映画『LAMB/ラム』を見たが…

あまり見る機会のない北欧映画。ロケーションが素晴らしく雄大な自然の風景を広角で捉えた絵に感嘆。しかし映画は退屈。序盤、なかなか話が進まず欠伸を何度も。生まれてきた異形の子をなかなか映さず、やっと映したと思ったらセーターを着て食卓に登場。ホラーというよりギャグのようで、「人見知りなんだ」との父親の紹介に劇場内からは笑いがちらほら。俺も笑ってしまった。アダと名付けられたこの半人半羊の左手は人間の手、右手は羊の蹄というデザインはいいと思った。不気味なキャラクターなのかと思いきや素行は人間の子供そのもので、不覚にも可愛さを感じる。ボーダーコリーが映るシーンが多く、幸福な気持ちに。人間と走るシーンで足元に回り込む、うちで飼っていたのもそうだったがあれは牧羊犬のDNAがそうさせるんだろう。弟が登場、アダに対して客観的に判断できる第三者の登場によりドラマが起きるのかと思いきやならず(起きそうにはなる)むしろ兄嫁と絡み出す妙な展開に。夫婦の性交シーンがあったからてっきりそれで人間の子を妊娠し、アダは用済みになったから殺す、そういう人間の傲慢さを描くのかと予想したら話は次第に全然違う方向へ。予想だにしていなかった羊マン(マッチョ)の登場。パン神…は山羊だったか。じゃああれはなんだ? 羊の群れ、マリアという名のヒロインなどキリスト教的なモチーフが込められているのか? 北欧ってあまりキリスト教信仰が強いって印象がないんだがそうでもないのか。いやー、しかしこのキャラクターもギャグだよな。ライフル持っちゃうんだもん。人間の道具を使いこなす神? なんて…ありがたくない。終盤はよくわからん。人間の三角関係と、異形の生き物の話が同時に展開して、何が言いたいのやら俺には理解できなかった。変に言葉で説明しないは好印象だが。映画館で見なくてもよかった、な映画だった*1。隣でやってたNOPEの2回目見た方が充実の時間を過ごせただろう。というかボーダーコリー殺してんじゃねえよ。帰ってこなかったら飼い主なら必死になって捜すだろうにそんな素振りもないし、この夫婦に犬飼う資格はない。

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マイナーな映画だから近所で公開せず、面倒だが電車を乗り継いでさいたま新都心まで見に行ったが、この映画館は人気のようで人が多い*2。人出は23区内と大差ないのでは? あまりこっち方面来ないから知らないんだが浦和とかも人多いのか? 土曜日、台風が過ぎて雨の上がった19時過ぎの回、ロビーには20人程度しかいなかったのに上映時間が近づくにつれどんどんシアターに入ってくる。最終的には観客80人くらい? 近所のシネコンだったら10人いかないだろう。映画館の経営的にはいいことだろうが、隣には座られるし、後ろから上映中に4回も蹴られるし(過去最多回数かも)、上映中にスマホいじるバカもいるしで環境は決してよくない。観客の数が増えるほどこういうのも増える。中央周辺の席に人が集まるのでそこに座れば遭遇率はさらに上がる。こういうマイナーな映画見る人って結構な映画好きで行儀いいんじゃないかと思っていたが俺の思い違いだったようだ。シートの座り心地もよくないし、もうこの映画館には行かねえ。 

 

*1:最近だと『シー・フォー・ミー』『地下室のヘンな穴』『この子は邪悪』『ビースト』もそう

*2:以前『存在のない子供たち』を見たときはほぼ満席だった