ここ最近、配信で視聴した映画

先週末は相変わらずのステイホームの時間潰し、今週は仕事が暇で毎日定時で帰宅してスコッチの肴として、結構な数の映画をアマプラとネトフリで視聴した。記録として残しておく。これだけ続けて見ると少し飽きがくる…と思っていたが、『トゥモロー・ワールド』のような凄い映画を見ると、いや、いい映画ならいくら見ても飽きることはない、と思い直す。

 

『レヴェナント 蘇りし者』

ネトフリで。これ、前から見たいと思っていたがアマプラだと有料なのでなかなか踏ん切りがつかなかった。見たらとても自分好みの映画で感動した。公開当時、近所のシネコンでやっていたから見に行けばよかった。というかなぜ行かなかったのだろう? 冒頭からいきなりのアクションで退屈せず映画の世界に入っていける。その後に続く極限状況のサバイバル。人間が生きようが死のうが変わらず美しくあり続ける世界を捉えるショットの数々。画が素晴らしい映画。ラストの一騎打ちも見応えあり。自然への畏敬の念、先住民たちを搾取してきた白人たちへの告発といった要素に、フォークナーの小説、たとえば短編「熊」をなんとなく連想したり。とてもよかったので、途中で見るのをやめてしまった『バードマン』も今度見直そうという気になった。

 

バイオハザード

アマプラで。3までしか見ていないけれど、結局この無印が一番いい出来だったと思う。なんとなく画面から目が離せないまま最後まで見てしまう。AIが電源を切られる寸前に、「あなたたちはここで死ぬ」と言い残すところが怖い。ミラ・ジョボビッチはこの映画ですっかりアクション女優の印象が強くなった。公開当時、友人と映画館で見たのももうずいぶんと昔の話。

 

『エイリアン』

アマプラ有料。見るのは三度目くらいだろうか。いつもどういう映画だったか忘れてしまう。3も4も見たけれど、結局キャメロン監督の2が至高と思う。ギーガーの造形は本当に気持ちが悪いな、とフェイスハガーを見るたび感心する。パニック、スリラーとしては無印もいい映画なのだろうけど今見ると退屈に感じる部分も多くあり。暗くて何やってるかよくわからず(男が猫を探して襲われるシーンとか)今ひとつ怖さに欠ける。

 

エイリアン2

アマプラ有料。エイリアンシリーズはこれが至高だと思う。スリラーからアクションへ、前作からの方向転換が見事にハマった好例(同じキャメロン監督の『ターミネーター2』も方向転換が奏功している)。バスケスかっこいい。知らず知らずのうちに巣に入り込んで、わけもわからず四方から襲撃されるシーンの緊張感。リプリーは前作と比べるとだいぶ逞しくなった印象。彼女とニュートとの疑似的な母子愛は、クイーンとエイリアンたちのそれと対応する。ニュートを助けるためにコロニーに戻ったリプリーがエレベーター内で武装するシーンは、『タクシードライバー』でデ・ニーロが武装するシーンと並んで好き。武装シーンはいいもの。気分が高揚する。ビショップが引き裂かれるシーンを初めて見たときは(子供の頃、近所にできたレンタルビデオ店で父親が最初に借りてきたのがエイリアン2だった。当時は一泊二日レンタルでも700円くらいしたような気がする)めちゃくちゃ怖かった記憶がある。今見ても、無事生還した安堵から突然のあの展開には感心する。その後リプリーがパワーローダーに乗っての女同士のバトルはもっと見ていたい。ちょっと気になって調べたら、ニュート役の人はその後映画界から去って教職の道へ進んだとか。

 

エイリアン:コヴェナント

アマプラ有料。『プロメテウス』の続編だが、前作をほとんど忘れている。本作同様リドリー・スコット監督作だがまったく印象に残らない映画だった。もっとも、自分はエイリアン無印も『ブレードランナー』も贔屓にしていない人間で、だからリドリー・スコットにも特に思い入れはない。押井守監督はリスペクトしているそうだが。

本作でまず思うのはとにかくクルーの頭が悪すぎる。これ以上コールドスリープしたくないという幼稚な理由で、移住計画を放棄して信号を受信した未知の惑星へ向かう。未知の惑星なのに宇宙服を身につけず下船する(そのせいでエイリアンに寄生される)。エイリアンを見てパニクったクルーは銃を乱射して宇宙船が大破する。シナリオが酷すぎて真面目に見ようという気が序盤からなくなる。その後、エイリアンはアンドロイドによって創造された生物だと判明するが、特に衝撃は受けず、あっそふーん、という感じ。エイリアン誕生の秘密なんて、このシリーズには蛇足だと思う。フェイスハガーの卵があったが、ということはクイーンがどこかに潜んでいたのだろうか。終盤の、飛行船上という不安定な足場でのエイリアンとの戦いはまあまあ面白かったが2と比べれば全然劣る。自分の慣れもあるのかもしれないが、本作のエイリアンからはあまり恐ろしさ、おぞましさは感じられなかった。ラストは怖くない。ただ不愉快なだけ。最近見たうちでもっとも残念な映画。

 

『エイリアンvsプレデター

アマプラ有料。ハードルを思い切り下げて見た。初めからB級と思って見ているから変に期待がないぶん『コヴェナント』よりは見られた。プレデターと人間の共闘には馬鹿馬鹿しくなったが。ビショップ登場に驚き。地上に出たクイーンがやたらと動き回ると、ただの巨大モンスターという感じで怖さはまったくない。エイリアンはやはり1や2のような閉鎖された空間というシチュエーションで戦うから怖くて面白いのではないか。

 

『守護教師』

アマプラ有料。公開時、やはりマ・ドンソク主演の『無双の鉄拳』と迷ってそちらを見に行き、こちらは都合がつかなくて見られなかった記憶がある。こちらはアクション控えめで、『チェイサー』とか『殺人の追憶』のようなサイコ・サスペンス。上澄みだけが日本へ輸入されているのだろうけれど、それにしても韓国映画における殺人シーンの怖さ、絶望感は本当に凄い。『チェイサー』の浴室しかり、本作の公衆トイレしかり、映画と分かっていてもその場面の暗さ、薄汚さに心底怖くなる。マ・ドンソク主演ながらアクションは控えめ。でも肝心な部分では暴れてくれるので(スナックとか美術教師の家とか)不満なし。サイコ・サスペンスとしていい出来だと思う。『羊たちの沈黙』オマージュと思しき突入シーンあり。事件を解決したヒーローが黙って去っていくのはシェーンのようで格好いい。

 

エクソシスト

アマプラ有料。黒地に赤文字のタイトルロールから怖い。何度か見ているが内容を忘れてしまう。この映画、悪魔祓いのシーンは終盤にあるだけで、メインで描かれるのは原因不明の病いに侵された娘をなんとかして助けようとする母親の苦闘。フリードキンはリーガンの病いが、見方によって悪魔憑きとも精神の病いともとれるような曖昧な描き方をしている(まやかしの聖水の場面とか)。両親が不仲で、母親の恋人から性的な目で見られて、そのストレスから失調した思春期の少女、という解釈もできなくはないだろう。病院検査シーンでは当時と今で隔世の感あり。スパイダーウォークは今見てもびびるが、リーガンの首回転はちゃちくて笑ってしまう。ベッドが跳ねるシーンは怖い。リーガンのみならず主人公のカラス神父も、母親の死について自責感情を抱えていて、それがラストに結びついたとする見方も可能だろう。悪魔憑きと精神の失調の類似。ホラー映画の枠を越える深みがある。

 

魔界転生

アマプラ有料。小学校高学年か中学生の頃、土曜か日曜の午後にテレビ放映されていたのを見て、死から復活した剣豪とのバトルという厨二的要素に興奮した記憶がある(Fateの先駆? 漫画『YAIBA』にも似た要素があった)。この映画程度のエロさでも当時の自分には刺激的だった。キャストが豪華。見所はラストの十兵衛対但馬守の一騎打ちだろう。天草四郎とは戦わなくていいから、ここの殺陣をもう少し見たかった。

 

ドーン・オブ・ザ・デッド

U-NEXTで。オリジナル作品ではなく過去の映画を見たいなら動画配信サービスはユーネクが一番ラインナップが充実している。『スペイン一家監禁事件』『トゥモロー・ワールド』『サウナのあるところ』『ドーン・オブ・ザ・デッド』は多分ユーネクにしかないと思う。

ゾンビものとしては自分はこれがもっともクセがなく娯楽作品として万人受けする映画だと思う。どうしてアマプラにないのだろう? キャラクターによって発症するのに時間差があるのはお約束。最初は敵のようだったCJが頼れる仲間になる過程が自然でいい。終盤のチェーンソー事故は間引きの都合だろうか? 意味のない残虐趣味。ハッピーエンドならもっと好きになるのだが。

 

フライトプラン

U-NEXTで。この映画はテレビ放映だかホテルのVODだかで途中まで見たことは何度かあったが最後までは一度も見たことがなかった。これ、娘の消息が判明する中盤までは凄い面白い。娘は何らかの事件に巻き込まれたのか、それとも全て主人公の妄想なのか。ただ、観客にミスリードさせるのを優先したシナリオなのでタネ明かしのリアリティは乏しい。なぜ今まで最後まで見なかったのだろう? 

 

トゥモロー・ワールド

U-NEXTで。キュアロン監督作品。押井守監督の『映画50年50本』を読んで気になったので視聴。原作は小説とのこと。子供が生まれなくなった、テロが横行する社会というディストピアな世界観はかなり好み。押井監督の本を読んでいたせいで冒頭の爆発シーンで驚けなかったのは残念。この映画はとにかく映像が凄い。特に中盤の車を奪って逃走するシーンは、その長回しによる臨場感もさることながら、「エンジンのかからない車に乗って逃げる」というアイデアが斬新で舌を巻いた。これまでそんなシーンを映画で見たことがなかった。キーを回してもかからないが、土壇場でかかってギリギリで逃げられるというお約束な展開がほとんど。追手と一緒に車を追いかけてくるボーダーコリーが、吠えるだけの無能なのが可愛い。ドーベルマンなら噛みつくのだろうが。移民収容所のよるべなさも臨場感があって心細く、怖かった。協力者が言葉の通じない女性というのがいい。このマリカという女性はいい味を出していた。終盤の長回しの銃撃戦は物凄い。

 

ジャンヌ・ダルク

U-NEXTで。ベッソン監督作品。この映画だとジャンヌが聞いたお告げは彼女の妄想だった、とされている。そうだとすればオルレアン奪還は彼女自身の力によるもの、となる。終盤のダスティン・ホフマンとの対話(内省)が素晴らしい。この対話シーンを楽しむためにはそれまでの過程をよく見ておかなくてはいけない。しかし救国の英雄に、戦争の目的は達成したから故郷へ帰れ、は酷な扱い。宮廷で雇うか、教会へ入れてやるくらいの特例があってもいいと思うが。

 

『アンカット・ダイヤモンド』

Netflixで。何をやっても裏目に出る愚かな男の話。愚かで自分勝手な主人公だが、その愚かさが愛嬌になっていて不快感はない。彼よりデマニーがむかつく。約束は守らない、横から取引に口を出す、その自分勝手さに見ていてイライラした。でもこういう自分を顧みない奴、現実にもいそう。主人公がどんな目に遭おうが自業自得なので楽しんで見られる。彼が噴水に放り投げられたあとオフィスで泣くシーンは思い切り笑える。なんでこんな目に…って自業自得だろうが。基本的に馬鹿か嫌な奴しか登場しないこの映画で、ジュリアだけが天使のよう。なんであんなに善良なのだろう。彼女が一途だからこそ、その彼女につらくあたる主人公が余計クズに見える。ハッピーエンドはないだろうと思っていたが、あのラストの展開には驚いた。あの犯罪者の無軌道ぶりは『ファーゴ』に通じるものがある。