今週の休日

金曜日。有給。低気圧の影響で朝から大雨。傘を差していても肩が濡れる。パラディウムの防水を履いていたので足元は冷たくならなかったがズボンの裾が濡れまくる。この悪天候の中、女の人と池袋へ。グランドシネマサンシャインの日本最大サイズのIMAXシアターにて「ジョーカー」二度目の鑑賞をするため。7月に開業したばかりなので館内が綺麗。IMAXは最上階12階。エレベーターもあるが密室が好きでないのでエスカレーターで昇る。飽きさせない工夫か、壁に映画のポスターが貼ってある。12階では天井の一部に環境映像的なのが映し出され、それを見た瞬間テンションが上がった。窓からは池袋駅方面が一望でき、カフェスペースもある。シアター内に入ると、どでかい、やや正方形よりの壁そのもののような巨大スクリーン。しかし、想像していたほどの感動はなく。6月に初めてのIMAX体験で109シネマズ 菖蒲へ行った時の方が興奮した。プレミアムシート後ろの、スクリーン中央正面のM列着席。通常のシアターならばかなり後方になるが、ここではちょうど目線の高さでいいポジション。昼の回だったが、雨が激しかったこともあってか客はまばらだった。二度目の鑑賞だったので、特に主人公アーサーの現実と妄想の区別がどう表現されているか、に注意して見ていた。ホールのトイレでトーマス・ウェインと対話する場面は、殴られて洗面台に突っ伏した直後のカットが自室で同じポーズに切り替わるのでこの対面も妄想だったのだろう。若い頃の母親を取調室で見ている場面も妄想あるいは幻視だろう。アーサーだったときは長い階段を昇り、ジョーカーになった後では階段を降る。上昇と下降の演出。病院のドアにぶつかったり、小人症の元同僚が鍵を開けられなかったり、真面目そうにやっているけれどコントのようなギャグもある。ジョーカーとして逮捕され、パトカーの中から燃えるゴッサムを眺めている構図は、序盤の、バスから外を眺めている時と同じ。ここで流れるCreamを今もYouTubeで聞いている。カッコいい。最後の「立て」はまるでキリストのようで、まさに本人が思ってもいなかったシンボルに祭り上げられていることの滑稽さと怖さを感じる。本編全てが、「理解できないジョーク」だったのかもしれない。地下鉄の事件の後、公衆便所でダンスする場面が素晴らしい。二度目は楽しめないかと思ったけど、初回と同じくらい楽しく鑑賞できた。鑑賞後、サンシャインシティ喜多方ラーメン板内にて遅いランチ。コールドストーンでアイスを買う。自分が、旅行で来た観光客のような気がした。

土曜日。朝、鈍い頭痛。立川シネマシティ・ツーにて「ジョン・ウィック パラベラム」極爆上映鑑賞。シネマ・ワンは「山猫」を見に一度来たが、ツーは初めて。極爆も初めて。耳が痛くなったらどうしようかと心配な気持ちがあったが、思ったよりはソフトな音響だった。IMAXの音響に慣れているからそう感じるだけか。「ジョン・ウィック」シリーズは殆ど見たことがない。アクションがいいというのでキアヌのそれと、音響目当てで来た。途中少し寝てしまったが、終盤のホテル内での戦いは銃声が大きくて楽しめた。全体的に美術がモダンアート的で見ていて楽しい。一旦出て駅前の大戸屋で食事を済ませ、再び戻って「T34 レジェンド・オブ・ウォー」極爆上映鑑賞。こちらの方が音響が迫力あったように思う。映画自体も、期待していなかったが見たらとても楽しかった。砲弾が着弾する瞬間スローモーションになるのがいい味を出していてちょっと笑える。地面に当ててバウンドさせて底面を貫くとか、ゼロ距離射撃とか、鳥肌ものの場面もあり、痛快。単純に娯楽映画としてもっと広く公開されていいと思うが。

日曜日。朝起きると鼻が詰まっている。しかし頭痛や、喉の痛み、だるさはなく。ユナイテッドシネマ わかば にて是枝監督の「真実」鑑賞に行く。是枝監督の映画は「誰も知らない」や「万引き家族」を見て凄いとは思うものの悲し過ぎて自分は好きではないのだけれど、この映画はよかった。はじめはベルイマン 的な母と娘の確執を描くのかと思いきや、すれ違いや思い込みに翻弄される母と娘の物語だった。映画が始まってすぐは観客が話に入っていくために集中と緊張を強いられるが、それを孫のシャルロットの軽やかさ、愛らしさが救ってくれる。映画が進むにつれ彼女の出番が減るのは寂しい。祖父の名を聞いて、亀を探しに庭に駆け出す場面のユーモア! 主人公の女優は意地悪いところもあるが、彼女は彼女の信念に従って生きてきたまでのこと。それが周囲と軋轢を生むとしても自己を曲げなかった。しかし悪意ゆえにそうしてきたのではない。ボタンのかけ違い、その些細なことの積み重ねがやがて取り返しのつかないほどの大きな溝を生んでしまうことの悲哀。けれども深刻になったり、重苦しくなったりはしない。義理の息子の演技を「モノマネ」呼ばわりする食事の場面など激昂しそうな場面もあっさり流してしまう。このあたりの軽やかさはよかった。パーティの後のダンスの場面、そしてラストの出発の場面(「撮り直す」ための出発!)には幸福感が溢れていてすがすがしくなる。いい映画だった。