読書

大江英樹『となりの億り人』を読んだ&自分が影響を受けたお金関連の本5冊

となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」 (朝日新書) 作者:大江 英樹 朝日新聞出版 Amazon 2019年の調査によると日本で1億円以上の金融資産を持っている世帯は133万世帯。これは一般世帯の2.4%に当たる。世帯主100人のうち2人から3人は「億り人」がい…

稲生平太郎『アクアリウムの夜』『アムネジア』を読んだ

アクアリウムの夜 (角川スニーカー文庫) 作者:稲生 平太郎 KADOKAWA Amazon アムネジア (角川書店単行本) 作者:稲生 平太郎 KADOKAWA Amazon 書影はアマゾンだがDMMブックスでポイント還元セールをやっているのでそちらで買ってiPadminiのアプリで読んだ。以…

ハイジ・J・ラーソン『ワクチンの噂 どう広まり、なぜいつまでも消えないのか』を読んだ

ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか 作者:ハイジ・J・ラーソン みすず書房 Amazon 新型コロナウイルスの対抗手段としてワクチンが開発され接種されている。しかし接種を拒否する人たちも世界中に数多くいる。著者はユニセフやWHOのワクチ…

町山智浩『それでも映画は「格差」を描く』を読んだ

「最前線の映画」を読む Vol.3 それでも映画は「格差」を描く(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル) 作者:町山智浩 集英社 Amazon 近年、世界各国で経済格差や貧困をテーマにした映画が増えてきているという。カンヌ映画祭のパルム・ドール…

ジェームズ・ブラッドワース『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』を読んだ

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した~潜入・最低賃金労働の現場~ 作者:ジェームズ・ブラッドワース 光文社 Amazon イギリスのジャーナリストによる最低賃金労働現場の体験ルポ。原題はシンプルにHIREDなので邦題はだいぶ盛っているというか煽…

江川紹子『「カルト」はすぐ隣に  オウムに引き寄せられた若者たち』を読んだ

「カルト」はすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者たち (岩波ジュニア新書) 作者:江川 紹子 岩波書店 Amazon カルトによるマインドコントロールについてオウム真理教を例に検証・分析する。1章では教祖麻原の生い立ちとオウム真理教の成り立ちを、2章ではオ…

エド・ゲイン関連の二冊を読む──ハロルド・シェクター『オリジナル・サイコ』とロバート・ブロック『サイコ』

オリジナル・サイコ―異常殺人者エド・ゲインの素顔 (ハヤカワ文庫NF) 作者:ハロルド シェクター 早川書房 Amazon サイコ (創元推理文庫) 作者:ロバート ブロック 東京創元社 Amazon ヒッチコックの映画『サイコ』(原作はロバート・ブロックの小説)のノーマ…

カロリン・エムケ『なぜならそれは言葉にできるから』を読んだ

なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について 作者:カロリン・エムケ みすず書房 Amazon この本は二ヶ月くらい前に再読している。初読はもっと前、今年の春先頃だったか。一読して圧倒され、感想を書こうにも書けなかった。そのうち時間が…

小山清『風の便り』を読んだ

小山清はいい。文は人なりという言葉があるけれど、遠慮がちに、慎み深く、善美を希求するその文章を読むと胸が温かくなる。本書には著者自身の身辺を語ったり内省するような作品が11編収録されている。勤務先の金を使いこんだがために刑務所に服役し、夕張…

ブックオフせどり黄金時代の記録──吉本康永『大金持ちも驚いた105円という大金』を読んだ

大金持ちも驚いた105円という大金 作者:吉本 康永 三五館 Amazon 還暦間近の予備校教師によるブックオフせどりの記録。2007年当時、著者は事業の失敗と複数の不動産購入により毎月の40万円のローン返済を抱えていた。そこへリーマンショックによる不況と少子…

ブックオフにあまり通っていないけれど『ブックオフ大学ぶらぶら学部』を読んだ

ブックオフ大学ぶらぶら学部 作者:砂鉄, 武田,トロンボ, 大石,賢二, 山下,貴司, 小国,晋, 佐藤,幸治, 馬場,潤一郎, 島田,Z 夏葉社 Amazon ブックオフの魅力と思い出を執筆者たちが述べた本。自分はあまりブックオフに思い入れはなくて、掘り出し物を見つけ…

『押井守監督が語る映画で学ぶ現代史』を読んだ

押井守監督が語る映画で学ぶ現代史 作者:押井守,野田真外 日経BP Amazon 押井監督の映画評論も三冊目。1963年の『世界大戦争』から2014年の『キャプテン・アメリカ/ウインター・ソルジャー』、さらにはYouTubeへと至る映画・映像作品から、制作当時の時代精…

エリック・ジェイガー『最後の決闘裁判』を読んだ

最後の決闘裁判 (ハヤカワ文庫NF) 作者:エリック ジェイガー 早川書房 Amazon リドリー・スコット監督の映画の原作。映画へ行く前に内容を把握したく読んだ。結果的には先に読んでから映画を見て正解だった。退屈な映画だったが読んでいなかったらもっと退屈…

押井守『シネマの神は細部に宿る』を読んだ

シネマの神は細部に宿る 作者:守, 押井 東京ニュース通信社 Amazon 押井監督が自身のフェティシズムの観点から映画を語る。まえがきがいい。世に数多ある名作傑作の類いはせいぜいが数度見ればもう繰り返し見ることはない。その一方で、褒められた出来ではな…

津野海太郎『最後の読書』『百歳までの読書術』を読んだ

最後の読書 (新潮文庫) 作者:津野 海太郎 新潮社 Amazon 百歳までの読書術 作者:津野 海太郎 本の雑誌社 Amazon 『歩くひとりもの』から時が経った。あれは中年本だったが今度の二冊は老齢本。著者はすでに後期高齢者である。 hayasinonakanozou.hatenablog.…

ヴァージニア・ウルフ『病むことについて』を読んだ

病むことについて 新装版 作者:ヴァージニア・ウルフ みすず書房 Amazon エッセイ及び書評14編、短編小説2編を収録。 表題作は、病気はなぜ文学のテーマにならないのか、という魅力的な問いから始まる。文学にとっては常に精神が関心事で、肉体の苦痛につい…

『柳下毅一郎の特殊な本棚』を読んだ&DMMブックスアプリの操作性について

柳下毅一郎の特殊な本棚 作者:柳下毅一郎 本の雑誌社 Amazon どこから見つけてきたんですか? と訊きたくなるような特殊な本ばかりを集めた書評集。大手出版社の本もいくらかは混ざっているが、大半は聞いたことのない中小出版社の本や海外の本、官公庁の出…

磯部涼『令和元年のテロリズム』を読んだ

令和元年のテロリズム 作者:磯部涼 新潮社 Amazon 令和元年に起きた三つの事件、川崎登戸通り魔事件、元農水事務次官長男殺害事件、京都アニメーション放火殺人事件をテロリズムと分類して現代日本社会を分析する。東池袋自動車暴走死傷事故、常磐道煽り運転…

仲正昌樹『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』を読んだ

悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える (NHK出版新書) 作者:仲正 昌樹 NHK出版 Amazon Kindle Unlimited対象だったので読んだ。Kindle Unlimitedを利用した理由は『1日1本、365日毎日ホラー映画』が読みたかったから。超マイナー映画ばっかりで得る…

『車谷長吉の人生相談 人生の救い』を読んだ

車谷長吉の人生相談 人生の救い (朝日文庫) 作者:車谷 長吉 朝日新聞出版 Amazon Kindle版がポイント50%還元セール対象だったので購入。著者の本を読むのは久しぶり。一時期好きで結構読んだ。一番よかったのは『赤目四十八瀧心中未遂』で間違いない。短篇の…

モンテーニュ『エセー抄』を読んだ

モンテーニュ エセー抄 新装版 作者:ミシェル・E・ド・モンテーニュ みすず書房 Amazon 箴言の宝庫のような本。各章まずテーマが示され、それについて自身の経験や読んできた本の引用などが続き、やがて話題が少しずれていく。とりとめないというか融通無碍…

ヴィリエ・ド・リラダン『残酷物語』を読んだ

ヴィリエ・ド・リラダン・コレクションの第一弾。『未来のイヴ』『クレール・ルノワール』と続くとの告知。小説を集めたコレクションであるようで「生活なんてものは召使いにさせておけ」の台詞で知られる戯曲「アクセル」が収録される予定があるかどうか微…

蓮實重彥『見るレッスン 映画史特別講義』を(一応)読んだ

見るレッスン~映画史特別講義~ (光文社新書) 作者:蓮實 重彦 光文社 Amazon Kindle版が50%ポイント還元対象だったので購入。だが自分が求めている内容ではなかった。関心が持てたのは全体の半分程度。そのあたりを読んであとは適当に読み飛ばした。40分く…

ソポクレス『オイディプス王』『アンティゴネー』を読んだ

オイディプス王 (光文社古典新訳文庫) 作者:ソポクレス 光文社 Amazon アンティゴネー (岩波文庫) 作者:ソポクレース,中務 哲郎 岩波書店 Amazon ソポクレスによるテーバイもの三作のうちの二作。『アンティゴネー』を読みたくなったのだがその前日譚たる『…

石牟礼道子/伊藤比呂美『死を想う われらも終には仏なり』を読んだ

新版 死を想う (平凡社新書0884) 作者:石牟礼 道子,伊藤 比呂美 平凡社 Amazon 伊藤比呂美さんから石牟礼道子さんへのインタビュー的な対談集。テーマは主として死について。 石牟礼さんの戦中・戦後の体験から様々な死について述べられる。空襲が来て防空壕…

吉田豪『サブカル・スーパースター鬱伝』を読んだ

サブカル・スーパースター鬱伝 (徳間文庫カレッジ) 作者:吉田 豪 徳間書店 Amazon 中年本の一冊として。なぜサブカルは四十を過ぎると鬱になるのかをめぐるインタビュー集。リリー・フランキー、大槻ケンヂ、杉作J太郎、松尾スズキ、ユースケ・サンタマリア…

『押井守の映画50年50本』を読んだ

押井守の映画50年50本 (立東舎) 作者:押井 守 リットーミュージック Amazon まず、自分は押井守監督の熱心なファンではない。『イノセンス』と『スカイ・クロラ』を劇場で見、配信で『GHOST IN THE SHELL』と『パトレイバー』2作を見たことがある程度である…

中村光夫『老いの微笑』を読んだ

老いの微笑 (ちくま文庫) 作者:中村 光夫 筑摩書房 Amazon 中年本の一冊として。中年本というよりはもう少し先の初老本あるいは老齢本といった方が適切な内容だった。むろん知ったのは荻原魚雷『中年の本棚』による。 hayasinonakanozou.hatenablog.com 中年…

『本当に君は総理大臣になれないのか』を(一応)読んだ

本当に君は総理大臣になれないのか (講談社現代新書) 作者:小川淳也,中原一歩 講談社 Amazon 大島新監督のドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』は面白かった。とくに関係者以外知ることのない選挙の舞台裏や人間模様を興味深く見た。乗っ…

『杉作J太郎が考えたこと』を読んだ

杉作J太郎が考えたこと 作者:杉作 J太郎 青林工藝舎 Amazon 中年本の一冊として。2001年2月から2011年4月までの十年にわたる連載エッセイの中からセレクトしたとのこと。なかなかに濃い。熱い。 まず、金がない、という話から始まる。金がない話はその後10年…