ここ最近、配信で視聴した映画

『REVENGE リベンジ』

U-NEXTで。荒唐無稽なバイオレンスもの。前半はだるい。武器を手に入れてからの展開はまあまあ。裸足でガラス片を踏んで、悶絶しながらそれを抜き取るシーンがめちゃくちゃ痛そうで変な笑いが出た。ラストバトルは臨場感あって楽しめた。何もかも過剰に悪趣味。メキシコのビールとか通販番組とかはスポンサーだったのかな。頭空っぽにして見たい映画。監督の、男女問わない尻へのこだわりが可笑しい。

 

『RAW 少女のめざめ』

U-NEXTで。期待せずに見始めたら冒頭の事故のシーンでなんかよさそうな予感がした。荒唐無稽な大学の風習や寮生活が、リアルに即してはいるが本作はあくまでファンタジーであることを強調するかのよう。それでも違和感なく、いやむしろ納得しながら見入ってしまうのは、全編に漂う祝祭的なムード、鮮やかな色彩による美しい映像、俳優の鬼気迫るような演技の賜物だろう。映画の魔術とでもいえばいいか、見ていて圧倒されてしまう。音楽もとてもいい。失神から醒めたあとの姉の涙や、「娘が二人いると心配が尽きない」「人間の味を知った犬は危険だ」という父親の台詞とラストまでアップにならないその風貌などが伏線になっているのに見終わって気づき感心した。主人公を演じた女優は素晴らしかった。序盤は芋っぽかった彼女が真の自己に目覚めて以降徐々に美しくなっていく。サッカーをしているルームメイトを物凄い形相で見つめるシーン、鏡の前で踊るシーンが印象的だった。異端であるがゆえの葛藤、悶えるような恋愛感情、肉親への愛情など描かれているテーマは王道。アリストテレスは悲劇の特徴として恐怖と憐憫の二要素を挙げた。この映画にはそれがある。主人公の名前ジュスティーヌってやはりサドからとったのだろうか。

 

マーターズ

ビデオマーケットで。おそらく国内で配信で見られるのはビデオマーケットのみ。この映画のためだけに無料登録した。フレンチホラーでもトップクラスにヤバいと名高い本作。内容についてはすでに知っていたので展開に驚きは少なかったが、かなり暴力的で過激な映像の連続なので、先が予想できていても緊張しながら視聴した。日曜朝の平穏をぶち破る襲撃シーンの迫力は凄い。ただ、目的を達したあとも家に長居するからさっさと逃げればいいのに、と苛々した。中盤の幻視は気持ち悪いし、本人は喚いてばっかりだしでややうんざり。地下室に潜るシーンは不気味で良かった。組織の人間は死後の世界について知りたいなら他人で実験せず自分の身で試せ。上級国民だから自分ではしないのか。それがこの映画で一番気分が悪いところ。終盤の描写はホラーが極まるとギャグに転じるの見本というか。スプラッタ表現って外科的な感じ。手術に慣れたベテランの外科医ならこういう映画を見ても嫌悪感とか苦手意識とかあまり感じないのだろうか。自分は暴力表現より日本のホラー特有の、じめっとした、なんかいそう、いる、みたいな空気感の表現の方により恐怖を感じる。だから日本のホラーは怖くてあまり見ない。ロジェ監督作品は『ゴーストランドの惨劇』の方がエンタメしていて好み。

 

アザーズ

アマプラで。以前に一度見ているが内容すっかり忘れていた。『ねじの回転』的な話だったとは記憶していたが。ニコール・キッドマンがとにかく美しい。彼女を見ているだけで満足。2001年の映画だが演出とか撮影の手法が古く感じた(少し前に『ゆりかごを揺らす手』を見たときにも感じた)。2001年はもう20年も前なのだ。最後に出てきた奥さんをどっかで見た気がして、検索したらキャトリン・スターク役の人だった。個性的な顔立ちだから記憶に残っていた。

 

クリーピー 偽りの隣人』

アマプラで。ツッコミどころが多すぎる楽しい映画。民家なのに玄関を入ったらコンクリ打ちっぱなしの通路が現れ、その先は秘密基地。即効性が高い洗脳できる注射。「近所付き合いするな」と言われてもシチュー(しかも昨日の残りもの)を隣家に持っていく竹内結子東出昌大は不法侵入したり、危険なのに単独行動したり。借金とはなんだったのか。川口春奈の生存理由は最後まで不明なまま。西島秀俊が時折見せる妙な言動は、彼も一種のサイコパスだったことを示唆していたのか。笑ったのは落とし穴。コントやん。セット感丸出しのドライブシーン。ラストの「行こうマックス」はあんなに元気よくどこへ駆け出していったのか…。あの女の子もよくわからん存在だった。自主的に香川照之に協力していたのか、洗脳されていたのか。最後になって解けたから罵倒した? 母親の処理をしたときの感情も不明で、この子けっこう不気味だった。「本当のお父さんじゃない」と言いつつそれ以上は教えない、とか。竹内結子の絶叫はようやく我に返って自分のしたことの恐ろしさに気づいたという、女の子との対比か。あんなに跡が残るほどいつ注射を打たれていたのだろう。竹内結子は妙に色っぽかった。西島秀俊東出昌大はちょっと演技に違和感。香川照之はまあ想像通りな感じ。この映画は香川照之竹内結子を見る映画だろう。怖くはない。犬を殺さなかったことは評価したい。