読書

押井守『シネマの神は細部に宿る』を読んだ

シネマの神は細部に宿る 作者:守, 押井 東京ニュース通信社 Amazon 押井監督が自身のフェティシズムの観点から映画を語る。まえがきがいい。世に数多ある名作傑作の類いはせいぜいが数度見ればもう繰り返し見ることはない。その一方で、褒められた出来ではな…

津野海太郎『最後の読書』『百歳までの読書術』を読んだ

最後の読書 (新潮文庫) 作者:津野 海太郎 新潮社 Amazon 百歳までの読書術 作者:津野 海太郎 本の雑誌社 Amazon 『歩くひとりもの』から時が経った。あれは中年本だったが今度の二冊は老齢本。著者はすでに後期高齢者である。 hayasinonakanozou.hatenablog.…

ヴァージニア・ウルフ『病むことについて』を読んだ

病むことについて 新装版 作者:ヴァージニア・ウルフ みすず書房 Amazon エッセイ及び書評14編、短編小説2編を収録。 表題作は、病気はなぜ文学のテーマにならないのか、という魅力的な問いから始まる。文学にとっては常に精神が関心事で、肉体の苦痛につい…

『柳下毅一郎の特殊な本棚』を読んだ&DMMブックスアプリの操作性について

柳下毅一郎の特殊な本棚 作者:柳下毅一郎 本の雑誌社 Amazon どこから見つけてきたんですか? と訊きたくなるような特殊な本ばかりを集めた書評集。大手出版社の本もいくらかは混ざっているが、大半は聞いたことのない中小出版社の本や海外の本、官公庁の出…

磯部涼『令和元年のテロリズム』を読んだ

令和元年のテロリズム 作者:磯部涼 新潮社 Amazon 令和元年に起きた三つの事件、川崎登戸通り魔事件、元農水事務次官長男殺害事件、京都アニメーション放火殺人事件をテロリズムと分類して現代日本社会を分析する。東池袋自動車暴走死傷事故、常磐道煽り運転…

仲正昌樹『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』を読んだ

悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える (NHK出版新書) 作者:仲正 昌樹 NHK出版 Amazon Kindle Unlimited対象だったので読んだ。Kindle Unlimitedを利用した理由は『1日1本、365日毎日ホラー映画』が読みたかったから。超マイナー映画ばっかりで得る…

『車谷長吉の人生相談 人生の救い』を読んだ

車谷長吉の人生相談 人生の救い (朝日文庫) 作者:車谷 長吉 朝日新聞出版 Amazon Kindle版がポイント50%還元セール対象だったので購入。著者の本を読むのは久しぶり。一時期好きで結構読んだ。一番よかったのは『赤目四十八瀧心中未遂』で間違いない。短篇の…

モンテーニュ『エセー抄』を読んだ

モンテーニュ エセー抄 新装版 作者:ミシェル・E・ド・モンテーニュ みすず書房 Amazon 箴言の宝庫のような本。各章まずテーマが示され、それについて自身の経験や読んできた本の引用などが続き、やがて話題が少しずれていく。とりとめないというか融通無碍…

ヴィリエ・ド・リラダン『残酷物語』を読んだ

ヴィリエ・ド・リラダン・コレクションの第一弾。『未来のイヴ』『クレール・ルノワール』と続くとの告知。小説を集めたコレクションであるようで「生活なんてものは召使いにさせておけ」の台詞で知られる戯曲「アクセル」が収録される予定があるかどうか微…

蓮實重彥『見るレッスン 映画史特別講義』を(一応)読んだ

見るレッスン~映画史特別講義~ (光文社新書) 作者:蓮實 重彦 光文社 Amazon Kindle版が50%ポイント還元対象だったので購入。だが自分が求めている内容ではなかった。関心が持てたのは全体の半分程度。そのあたりを読んであとは適当に読み飛ばした。40分く…

ソポクレス『オイディプス王』『アンティゴネー』を読んだ

オイディプス王 (光文社古典新訳文庫) 作者:ソポクレス 光文社 Amazon アンティゴネー (岩波文庫) 作者:ソポクレース,中務 哲郎 岩波書店 Amazon ソポクレスによるテーバイもの三作のうちの二作。『アンティゴネー』を読みたくなったのだがその前日譚たる『…

石牟礼道子/伊藤比呂美『死を想う われらも終には仏なり』を読んだ

新版 死を想う (平凡社新書0884) 作者:石牟礼 道子,伊藤 比呂美 平凡社 Amazon 伊藤比呂美さんから石牟礼道子さんへのインタビュー的な対談集。テーマは主として死について。 石牟礼さんの戦中・戦後の体験から様々な死について述べられる。空襲が来て防空壕…

吉田豪『サブカル・スーパースター鬱伝』を読んだ

サブカル・スーパースター鬱伝 (徳間文庫カレッジ) 作者:吉田 豪 徳間書店 Amazon 中年本の一冊として。なぜサブカルは四十を過ぎると鬱になるのかをめぐるインタビュー集。リリー・フランキー、大槻ケンヂ、杉作J太郎、松尾スズキ、ユースケ・サンタマリア…

『押井守の映画50年50本』を読んだ

押井守の映画50年50本 (立東舎) 作者:押井 守 リットーミュージック Amazon まず、自分は押井守監督の熱心なファンではない。『イノセンス』と『スカイ・クロラ』を劇場で見、配信で『GHOST IN THE SHELL』と『パトレイバー』2作を見たことがある程度である…

中村光夫『老いの微笑』を読んだ

老いの微笑 (ちくま文庫) 作者:中村 光夫 筑摩書房 Amazon 中年本の一冊として。中年本というよりはもう少し先の初老本あるいは老齢本といった方が適切な内容だった。むろん知ったのは荻原魚雷『中年の本棚』による。 hayasinonakanozou.hatenablog.com 中年…

『本当に君は総理大臣になれないのか』を(一応)読んだ

本当に君は総理大臣になれないのか (講談社現代新書) 作者:小川淳也,中原一歩 講談社 Amazon 大島新監督のドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』は面白かった。とくに関係者以外知ることのない選挙の舞台裏や人間模様を興味深く見た。乗っ…

『杉作J太郎が考えたこと』を読んだ

杉作J太郎が考えたこと 作者:杉作 J太郎 青林工藝舎 Amazon 中年本の一冊として。2001年2月から2011年4月までの十年にわたる連載エッセイの中からセレクトしたとのこと。なかなかに濃い。熱い。 まず、金がない、という話から始まる。金がない話はその後10年…

山田太一『見えない暗闇』を読んだ

見えない暗闇 (朝日文芸文庫) 作者:山田 太一 朝日新聞社 Amazon 主人公の松本洋介は45歳、都清掃局の課長。39歳の妻がいる。一人息子は大学入学をきっかけに家を出て行った。入れ代わりのようなタイミングで病身の義父との慣れない同居が始まった。傍目には…

酒井順子『中年だって生きている』を読んだ

中年だって生きている (集英社文庫) 作者:酒井 順子 集英社 Amazon 中年本の一冊として。女性による中年本はこれが初か。この本も『中年の本棚』で言及されていた。 hayasinonakanozou.hatenablog.com 著者は1966年生まれのバブル世代なので自分より一回りほ…

永江朗『51歳からの読書術』を読んだ

51歳からの読書術―ほんとうの読書は中年を過ぎてから 作者:永江 朗 発売日: 2016/02/01 メディア: 単行本 中年に関する本として選択。著者個人の読書の方法論。扱われるのはほぼ文芸作品のみ。しかし読書のスタイルとして本書の内容は文芸以外の読書にも適用…

桐野夏生『夜の谷を行く』を読んだ

夜の谷を行く (文春文庫) 作者:桐野 夏生 発売日: 2020/03/10 メディア: Kindle版 主人公の西村啓子は60代の年金生活者。かつては連合赤軍の末端メンバーの一人だった。山岳ベース事件の最中、もう一人の女性とともに下山して逮捕、起訴された過去を持つ。有…

関川夏央『中年シングル生活』と津野海太郎『歩くひとりもの』を読んだ

中年シングル生活 (講談社文庫) 作者:関川夏央 発売日: 2014/08/15 メディア: Kindle版 歩くひとりもの (ちくま文庫) 作者:津野 海太郎 メディア: 文庫 荻原魚雷『中年の本棚』で紹介されていた二冊。『中年シングル生活 』には『歩くひとりもの』の引用が…

荻原魚雷『中年の本棚』を読み、中年の自分について考える

中年の本棚 作者:荻原魚雷 発売日: 2020/07/31 メディア: 単行本(ソフトカバー) 所謂ミドルエイジ・クライシスをサバイブする助けを書物から探る、ブックガイド的なエッセイ。冒頭、野村克也の著作にふれて「四十初惑」という言葉が出てくる。昔の賢人は「…

松浦寿輝『わたしが行ったさびしい町』を読んだ

わたしが行ったさびしい町 作者:松浦 寿輝 発売日: 2021/02/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) 著者がこれまでに訪れた数多の土地について、さびしさという観点から述べる。街ではなくて町、というタイトルからも窺えるように、観光地的な賑やかな土地で…

四方田犬彦『「かわいい」論』を読んだ

「かわいい」論 (ちくま新書) 作者:四方田 犬彦 発売日: 2006/01/01 メディア: 新書 本書から「かわいい」という語のニュアンスを引用する。 小さなもの。どこかしら懐かしく感じられるもの。守ってあげないとたやすく壊れてしまうかもしれないほど、脆弱で…

恩田陸『灰の劇場』を読んだ

灰の劇場 作者:恩田陸 発売日: 2021/02/16 メディア: Kindle版 ネタバレあり。 普段現代作家の小説をあまり読まない、というか小説を、さらには本自体、最近はめっきり読めなくなってきているのだけれど、Twitterのタイムラインに流れてきた本書の概要が面白…

山内一也『ウイルスの意味論』を読んだ

ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在 作者:山内一也 発売日: 2019/01/18 メディア: Kindle版 『ウイルスの世紀』の姉妹編。書かれたのは本書の方が先なのでまずこちらから読んだが、ウイルス総論ともいうべき内容は理科系の教養がからきしの自分には手…

山内一也『ウイルスの世紀』を読んだ

ウイルスの世紀――なぜ繰り返し出現するのか 作者:山内一也 発売日: 2020/08/28 メディア: Kindle版 全五章に分けてウイルスについて述べる。一章はウイルスとはそもそも何であるか、二章はエマージングウイルスの系譜、三章は新型コロナウイルス、四章は人類…

谷岡一郎『ツキの法則』を読んだ

ツキの法則 「賭け方」と「勝敗」の科学 (PHP新書) 作者:谷岡 一郎 発売日: 2015/07/10 メディア: Kindle版 今年から本格的? に競馬を始めたので回収率を上げる賭け方のヒントでもあればと期待して読んでみた。 予想していたとはいえ、冒頭から「ギャンブル…

100分de名著 ブルデュー『ディスタンクシオン』を読んだ

NHK 100分 de 名著 ブルデュー『ディスタンクシオン』 2020年 12月 [雑誌] (NHKテキスト) 発売日: 2020/11/25 メディア: Kindle版 NHK「100分de名著」のテキスト。ブルデューの『ディスタンクシオン』は以前に二度ほど図書館で借りたが二度ともほ…