隣の中華レストラン双喜亭(喜は喜が二つ)にした。

 

メニューで一番におすすめされていたあんかけ焼きそばのランチセットを選択。最近はこだわりがなければメニューで強くおすすめされているものを選ぶようにしている。お店側としてはそれを推しているのだろうし、作り慣れているだろうから味や提供時間も安定してそうと思うから。焼きそばはお焦げになった固い部分が旨い。棒餃子は蒸し。水やお茶の代わりに急須で烏龍茶が提供されて嬉しかった。

 

食後、パブリックラウンジというカフェで一服。店内の写真を撮るのは憚られたのでないが、ここは内装がウッド調でちょっとレトロ感があり、広いテーブル席がたくさんあってかなり居心地のいいお店だった。日曜日の昼過ぎでもすぐ通されて座れるのが嬉しい。休日だと都内どころか大宮、川越、所沢あたりのカフェでも座るのに待たされそうだから。食事ならともかくお茶するのに並びたくはない。

 

屋上に出られる8階では鉄道関連のイベントをやっていた。鉄ちゃんでは全然ないが無料だから寄ってみた。屋上ガーデンではトークショーを、イベントスペースでは模型の展示・販売のほかグッズも売っていた。かなり大きいジオラマが二つ、一つは高校生の、もう一つはプロ? の制作っぽく、そこを複数の模型が走っていた。鉄道模型、自分でやりたい気持ちはまったくないんだけど見ると見入ってしまう。写真撮っていいものかどうか、他に撮っている人も見当たらなかったのでやめておいた。グッズ売り場には古い時刻表や行先板やレア交通系ICカードなどが売っていて、この最後のには興味があって物色した。SuicaとPASMOの相互利用記念のとか、東京駅開業100周年のとか、Xmas Expressの牧瀬里穂デザインTOICAとか他にも色々。定価の倍以上の値段がついていたので結局買わなかった。

 

鉄ちゃんではないが『ぱらのま』好き。

 

その後撤収。公園、博物館、庭園、百貨店のイベント、どれも無料で半日潰せて、しかも楽しかった。同行者も満更でもなさそうだった。そう、お金をかけなくても楽しめる場所って探せばいくらでもある。施設じゃなくても、たとえばどこか大きい公園や川べりのベンチで水筒に入れたコーヒーを飲みながら図書館で借りた本を読むでもいい。むしろ金がかかる場所ほど混雑していてその割に満足感が低かったりはしないだろうか。インフレ基調の今、ある程度メリハリつけた消費について自覚的になる必要があるように思う。外食だってどんどん高くなってるからそのうち今のように休日のたびには行けなくなるかもしれない。

 

自分は仕事や職場のストレスを散財によって発散するのを避けようと思っている。それって本末転倒だから。散財して金が減ればそれを補給するために会社に縛られる、そのストレスを散財によって晴らす…という無限ループに陥ってしまう。ストレスがあるときこそ散財しない。蓄え、早期退職への資金に回す。これこそが仕事や職場のストレスへの合理的な対処ではないだろうか。…いや、俺も使うときは割とパーっと使うんだけどね。そもそもが贅沢するの好きだし。ただそれをいっつもやっていたんじゃいつまで経っても自由になれないなあ、とだんだん思うようになってきた。おっさんになると些細なものでも十分楽しめるようになるっていう心境の変化もある。ディズニーランド行くより道の駅の方が楽しい…みたいな。物欲も食欲も性欲も衰える。

 

熊谷、楽しかった。気に入ったのでまた行こうと思う。

 

*1:根本から解決しなきゃそうに決まってるがそれは難しい

*2:車体に付着していた黄砂を流せてよかったのだが