2022-01-01から1年間の記事一覧

2022年を振り返る

例年以上に早く過ぎた感のある一年だった。新型コロナは収束せず年中マスク装着生活が相変わらず続いている。マスク装着がデフォになると髭剃り頻度を下げられるので楽でいい。反面、周囲がマスク装着していると相手の表情が窺えずコミュニケーションが不便…

現実は小説より奇なり──『ある行旅死亡人の物語』を読んだ

ある行旅死亡人の物語 作者:武田 惇志,伊藤 亜衣 毎日新聞出版(インプレス) Amazon 2020年に尼崎市のあるアパートで遺体となって発見された高齢女性の素性を探るノンフィクション。この件については以前ネットで読んでおりそのときから関心を抱いていた。…

速水健朗『ラーメンと愛国』を読んだ

ラーメンと愛国 (講談社現代新書) 作者:速水健朗 講談社 Amazon ラーメンを媒介に日本の戦後史をたどる、という趣旨の本。面白くて二日で読了。 太平洋戦争に敗れた日本は深刻な食糧危機に陥った。それを救ったのがアメリカからの小麦の輸入だった。当時アメ…

2冊とも徹夜の勢いで読み耽った──清水潔『殺人犯はそこにいる』『桶川ストーカー殺人事件』

殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫) 作者:清水 潔 新潮社 Amazon 読了日は11月20日。以下、ブクログに記載した感想からコピペ。 ドラマ「エルピス」の参考文献の1冊。徹夜で読了。著者はある未解決事件が群馬県・栃木県…

トルーマン・カポーティ『冷血』を読んだ

冷血 (新潮文庫) 作者:トルーマン カポーティ 新潮社 Amazon 1959年にカンザス州のホルカム村で発生したクラッター家の4人が殺害された事件を再現したノンフィクション・ノベル。旧訳でも一度読んでいるが20年ぶりくらいに新訳で再読。 この小説は4章からな…

2022年映画ベスト8本

年内に映画館へ行くことはもうないと思うので少し早いがまとめる。 今年は36回映画館へ行った。『トップガン マーヴェリック』と『すずめの戸締まり』は2回鑑賞したから見た本数は34本。うち旧作は3本、『ドライブ・マイ・カー』『セルビアン・フィルム』『8…

2022年買ってよかったもの

…の前に2021年の買ってよかったものを振り返る。 hayasinonakanozou.hatenablog.com 上記エントリのどれも今年も使った。歯磨きは引き続きマメにしている。フロスは慣れてきたのでより廉価なのに買い替えた。マウスウォッシュは今はPCクリニカのを使っている…

『MEN 同じ顔の男たち』を見た

日曜のレイトショーで観客10人程度。 自分が今年見た中で一番わけわからなく一番映像が不快な映画。女性に対して男たちが見下してくる、圧をかけてくることを批判的に描いているつうのはわかったんだがなぜ皆同じ顔なのだろう? 男なんて皆同じ、という意図…

佐野眞一『東電OL殺人事件』を読んだ

東電OL殺人事件(新潮文庫) 作者:佐野眞一 新潮社 Amazon 1997年に渋谷区円山町のアパートの一室で起きた殺人事件。被害者は東京電力の管理職だった三十代の女性。年収が1000万円以上あり金銭的に何不自由ないはずなのに昼の勤務のあと夜な夜な円山町で立ち…

最近の物欲

先日のAmazonブラックフライデーで買ったもの。 ipad mini6スターゴールド64GBとそれ用のガラスフィルム、ケース、ケーブル、アダプタ。iPad mini6は税込67740円。安くはない。これまで使っていたiPad mini4ゴールド128GBは整備済み品で2018年4月に42000円で…

桐野夏生『柔らかな頬』を読んだ

柔らかな頬 上 (文春文庫) 作者:桐野 夏生 文藝春秋 Amazon 日曜日の昼過ぎから読み始めて日付が変わる少し前に読み終えた。ネタバレあり。 不倫相手の別荘を自分の家族と共に何食わぬ顔で訪問した主人公が、男のためなら夫も子供も捨てていいと思った翌日、…

国営武蔵丘陵森林公園で終わりゆく秋を撮る

金曜日午後にワクチン接種の4回目。ファイザー製オミクロン株対応。今って何株なんだ? テレビもニュースもろくに見ない暮らしを送っているので知らない。接種した夜は腕が痛いくらいで熱もなく頭痛もなく強いていうなら腹具合が少々よろしくなかった程度で…

ハリー・ルーベンホールド『切り裂きジャックに殺されたのは誰か』を読んだ

切り裂きジャックに殺されたのは誰か:5人の女性たちの語られざる人生 作者:ハリー ルーベンホールド 青土社 Amazon 私たちは質問されもしなければ、話も聞いてもらえない。それなのに私たちの話が書かれていく……。 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『亜…

今日を生きることが昨日までの自分の肯定になる──映画『すずめの戸締まり』を見た

IMAX上映で2回鑑賞。アニメは専用カメラで撮影されているわけではないからIMAXで見ても画角的には意味がないのはわかっているんだがスクリーンの大きさと音響のよさに魅力を感じて。 初見時、予備知識ないまっさらな状態で見たかったのでYouTubeにアップされ…

映画になった凶悪事件のルポを3冊読んだ 『凶悪』『消された一家』『愛犬家連続殺人』

先日読んだ『殺人現場を歩く』の影響で凶悪事件のルポを読みたくなったので。三つとも有名な事件で映画にもなっている。これらを読んで思うのはありきたりながら「事実は小説より奇なり」という言葉。 『凶悪 ある死刑囚の告発』 凶悪―ある死刑囚の告発―(新…

蜂巣敦『殺人現場を歩く』を読んだ

殺人現場を歩く (ちくま文庫) 作者:蜂巣 敦 筑摩書房 Amazon 主に1990年代に起きた18件の殺人事件現場を訪れる。写真多数掲載。有名な事件としては「綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件」「連続幼女誘拐殺人事件」「埼玉愛犬家連続殺人事件」「世田谷一家…

アーサー・マッケン『怪奇クラブ』を読んだ

怪奇クラブ (創元推理文庫) 作者:アーサー・マッケン 東京創元社 Amazon 復刊。「怪奇クラブ」と「大いなる来復」を収録。今年マッケンを2冊読んだのでその流れで本書も購入、読んだ。 hayasinonakanozou.hatenablog.com 「怪奇クラブ」(原題「三人の詐欺師…

超絶エンタメ映画『RRR』を見た

初めて見たインド映画かもしれない。『バーフバリ』は30分くらい見たが濃すぎて途中で見るのをよした記憶がある。ここぞという場面でわざとらしいスローモーション演出されると笑ってしまう。このシーン注目、みたいな鬱陶しさも少し感じる。『T34』にもスロ…

笠井恵里子『潜入・ゴミ屋敷 孤立社会が生む新しい病』を読んだ

潜入・ゴミ屋敷-孤立社会が生む新しい病 (中公新書ラクレ, 733) 作者:笹井 恵里子 中央公論新社 Amazon 物が散乱しているとか床が見えないとかいうレベルじゃない。ゴミが堆積して層をなしエアコンの高さまで埋まってしまう、玄関までみっしりとゴミが詰まり…

柳下毅一郎『殺人マニア宣言』を読んだ

殺人マニア宣言 (ちくま文庫) 作者:柳下 毅一郎 筑摩書房 Amazon 殺人現場、犯罪博物館、蝋人形館を訪問しレポートする第1章「巡礼の旅」、猟奇事件の文献を渉猟してシリアルキラーとその事件を紹介する第2章「殺人を読む」、アメリカ社会の異常性を笑う第3…

神保町ブックフェスティバルに行ってきた

この土日、神保町ブックフェスティバルが3年ぶりに開催すると金曜日の夜、TwitterのTLで知った。アウトレット本やサイン本などが多数並ぶイベントとは知っていたが行ったことは一度もない。同時期、神田古本まつりも開催。こちらにも行ったことがない。遠い…

春日武彦『屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理』を読んだ

屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理 (河出文庫) 作者:春日武彦 河出書房新社 Amazon 精神医学には、患者が誰かが家に侵入して物を盗んだり悪戯したりする、あるいは天井から話し声が聞こえる、と訴える「幻の同居人」妄想というのがある。大抵は…

ストレスフルな前半を後半で覆す稀有な映画──『スペンサー』感想

見てから1週間以上経つからだいぶ記憶が薄れてしまっているが。面倒でも短い文章でもいいから見て時間が経たないうちに書かないと駄目だな。 この映画、見る気はなかったのだがたまむすびでの町山さんが、幽霊が出てくる、ホラー風に撮られている、キューブ…

角川武蔵野ミュージアムへ行ってきた

角川武蔵野ミュージアム、自宅からさほど遠いわけでもないのでまだ新しく綺麗なうちに一度行っておきたかった。去年行くつもりでホテルも予約したのだが前日になって体調崩してキャンセル。そのまま延び延びになっていたが今回ようやく行く気になった。ホテ…

『8 1/2』を見て映画館の変な客について考えた

日曜日、「午前十時の映画祭」で『8 1/2』を。大好きな映画でもちろんブルーレイも持っている。どこが好きなのか? スランプの映画監督の話というのがいい。こういうメタ的な視点は自分の好み。撮れないからインスピレーション欲しさに愛人を呼び寄せたり、…

あるいは陰謀論のルーツか──ノーマン・コーン『新版 魔女狩りの社会史』を読んだ

新版 魔女狩りの社会史 (ちくま学芸文庫) 作者:ノーマン・コーン 筑摩書房 Amazon 魔女狩りの発生から終息までの歴史についての本かと思って読み始めたのだが、本書は魔女狩りという迫害・排除のメカニズムがいかにして成立していったかについての本であり、…

映画『マイ・ブロークン・マリコ』感想

マリコのメンヘラっぷりにうんざり。ネガティブパワーをぶつけてくるあのうざさは演じる奈緒が凄いんだろうが。自分から離れたら死んでやると脅迫して目の前でリストカットするとか暴力でしかなく、シイノとの間にあったのは友情なのかもっと共依存的なもの…

映画『LAMB/ラム』を見たが…

あまり見る機会のない北欧映画。ロケーションが素晴らしく雄大な自然の風景を広角で捉えた絵に感嘆。しかし映画は退屈。序盤、なかなか話が進まず欠伸を何度も。生まれてきた異形の子をなかなか映さず、やっと映したと思ったらセーターを着て食卓に登場。ホ…

金について考えるのは人生について考えること──『DIE WITH ZERO』を読んだ

DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール 作者:ビル・パーキンス ダイヤモンド社 Amazon 金融資産を使い切って死ぬことを勧める本…というと乱暴すぎる要約かもしれないが。若いうちから老後に備えて倹約し、余剰資金を非課税制度を利用してインデ…

悲しみの、嘆きの、怒りの、恨みの、声を聞け──スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『亜鉛の少年たち』を読んだ

亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版 作者:スヴェトラーナ アレクシエーヴィチ 岩波書店 Amazon 1970年代末から1980年代末にかけて当時のソ連が行ったアフガニスタン侵攻について、兵士や看護師やその家族たちに行ったインタビューを「ドキュメンタ…