映画

映画館がつらい

藤本タツキ『さよなら絵梨』より 先日、はてブを見ていたらこんなエントリが上がっていた。 shueisha.online 最前列の客が上映中ずっとスマホをいじっていて、スタッフが注意すると一旦は従うがすぐにまたいじりだしたとのこと。スマホいじりたいなら最後列…

最近見た白石晃士監督作品の感想

夏季休暇のはじめに『近畿地方のある場所について』を見に行った。 hayasinonakanozou.hatenablog.com 劇パート以上に印象的だったのがモキュメンタリータッチの資料映像の数々。どれも作り込みが絶妙で、中でもニコ生配信のパートと「見たら死ぬ動画」はか…

映画および文庫版『近畿地方のある場所について』感想

ネタバレあり感想。 単行本は刊行されてすぐに読んだ。面白かった。元々カクヨムに投稿中のときから読んでいたのでリアルタイムで更新されていくのを体験している。本になってからまとめて読むのとはまた違った体験だ。 hayasinonakanozou.hatenablog.com 映…

GEOのある暮らし

17年間加入していたAmazonプライムを4月に解約した。詳細は以下の記事参照。 hayasinonakanozou.hatenablog.com それに伴い、ン十年ぶりにディスクをレンタルする生活に入った。それについてメリット、デメリットを挙げてみる。 まずメリットから。 ・配信さ…

エグくてグロくてやばすぎる 映画『サブスタンス』を見た

ネタバレあり感想。 この映画は展開がすごいので情報なしで見た方が楽しいと思います。俺の予想の斜め上をいくとんでもない映画だった。 予告を見た限りだと、50歳になって*1仕事がなくなった落ち目の元スター女優が禁断の若返り術に手を出してかつての栄光…

2000年代以降の邦画ベスト10

少し前にはてブを見ていたらこんなエントリが上がっていた。 anond.hatelabo.jp 前に洋画オールタイムベスト10を挙げた。 hayasinonakanozou.hatenablog.com 上の記事は作品のよさもさることながら、見た映画にまつわる自分の思い入れが重視されてるのでライ…

イーストウッドの新作が劇場公開されない寂しさ 『陪審員2番』を見た

陪審員 2番 ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray] ニコラス・ホルト Amazon 陪審員2番 Nicholas Hoult Amazon ネタバレあり。 被告が無罪を主張しているある殺人事件の陪審員に選出された男。彼こそが事件の真犯人だった。 …という経緯は映画が始まってす…

彼女はファム・ファタルか、それとも地獄のサバイバーか 映画『カル』のヒロインについて

先日、はてブを見ていたらこんなエントリが上がっていた。 anond.hatelabo.jp これに対して付けた俺のブクマコメントはこれ。 40あたりで狂う女性(美人)が多い理由 こっちは何もしてないのに(下心ある)異性が寄ってくるって鬱陶しくないか。むしろ歳食っ…

映画『バトル・ロワイアル』をリバイバルで見た

2週間限定で深作欣二監督『バトル・ロワイアル』がリバイバル上映している。何度も配信で見ているけれども*1この週末とくに予定もなかったので見に行ってきた。来場特典の武器カードは谷沢はるかのブローニング・ハイパワーだった。支給武器としてはアタリだ…

映画から考える、高齢ひとりものの生きる道 『敵』『PERFECT DAYS』『PLAN75』

映画『敵』を見た。 happinet-phantom.com 妻に先立たれ、都内の一軒家で一人暮らしをしている70代後半の元フランス文学教授、渡辺。彼は自分の資産から余命を逆算し、尽きる日に自ら命を断つXデーと定めて生活している。食事は自炊。たまに行きつけのバーで…

洋画オールタイムベスト10

順位なし。同じ監督、同じ主演俳優にならないよう選んだ。 ジョーズ エイリアン2 セブン スター・ウォーズ 帝国の逆襲 ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間 タクシードライバー シャイニング マトリックス 殺人の追憶 クローバーフィールド/HAKAIS…

夏、ホラーに耽る

7月8月の2カ月間、ホラーに耽っていた。小説と映画。 最近ちょっとしたホラーブームのようで関連書籍の出版や特集がよく組まれている印象。それらがよきガイドとなってくれた。 ホラー映画はわりと見る方だが小説はあまり読んでこなかったので新鮮だった。世…

映画『悪は存在しない』を見た

濱口監督の新作を見てきた。 ネタバレあり感想。 長野県のある町にグランピング場の建設計画が持ち上がる。コロナ禍で経営難に陥った東京の芸能事務所が政府からの補助金目当てで立ち上げた事業だった。この計画をめぐって地元住民と計画担当者(本業は芸能…

映画『ルックバック』を見た

原作をアニメーションで忠実に再現しつつ原作では描かれていなかった細部が丁寧に補完されていた。作業中の貧乏揺すり、アシスタントの姿、当日の編集者との電話でのやりとりなど。アニメならではの動きがもっとも表現されていたのはスキップのシーン。この…

胸糞悪さトラウマ級…映画『胸騒ぎ』を見た

映画.comからあらすじ引用。 ある善良な家族を襲う悪夢のような週末を描いたデンマーク・オランダ合作によるヒューマンホラー。 休暇でイタリアへ旅行に出かけたデンマーク人の夫妻ビャアンとルイーセ、娘のアウネスは、そこで出会ったオランダ人の夫妻パト…

映画『オッペンハイマー』を見た

見に行くスケジュールの都合がなかなかつかず先週末にようやく見た。 通常なら去年のうちに公開されたのだろうが原爆開発者の伝記的映画という内容への「配慮」からか、今年にずれ込んだ。配給会社も変わった。一時は日本公開はないのではと思ったりもしたが…

リバイバル上映で『秒速5センチメートル』を見た

60分映画のリバイバル上映が特別料金1600円。割引サービス等の利用不可。ユナイテッド・シネマ会員は通常1500円で見られるからむしろ新作よりも鑑賞料金が高くなるというユニークな事態に。新海ブランドの力か、強気の価格設定。でも劇場のスクリーンで『秒…

映画『ファースト・カウ』を見た

監督のケリー・ライカートは現代アメリカ映画界で「最も重要なインディペンデント系監督」の一人であるらしい。Xを見ていたらこの人の映画が日本で初公開されるとちょっとした話題になっていた(特集上映は過去にやっているらしい)。 知らん監督だな、どん…

2023年 映画ベスト10

2023年は42本を鑑賞。 2019年から映画館で映画を見るのを趣味にしてきたがそろそろ飽きてきた。 映画館の提供する暗闇、大スクリーン、音響設備に対する慣れによる感度の低下。 スケジュールに合わせて現地まで移動するだるさと費やす時間の大きさ*1。 愚痴…

ひさびさにアタリのホラー映画『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』感想

あんまり期待していなかったけど見たら面白かった。 金曜のレイトショー。わりと客が入っていた。若い男女が多かったのは意外。たまたまか。普段俺が見に行く上映回は中年以上の一人客ばっかりなことが多いので新鮮だった。 10代の若者たちがお遊び感覚で降…

ナポレオン、黒毛和牛バーガー、露天風呂

押井守が「サー」と敬称で呼ぶリドリー・スコットの新作『ナポレオン』を見に行った。 今の時代にナポレオンかよ、との思いはあったが、名匠だけに一定の水準以上ではあるはず、との期待から。ホアキンがナポレオンを演じるというのも俺的にはプラスポイント…

首! 首! 首! 映画『首』を見た

荒木村重の反乱から本能寺の変を経て山崎の戦いまで。 監督自身が演じる秀吉は観察者のよう。一歩引いて状況を見ている。ストーリーの中心にいるのは彼ではなく信長。加瀬亮演じる信長は狂人にしか見えない。言動がめちゃくちゃで、とんでもないニヒリストが…

現代社会への諷刺と問いかけ──映画『正欲』を見た

ダイバーシティや多様性を謳う現代への強烈な諷刺。 多様性の尊重と言ったってそれは普通の人たちが理解できる範疇にのみ適用されるのであってそこからはみ出した人間には適用されないんでしょ? という。 彼らは外見上は一般の人たちと同じで区別がつかない…

不死身のゴジラ、不死身の浜辺美波 映画『ゴジラ -1.0』感想

タイトル、ネタバレになっているが公開されて1週間経つからもういいだろう。 去る11月3日に見てきた。この日は文化の日、そしてあとで知ったのだがゴジラの日でもあったという(1954年11月3日に初代ゴジラが封切られたとのこと)。あとで知ったくらいだから…

206分でも最後まで飽きずに見られた 映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』感想

上映時間がやばい。206分。でも『アイリッシュマン』が209分だったから少しだけ短くなっている。誤差の範囲だが。『アイリッシュマン』は退屈で途中何度もうとうとしてしまったが本作は終盤で少しだれたものの(要らなくねえか? と思えるシーンがいくつか)…

映画『福田村事件』を見た

ちょうど100年前の1923年、現在の野田市で起きた自警団による虐殺事件を元にしたフィクション。イオンシネマ板橋が最寄りの上映館だったので行ってきた。ちょうど夕食の時間帯の上映にも関わらずほぼ満席。 震災直後の混乱の中で流言蜚語が飛び交い、無実の…

川崎チネチッタで映画『オオカミの家』を見てきた

カルト団体のコミューンから脱走した少女が体験する悪夢のような世界をストップモーションアニメで描いた映画『オオカミの家』。面白そうだから見に行きたかったが上映館が少ない。最寄りの川越スカラ座は上映スケジュールがまだ先。イメージフォーラムまで…

『BRUTUS No.991 怖いもの見たさ。』を読んだ

BRUTUS(ブルータス) 2023年 9月1日号 No.991 [怖いもの見たさ。] [雑誌] マガジンハウス Amazon ホラー特集号。 熱心なマニアではないけれどジャンルとしてホラーはわりと好き。 なぜホラーが好きなのか。 恐怖は人間にとって強烈な感情(生存本能に直結して…

夏季休暇中に見た映画3本 『ミンナのウタ』『ヴァチカンのエクソシスト』『イノセンツ』感想

『ミンナのウタ』 『リング』と『呪怨』を足して薄めたような感じ。GENERATIONSのメンバーが本人役で出演して怪異に巻き込まれる。実質的な主人公は失踪したメンバーを探す探偵役のマキタスポーツ。汚ならしい中年の役がハマっていた。始まってすぐにGENERAT…

トム・クルーズとイーロン・マスク、どこで差がついたのか 『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』を見た

4DX吹替で見てきた。 ミッション:インポッシブルシリーズ、過去作は一つか二つしか見ていない。なのに新作を見に行ったのは、予告編でトム・クルーズがバイクで崖からダイブするシーンがすごかったから。実際見たらバイクでのダイブ以上にカーチェイスや機…