読書

FI(経済的独立)したい、RE(早期リタイア)はどうでもいい

今年の1月に亡くなった山崎元さんの新刊『山崎元の最終講義 予想と希望を分割せよ』を読んだ。 山崎元の最終講義 予想と希望を分割せよ 作者:山崎 元 PHP研究所 Amazon トウシルに連載していた人生相談を編集して本にまとめたもの。大半は一度読んでいた。中…

19年ぶりの新刊『小説』をきっかけに増田みず子作品を読んだ

増田みず子との出会いは20年くらい前、『シングル・セル』だった。 一人での、人生初の沖縄旅行のお供だった。羽田空港へ向かう電車の中で読み耽った。 孤独な男と謎めいた女の出会いと別れ。 創作の世界にしかありえないような出会い、ありえないような同居…

木澤佐登志『闇の精神史』を読んだ

闇の精神史 (ハヤカワ新書) 作者:木澤 佐登志 早川書房 Amazon スペース(宇宙または空間)をめぐる奇異な思想を紹介する本。 主としてはロシア宇宙主義、アフロフューチャリズム、サイバースペースについて。 本書は「精神史」と銘打っているが通史でもなけ…

ロビン・ダンバー『宗教の起源』を読んだ

宗教の起源 作者:ロビン・ダンバー,小田哲 白揚社 Amazon ブクログによると読み終えたのは去年の12月4日だがブログには感想をまだ書いていなかったので簡単に書いておく。 以下、ブクログの感想をコピペ。 宗教は人間の脳が大きくなるにつれ、共同体の規模が…

2023年読んだ本ベスト&裏ベスト

今年読んだ本は65冊。 去年が75冊だったので去年ほどは読めなかった。 ブクログの履歴を見ると5月は1冊、7月は0冊。7月は職場異動があり慣れない仕事、覚えることの多さにだいぶ参っていたので本を読む元気がなかったのだと思われる。5月は謎。 2022年は4月…

国家、権力、民主主義、政治について──松村圭一郎『くらしのアナキズム』を読んだ

くらしのアナキズム 作者:松村 圭一郎 ミシマ社 Amazon アナキズム、無政府主義と聞くと既存の体制をぶっ壊せ的な過激な運動をイメージしてしまうが本書のいうアナキズムは究極的な民主主義を指している。国家なしに暮らしをやっていくイズムとでもいおうか…

ジョナサン・マレシック『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』を読んで我が身を振り返る

なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか 作者:ジョナサン マレシック 青土社 Amazon ある日突然仕事に価値を認められなくなる燃え尽き症候群──バーンアウト文化について考察する。 少し前に会社で面白くないことがあったのが読んだきっかけ。 hayasinonakanozou.h…

懐かしさと可愛さと奇想が絶妙にブレンドされた世界──panpanya『商店街のあゆみ』

『ぱらのま』経由で『楽園 Le Paradis』を知りそこでこの可愛い少女が出てくる漫画の存在は知っていた。可愛い少女とリアルな背景の組み合わせ。でも読むまでにはいたらずこれまで来た。何かで(Xで?)今月新刊『商店街のあゆみ』が出ると知り、それまでな…

最後の一文がずるい 飛鳥部勝則『堕天使拷問刑』を読んだ

堕天使拷問刑 (ハヤカワ・ミステリワールド) 作者:飛鳥部 勝則 早川書房 Amazon 復刊の報を知り購入。『魔女考』『針女』の付録ありバージョン。 著者についての知識はなかったがXが本書の復刊に盛り上がっていたのでなんとなくで購入。届いた本は450頁を越…

「この世のものは何であれいつか終わる」──ミシェル・ウエルベック『滅ぼす』を読んだ

滅ぼす 上 作者:ミシェル・ウエルベック 河出書房新社 Amazon 滅ぼす 下 作者:ミシェル・ウエルベック 河出書房新社 Amazon ブクログによると読み終えたのは8月末。なので読んでから4ヶ月以上が経っている。 もうすでに細部はおろか全体についてさえ記憶は薄…

「闇の深い世界ですね、ナチの美術品取引というのは」──『ヒトラーの馬を奪還せよ 美術探偵、ナチ地下世界を往く』を読んだ

ヒトラーの馬を奪還せよ ――美術探偵、ナチ地下世界を往く (単行本 ) 作者:アルテュール・ブラント 筑摩書房 Amazon 第二次世界大戦終盤、ベルリン攻防戦のさなかで破壊されたと思われていたナチスお抱え彫刻家ヨーゼフ・トーラックによるブロンズの馬(『闊…

背筋『近畿地方のある場所について』を読んだ

近畿地方のある場所について 作者:背筋 KADOKAWA Amazon カクヨムにアップされていたのを今年3月にはてブ経由で知った。当時は「ネット掲載情報4」まで。更新されるたびリアルタイムで読んだ。 kakuyomu.jp その後書籍化。当初は電子版を購入するつもりだっ…

晩酌やめて10日が経過した

なんとなく続けていた晩酌をやめて10日が経過した。 上の写真は2週間の酒量。大した量じゃない。 晩酌は帰宅後のルーチンだった。風呂入って飯食ってから自室に引き上げ適当なつまみと一緒に一杯。デュワーズは暖かい季節ならロックで、寒くなってきたらスト…

当事者たちの貴重な体験を聞く 永田豊隆『妻はサバイバー』 小林エリコ『この地獄を生きるのだ』

妻はサバイバー 作者:永田 豊隆 朝日新聞出版 Amazon 著者は新聞記者。妻を20年にわたって介護している。 妻がかかる病い、示した症状は摂食障害、トラウマによる解離、自殺願望、精神疾患による入院、アルコール依存症、大腿骨頭壊死症、認知症。 食べては…

春日武彦『自殺帳』を読んだ

自殺帳 作者:春日武彦 晶文社 Amazon 精神科医による自殺に関するエッセイ。 自殺という行為を「その不可解さがもはや珍味と化している事案」として考察する。以前著者の『屋根裏に誰かいるんですよ。』を読んだが、あれと同じような、対象を突き放すクール…

レジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』を読んだ

ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち (集英社新書) 作者:レジー 集英社 Amazon ここ数年、ビジネス書には教養のタイトルが使われるものが増えているという。 小説、映画、美術、音楽等の教養を手っ取り早く身につけ、それをビジネスで活かし、成功して金…

SNSの問題点について──戸谷洋志『SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ』を読んだ

SNSの哲学: リアルとオンラインのあいだ シリーズ「あいだで考える」 作者:戸谷 洋志 創元社 Amazon SNS(主にInstagramとX)から承認欲求、時間、炎上、アルゴリズム、連帯について考える。タイトルに哲学とあるようにこれらの問題を考えるのにヘーゲル、ハ…

蒐集──これも生きる者のサガか… とみさわ昭仁『無限の本棚』を読んだ

無限の本棚 増殖版 (ちくま文庫) 作者:昭仁, とみさわ 筑摩書房 Amazon 著者の開店した古書店について(現在は閉店している)、自身の蒐集家としての来歴、そして蒐集という行為についての考察、大体そんなことが書いてある。俺ももう30年近く本を買い集めて…

便利でつまらなくなったインターネットについて

わかってるわかってる。おっさんは自分が歳食ったせいで楽しめなくなっただけなのに「〜は終わった」「〜は死んだ」「もうあの頃の〜は帰ってこない」って言いたがるよな。よくわかってる。そんなん言ったって何も変わらないし周りの人を不快な気持ちにさせ…

『現代思想2023年10月号 特集スピリチュアリティの現在』を読んだ

現代思想 2023年10月号 特集=スピリチュアリティの現在 作者:栗田英彦,橋迫瑞穂,石井ゆかり,鏡リュウジ 青土社 Amazon 今年は例年になくよく雑誌を読んでいる。この『現代思想』も、『本の雑誌』『スペクテイター』『SFマガジン』『ユリイカ』『週刊ダイヤ…

『原理運動の研究』『週刊ダイヤモンド 巨大宗教「連鎖没落」』を読んだ

原理運動の研究 (ちくま文庫 ち-20-1) 作者:茶本 繁正 筑摩書房 Amazon 旧統一教会研究の古典であるという。品切れだったがちくま文庫で復刊。刊行が1977年なので情報としてはかなり古い。が、1980年代から90年代にかけての新興宗教全盛時代へ向かって右肩上…

他人との近過ぎる距離が不幸の源である──鶴見済『人間関係を半分降りる』を読んだ

人間関係を半分降りる ――気楽なつながりの作り方 作者:鶴見済 筑摩書房 Amazon 冒頭に「人間の悩みはすべて対人関係の悩み」という心理学者アドラーの言葉が引かれている。さすがにすべてではないだろう、金銭や健康の悩みも中にはあるだろう。でも世の中の…

映画になったら面白そう──チャック・パラニューク『インヴェンション・オブ・サウンド』を読んだ

インヴェンション・オブ・サウンド 作者:チャック パラニューク 早川書房 Amazon 失踪した娘を何年も探している男。 人が絶命する瞬間の叫び声を録音している音響技師の女。 まったく別の人生を歩んでいるはずの二人の人生、二つの物語はやがてひとつになる…

いくらなんでもつらすぎる人生──ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』を読んだ

ストーナー 作者:ジョン・ウィリアムズ 作品社 Amazon 大学教師(助教授)の生涯という地味な話。 文章がよく、まだるっこしい描写もないのでテンポよくすいすい読める。感情を揺さぶるような場面もある。 だが、全体としては暗い話だ。悲しい、よりも先に暗…

『BRUTUS No.991 怖いもの見たさ。』を読んだ

BRUTUS(ブルータス) 2023年 9月1日号 No.991 [怖いもの見たさ。] [雑誌] マガジンハウス Amazon ホラー特集号。 熱心なマニアではないけれどジャンルとしてホラーはわりと好き。 なぜホラーが好きなのか。 恐怖は人間にとって強烈な感情(生存本能に直結して…

中森弘樹『「死にたい」とつぶやく 座間9人殺害事件と親密圏の社会学』を読んだ

「死にたい」とつぶやく 作者:中森弘樹 慶應義塾大学出版会 Amazon ブクログによると読んだのは4月。示唆に富んだとてもいい本だったが感想を書くのが難しく、時間がかかりそうだったので放置していた。夏季休暇で時間があるのでハイライト箇所を振り返りつ…

10年以上ぶりに村上春樹を読んだ 『街とその不確かな壁』感想

街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 6月に読んだのだが感想を書くのが億劫で放置していた。なのでところどころ記憶は薄れているがさらに忘却する前に記録しておく。 自分は村上春樹の熱心な読者ではない。『世界の終りとハードボイルド・ワンダ…

俺も森で隠遁したい シルヴァン・テッソン『シベリアの森のなかで』を読んだ

シベリアの森のなかで みすず書房 Amazon 7月、一冊も本を読み終えなかった。職場が異動になり、知らない人たちと知らない業務をやるのに疲労し、仕事から帰ってきても本を読む気力を出すのが難しく。新しい仕事を覚えるのが中年の衰えていく一方の脳にきつ…

『寝そべり主義者宣言 日本語版』を読んだ

はてブ見てたらこんなニュースが目に入った。 jp.reuters.com 16歳から24歳の失業率が約20%、しかし統計の取り方次第では40%を超えている可能性もあると。この記事に引用されている大学教授のコメントの「家で寝そべっている」若者とは寝そべり族を指してい…

『ユリイカ2023年7月号 特集 奇書の世界』を読んだ

ユリイカ2023年7月号 特集=奇書の世界 作者:竹中朗,山本貴光,吉川浩満,円城塔,酉島伝法,春日武彦,樺山三英 青土社 Amazon 面白そうだったので購入。 ユリイカ、知ってはいたが買ったのも読んだのも初めて。ほぼ丸々一冊が特集の内容に割かれている。寄稿者…