映画『マイ・ブロークン・マリコ』感想

マリコのメンヘラっぷりにうんざり。ネガティブパワーをぶつけてくるあのうざさは演じる奈緒が凄いんだろうが。自分から離れたら死んでやると脅迫して目の前でリストカットするとか暴力でしかなく、シイノとの間にあったのは友情なのかもっと共依存的なものだったのか判然としない。少女時代の回想シーンでも描かれるのは大意としてはマリコって子はこんな可哀想な境遇で育ったんです、だからこういう「感覚ぶっ壊れた」大人になってしまったんですみたいな話ばかりで肝心の二人の友情はほとんど描かれていなかった…ように思う。大体が、それほどの親友だったならマリコが飛び降りる前にシイノに何らかの連絡をするもんじゃないのか*1。骨壷抱えて旅するほどの関係とは最後まで思えず。序盤、現在と過去が頻繁に入れ替わるためテンポが悪く、見る前に少し酒を飲んでいたのもあり寝そうになってしまった。もっとロードムービーっぽい感じなのかと思ったらあっさり目的地に到着してしまったのは拍子抜け。

 

目的地である岬に到着してからはテンポがよくなったように思う。それとも自分がこの映画に慣れてきたせいか。窪田正孝演じる釣り人が3回も都合よく登場するのには笑った。シイノのバッグを引ったくったフルフェイスがさらに女性を襲うのに再登場したのにも笑った。常識的に考えて犯罪を犯した土地からはすぐ逃げるもんだろ。留まってさらに犯罪を重ねるとは(しかもより重大犯罪にエスカレートしてる)まともな神経の持ち主じゃない。こいつの顔出して欲しかった。

 

よかったシーンは、シイノがブラック職場の喫煙所でタバコ吸いながら「クソが」と呟くシーンと、最後の駅弁食べるシーン。もっと海を映してほしかったな。岬が目的地だったのかもしれないが、裸足で波打ち際を歩いたり、水平線に日が沈んだりするシーンもあればよかった。これは俺の趣味だが。

 

*1:ラストで手紙が見つかるけれども