映画『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』を見た

ユナイテッド・シネマわかばにて4DXで鑑賞。会員サービスデイだったらしく2100円で見られた。観客は、よく見なかったが自分を入れて10人いなかった。自分の横列および前方に客がいなかったので気分的には一人で鑑賞したようなもの。アトラクション的な動作が豊富な映画ではないので4DXで見るべき優位性が特になく、通常上映で十分だったがそれは結果論。見たあとでないとわからない。自分が初めて4DXを体験したのは『シン・ゴジラ』だった。アクションやギミックはもはや忘れてしまったが、4DXおもしれーと感心した記憶がある。その後も何度か利用して、一番内容とアトラクションがマッチしていると思ったのは『Fate HF第二章』のとき。第三章も4DXで見たが、第二章の方が座席動きまくり、ギミック色々ありで4DXの醍醐味を満喫できた。

 

で、本作の感想。なぜ原題にある「パート2」としなかったのだろう。序盤はとても面白い。前作では描かれなかったモンスター襲来の第一目から始まる。突然の襲撃による混乱と恐慌の地獄絵図。車をバックさせて暴走バスをかわすシーンが楽しかった。やがて400日以上が経過し、物語は前作終了直後に接続する。なぜこの一家は裸足で移動するのだろう。音を立てないため? しかし途中で登場する男は靴を履いている。前作の釘もそうだったが、鋭利な物を踏んで怪我するリスクを考えたら絶対靴を履くべきだと思うのだが。医者のいない世界で破傷風になれば死ぬかもしれないわけで。それとも、前作で何か説明があったんだったか。

 

この映画が面白かったのは、娘が一人で出発して、壊れた列車の中でモンスターと遭遇するあたりまで。カラスにびっくりした。ときどき、娘視点で無音になる演出がいい。このハンディを抱えてこの世界でサバイブするのは容易じゃない。迎えに来た男と合流した後からだれてくる。生き残っている人間はろくでなしばかり、という台詞に、ゾンビ映画でよくある、ゾンビより人間の方が怖い、みたいなお約束パターンが来るのか、と期待というか何というか。港で遭遇したのがそいつらなんだろうが、素性がよくわからぬまま退場で拍子抜け。いかにもホラー映画に出てきそうな囮の少女は(一瞬だったが)気味悪くてよかった。しかしあの連中、モンスターを恐れて発声しないから何が目的なのか判然としない。リーダーが男とアイコンタクトみたいなのをしたから、男はこのグループの一員で、実は娘を裏切っていたのかと思った。なんだったんだ、あいつら。

 

やっと島に到着したのに音を放送せず呑気に飯食って翌朝になっているのは妙だった。普通は急ぐだろう。もしかしたら隠れ家が襲われているかもしれないのだから(娘は知る由もないが実際そうだった)。この後の展開は特に目新しいものはなく。母ではなく子供たちがモンスターを倒すというのは、今回のテーマは彼らの成長を描くことだったからか。前作では父親に守られて、その結果彼を失う羽目になった。その死は無駄ではなかったと。

 

前作と比較すると全体的に緊迫感がなく、間延びして感じられた。前作の、照明が赤くなる場面、花火を打ち上げる場面、出産する場面などは緊迫感があった。しかし今回は序盤にしか見どころがなかった。まあ敵の倒し方が音で動きを止めるしかないからワンパターン化しやすいのかもしれないが。つまらなかった…まではいかないが、見終わって物足りなさあり。