2023年 映画ベスト10

2023年は42本を鑑賞。

2019年から映画館で映画を見るのを趣味にしてきたがそろそろ飽きてきた。

 

映画館の提供する暗闇、大スクリーン、音響設備に対する慣れによる感度の低下。

スケジュールに合わせて現地まで移動するだるさと費やす時間の大きさ*1

愚痴っぽくなるからあんま言いたくないがマナー悪い(うるさい)客との遭遇率の上昇*2

 

映画を見るのに専念できる映画館の環境は素晴らしいが上記の理由から来年以降は映画館へ行く回数を月2回程度に減らそうかなと。大体今年の半分くらい。「とりあえず見とくか〜」的な軽いノリで映画館へ行くことが多かったから来年からはちゃんと選択するようにしたい。浮いた時間は読書や散歩にあて、浮いた金は新NISAに回す。20本程度からベスト10を選ぶのは不可能だろう。なので来年以降はベスト3本を選ぶくらいになると思う。

 

今年はいい映画が多く、とくに邦画がよく(毎年言ってる気もする)いい映画ライフを送れた。宮崎駿北野武マーチン・スコセッシリドリー・スコットといった大御所が頑張ってるのに元気づけられた。

 

以下、軽く感想。順番は鑑賞した順。

 

ノースマン

サガの世界。途中からハムレットだと気がついた。激しい暴力性、血腥さが見応えあり。クライマックスの決闘シーンは大迫力。アニャ・テイラー=ジョイかわいい。ロバート・エガース監督は『ウイッチ』も好みで、『ライトハウス』を見ようと思いつつ結局まだ見ていない。U-NEXTはとっくに解約しており、そのせいもあったか今年はほとんど自宅で映画を見ない一年だった。

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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVOLUME3

4DX3Dで2回鑑賞。前2作は知らずに見にいったが話は理解できた。というかめちゃくちゃ面白かった。とにかく画が強い。ストーリーも単純ながらちょっと泣ける要素あるし、敵役は憎いしで盛り上がる。ラストバトルは熱い。混戦シーンがすげーかっこよくて鳥肌立った。これ見たあと前2作見たけどあまり面白くなかった。3がずば抜けてる。

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怪物

俺、わりと是枝監督好き。この映画は複数の視点人物たちの視点から徐々に核心が明らかになっていくミステリめいた構成になっている。ラストの解放感が素晴らしかった。夏、雨上がり、Tシャツ。坂本龍一の音楽もよかった。

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君たちはどう生きるか

NHKのドキュメンタリーを見たら宮崎駿はそこまで高畑勲に執着していたのかとびっくりした。唖然というか。この映画の大叔父は高畑勲。主人公である宮崎駿は一人で対決するのが怖いからサギ男鈴木敏夫と二人で会いに行ったと。なんか笑えるな。ファンタジックな冒険譚でありハウル以降の宮崎作品で一番好き。周囲の助けあってこそだろうがそれでも82歳でこれを作っちゃうのは本当尊敬する。一生現役でいてください。ドキュメンタリーの最後でオーマとナウシカ描いてたのはなんだったんだろう。

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ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE

4DXで。まだ前編だけだけど十分すぎるほど面白かった。映画の楽しさがフルコースで提供される。見ている最中現実を忘れて映像に没頭し、見終われば満足感とともに映画館を後にする。これぞ映画を見る醍醐味って感じ。トム・クルーズは好きだがサイエントロジーは…。

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イノセンツ

童夢から影響を受けているとか。北欧スリラー映画の静かで不穏な感じ好き。子供ならではの残酷さがよく描かれてていいなあと思う。ラストバトルでそれまで無力だった主人公が遂に超能力に覚醒、自閉症の姉と協力して敵を打倒するのが熱い。しかもその戦いが、お母さんがスーパーに買い忘れたものを買いに行った間に始まり、終わるという。ブルーレイの購入考えてるが高いしどうしよう。

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アンダーカレント

これ、よすぎてブログに感想書けなかった。原作はずっと昔に読んだけどどんな話かすっかり忘れていた。冒頭から夫の失踪というミステリーはあるものの中盤まではわりと平穏に進むので展開がなかなか見えてこない。女の子が行方不明になったあたりから怖くなってくる。「取り返しのつかないことになったらどうしよう」、あのシーンの真木よう子の情緒不安定な感じはリアリティあってよかった。真木よう子井浦新リリー・フランキー永山瑛太、みんなよかったがリリーさんが存在感で頭ひとつ抜けてたように思う。胡散臭い私立探偵役がハマりすぎ。永山瑛太は行方知れずのままでもよかったと思う。見つかったせいで動機を説明する羽目になりストーリーの興を削いでしまったような。解明されないままの方がいい謎もある。

 

 

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

3時間26分はさすがに長すぎと思うが『アイリッシュマン』とは比較にならないほど楽しかった。弱さから悪事を重ねていくディカプリオのダメ男っぷりが面白い。デ・ニーロの方は完全にサイコパスだろう。映画のあとの史実を知るとムカついてくる。

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正欲

かなりよかった。今撮られるべき映画だったと思うし今見るべき映画だったと思う。この映画を見たあとでミシェル・フーコーの性と権力に関する言説を知って解像度が上がった。国家の基盤は家族である、家族は異性愛による婚姻制度から成っている、婚姻制度は子を産み、育て、労働力として社会に参加させる役割を担っている。性欲はプライベートな個人の欲望と思われがちだが実際には国家によって周到に管理されていた、というのは気味悪い話で、じゃあその制度に参加できない者たちはどうやって生きていったらいいの? という話。ことは性欲・性癖の話に止まらない。社会が勝手に定める「正常」から外れた者はどうやって自分の居場所をこの世界に見つければいい? 異性愛者だが独身中年な俺だって正常から外れている側の一人だろうから他人事じゃない*3。「この世界で生きていくために手を組みませんか」。生きていくにはお互いの気持ちがわかる同志が要る。水はよくてペドはダメなのはなぜ? 加害性の有無? 何が「正しい欲望」なのか考えると頭が混乱してくる。その「正常」をジャッジするのは誰? 何? とか。

この映画の新垣結衣はよかった。ガッキーじゃないよもう。新垣さんだよ。素晴らしい女優だよ。全然笑顔なくて、人と目を合わせなくて、ボソボソ喋る役がドハマりしてた。大晦日、年越し蕎麦を両親と食ってて子供がテレビに映るとチャンネル無言で変えるの、独身実家暮らしあるあるだよなあと見入っていた。俺はもう両親が諦めたらしく結婚とか孫とか言われなくなったけど。アイドル的な役じゃなくこういう陰な感じの役をこれからも演じてほしい。

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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー

俺が行く映画館はもっぱら近所のシネコン。ホラー映画はあまりかからない。客入りが悪いんだろう。もっとかけてほしいからホラーやるとほぼ必ず見に行くんだけどホラー映画で年間ベストに挙げていいなと思えるほどのクオリティの作品って少ない。見終わって、こんなんだったらトム・クルーズの映画や新海誠宮崎駿の2回目を見た方がマシだったな…と落胆しつつ映画館を出ることほぼ毎度。そんな中この映画はかなりよかった。設定はザルだがストーリーはしっかりしてたし、ちゃんと怖さもあり、主人公がバカだからトラブルを招いて人間関係が悪化していくというイヤさもありで、さらに時間も95分とコンパクトにまとまっていて秀作と言っていいと思う。アリ・アスターのよさがわからん俺にとってここ何年かで一番出来のいいホラー映画だった。構成も手堅い。意外性はないけど綺麗に終わるから見終わって気持ちいい。

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以上。

今のところ来年公開で楽しみなのはビクトル・エリセ監督31年ぶりの新作『瞳をとじて』に尽きる。エリセ作品のDVD BOXとBlu-ray BOXを持ってるファンとしては(エリセ監督というか『ミツバチのささやき』のファン)アナ・トレントの出演もありめちゃくちゃ楽しみ。あとはまどか☆マギカの続編。『叛逆の物語』をスクリーンで見ておおいに興奮したものだがあれを超える新作だったら楽しいだろうなあ。

 

来年もいい映画が観られますように。

 

 

*1:移動時間を含めると映画一本見るだけで半日潰れてしまう。それでつまんねえ映画だったりしたらもう…

*2:偶然か知らんが今年は多かった

*3:俺が知ってる同級生の大半はとうに結婚したり子供もったり離婚したりしてる