五度目の鑑賞『劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song』

 

通常上映を三回、4DXを二回。同じ映画を映画館で五回も鑑賞したのは初めてのことである(これまでは、エヴァ破、エヴァQ、HF第二章がそれぞれ三回鑑賞で最多だった)。セイバーオルタ対ライダーのバトルシーンを見ないと手が震え動悸がする禁断症状が出たために公開初週から毎週映画館へ足を運んできた。今日4DX二回目の鑑賞で、感動が薄まってきたのを感じた。感動が薄まるイコール禁断症状の寛解であろう。これ以上続けても惰性になりそうだから、とりあえず今週で映画館での鑑賞を終える。今日は30人くらい観客がいて、結構客入りがいい。第二章の4DXの時は3人くらいの時が二回あった。第一章から映画館で見てきた者として、コロナ禍という不測の災厄による最終章の公開延期はあったものの、それを除けば第一章から最終章までコンスタントに製作され、公開されたことを嬉しく思う。

 

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もう感想は上記の記事に書き尽くしたように思う。ただ、この記事の後三回鑑賞して、士郎と言峰の殴り合いはあってよかったと考えを改めた。対極でありながら同質な人間と対峙して士郎は自身の正義のあり方を自問することになるのだし、あの戦いがあってこその「生きていたい」発言であったのだろう。

もう一つ、臓硯について書き漏らしていた。この世すべての悪の排斥のために奇跡を求めた彼が、500年の歳月を過ごすうちに、手段であったはずの延命そのものを目的化していったことに人間の本質を見る。オーウェルは小説『1984年』において権力者はやがて権力の維持そのものを目的化するようになる、と指摘した。時間の経過によって本道から外れていく。目的と手段を見誤っていく。人間の哀しい性であろう。死の肯定ともとれる。死あってこその生、というか。臓硯、示唆に富むいいキャラクターだった。

 

五回見ても終盤のバトルは素晴らしい。素晴らしすぎて目頭が熱くなる。ライダーよ、そなたは美しい、これに尽きる。洞窟が崩落して全員生き埋めになっても可笑しくないような激烈なバトルシーンは、BGMも相まってテンションが天井知らずに上がり続ける。自宅でいつでも見られるよう、早くブルーレイを出して欲しい。