老後資産を試算してみた

iDeCoって制度がお得らしいとは知っていたが自分は勤務先の企業型DCに加入しているので加入対象外だった。なので調べずにいた。が、今年の10月から企業型DC加入者もiDeCoへの加入が可能になると楽天証券からのメールで知り興味を持った。MVNO契約、保険の見直し(独身なので最低限の補償)、NISA利用、と無理のない範囲で節約できるものはもうやり尽くした感があったがここに新しくiDeCoを加えたくなった。早速どういう制度か、ネットで軽く調べたが、俺の頭が悪いのを前提にしても制度の詳細が今ひとつ掴めず。結果、馬鹿は己の無知を顧みずこう呟く。

 

 

…と思い切ったつもりだったが、ネット上の情報だけでは隔靴掻痒な部分があり、そこを埋めるためにも信頼できる著者による本を買って読み、それから結論を下してもいいのでは、と考え直した。それで買ったのが以下の2冊。

 

 

 

二冊とも著名な著者によるもので信頼できる。で、読んだ結果…

あっさり変節。無知の馬鹿は呟くな、と自分を罵倒してやりたい。まったく、ノイズをばら撒く害悪でしかない。商品のラインナップからNISA口座を持っている楽天証券ではなくSBI証券を選択。

 

iDeCoってどういう制度なの? というと、

65歳まで加入でき(65歳までの加入は国民年金に加入していることが条件)、

拠出時・運用時は非課税のため節税メリットがあり、

60歳以降75歳までにそれまで運用してきた資産を一時金(一括)か年金で受け取れる

制度。運用益が非課税なのはNISAと同じ。ただしiDeCoは60歳までは下ろすことができない。位置付けとしては年金である。運用益非課税もさることながら拠出時の非課税が大きい。掛け金は所得控除の対象となるため所得税や住民税が安くなる。若いうちから60歳まで、あるいは65歳まで何十年と積み立てていけば節税額はかなりの額に。拠出額の上限は各人の属性によって異なる(下限は月5000円)。詳細はろうきんのサイトにあたられたい。シミュレーターがある。

rokin-ideco.com


早速試算。自分は2号被保険者、企業型DCのみ加入。上限の2万円を拠出すれば年間の節税額は5万円弱に。でかい。これを65歳まで続た場合、今年45歳なので20年あるとして節税額だけで100万円弱になる。これに加えて運用益も非課税。拠出金に関しては税金がかかる制度設計らしいが現在課税凍結中(これは頭の片隅に置いておきたい)。拠出時・運用時に非課税なのは「税の繰延べ」であり、繰返すが給付時には税金を払う。しかし一時金で受け取るにせよ年金で受け取るにせよ控除がある。これだけ税制優遇された制度なら利用しないと損だろう。老後資金目的ならすで利用しているNISAよりも優先すべき制度だ。なぜ当初の自分はやらないと判断したのだろう。60歳まで動かせないから流動性がないとか、給付時に課税されるのが気に入らないとか言ってるが、要は制度を理解できていないだけ。流動性がないのは年金という位置付け上当然だし、拠出時・運用時に非課税でさらに給付時も非課税なんてあり得ない。本当、阿呆だな自分。ただし勤務先でマッチング拠出が可能なら手数料が会社負担なのでiDeCoよりそちらを優先した方がいい。

 

iDeCoについて調べる過程で田村さんの本を読み年金についても学ぶことになった。年金は人生のリスクに備える保険。長生きリスクには老齢年金、事故・怪我リスクには障害年金、死亡リスクには遺族年金。このなかでメインとなるのは老齢年金で、老後の生活を支える収入の柱となる。65歳から受け取るとしていくらもらえるのか、知りたければ日本年金機構のねんきんネットに登録して試算すればいい。現在の収入で保険料を納付し続けた場合の将来の受給額がわかる。繰上げ・繰り下げ受給した場合や、自分は面倒なのでやっていないが将来(嘱託になった場合など)収入が下がった場合など条件を変えての試算もできるようになっている。自分の場合、このブログにも書いているがニート期間があった。親の扶養に入っている期間も長かった。その間は国民年金のみ加入である。厚生年金に初めて加入したのは30歳のときだった。だから将来の受給額は世の中の平均より低い。

 

厚生年金には「定額部分」と「報酬比例部分」がある。定額部分は加入していた月数に比例するだけなので支給額は一律。しかし報酬比例部分はその人の給与の多寡によって支給額が変わる(その分保険料の負担が増える)。給与が高い人ほど将来の支給額も多くなる。また、受給を65歳から繰り下げれば繰り下げるほど額が増える。増額率は1ヶ月受給を遅らせるごとに0.7%で、70歳まで5年繰り下げた場合受給額は42%増える。さらに75歳まで10年繰り下げれば84%も増える。公的年金は終身だから増額すればその額は生きている間支給される。長く生きれば生きるほど繰り下げがお得になるわけだ。参考までに、70歳受給が65歳受給の総額を上回るのは76歳11ヶ月から、75歳受給が70歳受給の総額を上回るのは91歳11ヶ月から。一方で繰り上げ受給の場合1ヶ月受給を早めるごとに支給額は0.4%減少する。

 

将来受け取る年金を増やす方法はだから二つ。

・生涯年収を増やす

・繰り下げ受給する

生涯年収を180万円増やすごとに将来受けとる年金が1万円/年増える。仮に60歳から嘱託として年収360万円で65歳まで働いた場合、働かなかった場合と比較して受給額は10万円/年増える。繰り下げ受給に関しては自分が何歳まで生きられるのかがわからない以上なかなか判断が難しいが、

 「自分はそんなに長く生きない」と思うかもしれません。2021年夏に発表された厚生労働省の簡易生命表では、男性の平均寿命は81.6歳、女性は87.7歳です。しかし平均寿命の定義は0歳児が何年生きるかを示すもの。死亡率の高い幼年期などを過ぎ、65歳まで生きた男性は平均で85.1歳まで、女性は89.9歳まで生きます。しかも、これはあくまで平均です。

 老後を安心して過ごすには、平均より長く生きる場合のことも考えておかねばなりません。

 

田村正之『人生100年時代の年金・iDeCo・NISA戦略』

年金は保険だと述べた。貯蓄ではない。保険とは不測の事態に備えるもの。となるとある程度の余裕を見ておくのが理想だろう。竹川さんも田村さんも揃って紹介しているのが終身で受け取れる年金を繰り下げ受給して増額し、定年から年金受給までの期間を退職金やiDeCo受給でつなぐ、というスタイル。自分もそれがベストかな、という気がする。

 

老後のライフプランとして今の時点で考えたのは以下。

65歳まで今の会社で働く。もちろん、働きたくありません。さっさと引退したいです。でも会社で働いていれば定期収入はあるし、健康保険に加入できるし、将来の年金も増えるし、(一応)社会に居場所を得られる(独身の自分には家庭という居場所が存在しない。その頃には両親もいないかもしれない)。勤務先は一応大企業といっていい規模だし、自宅からも近い。60過ぎて転職しても賃金は安いだろうし知らない人たちとまた一から関係を築くのも億劫だ。だったら慣れた会社でもう5年頑張った方が合理的。65歳で退職。今から20年後には70歳定年になっているかもだが65歳でいいだろう。退職時に企業型DC(弊社の退職金はこれのみ)とiDeCoをそれぞれ一時金で受け取る。自分の投資先は全世界株式、それを年利3%として複利を計算。

www.rakuten-sec.co.jp

両者を合算すると退職所得控除額を超えてしまうが、このあたりは今詳細まで詰めても詮無いのでひとまず措く。年金の受給は70歳まで繰り下げ、65歳からの5年間を退職金とiDeCoでつなぐ。必要に応じて証券口座内の投信を一部売却して上乗せする。70歳からの生活の柱は増額した年金で。必要に応じて証券口座内の投信を一部売却しながら上乗せ。だいたいこんな感じだろうか。これはあくまで現時点での考え。今後の人生次第でどうなるかわからない。早期退職させられるかもしれないし、家を買うかもしれないし、結婚するかもしれないし(ないな)、大病になったり大怪我したり(ブルーワーカーです)、あるいは65歳前にして死ぬかもしれないし、それら可能性を一つ一つ吟味していたらキリがない(未来という答えの出ない問いを考えても時間と労力の無駄)。だから一番あり得そうなケースを想定して、それに備えると上記のようになるかなと。その頃自分が住んでいる場所は賃貸か中古の一軒家かそれとも実家かはわからないが、歳をとると動かなくなるし食事量減るしお洒落もしなくなるから医療費が多少かかったとしてもたぶん増額した年金と2017年から積み立てている投信を生活資金に充てていけば生計が破綻することはないと思う。65歳で退職後は投信の積立て購入は終わってしまうが、その後も部分解約しながら運用は続くので多少は資産の減少を弱められるだろう。

 

65歳まで働くとして、それまでに

・企業型DC

iDeCo

投資信託

・預貯金

・年金

がいくらくらいになっているか、上のシミュレーター等を使って計算し(運用に関しては利率3%で計算)、紙に書き出してみたところ、税金を払っても、親の遺産が0だったとしても、そこそこ余裕があることがわかった。数字を書き出すのはいい。頭の中だけで考えているより具体的になるから。新築物件を買ったり(ないな)、超高級車を買ったり(死ぬまでに一度でいいからメルセデスのオーナーになりたい気持ちはあるが…)、あるいは大病したりすれば状況は変わるだろうが、今のような金のかからない生活をしている限りは将来の暮らしを心配しなくてもいいんじゃないかと。これは俺みたいな低スペック人間が大企業に入れた僥倖によるところが大きい。今の会社に入るまでは全然金がなかったから。人生、結局は運だ。

 

老後のお金に関しては終身で受け取れる年金をいかに増額できるかが人生100年時代の今、最重要課題となる。そういう意味ではFIREってのは下策かなと。FIREしちゃうと厚生年金に入れないから。国民年金だけだと老後ちと心細い。国保にも入るとなると結構な出費になるし。その分若い時間を自由に過ごせるからその時間で自己実現したりするのだろうが、俺みたいな凡人は普通に会社で働くのが最適解なのではないか、と最近は考えるようになった。一度一人暮らしで無職になったけれど将来への不安でめちゃくちゃメンタルをやられてしまった。俺には無職・ニートの才能はなかった。憧れる気持ちはあっても才能がないなら見切りをつけた方が賢明だ。

 

hayasinonakanozou.hatenablog.com

 

今回、iDeCoについて調べるのにTwitterも利用したのだけれど、検索すると胡散臭い…とまでは言わないが鬱陶しいビジネスっぽいアカウントが多く出てきてうんざりした。「もっと詳しく知りたい人はプロフを(見て)」みたいなツイートしているアカウントは目に付くそばからミュートしていったが。以前、楽天証券が積立ポイントを改悪したとき、他の証券会社に資産を移すべき、何々証券なら積立設定すれば1%還元だから35年の積立なら何%もの差になる、みたいな皮算用しているアカウントが多々あって、んなポイント付与なんざ証券会社の胸先一つで来月にも廃止になるかもしれないのにそれ前提に試算するとか、まるで残業代を見込んでローンを組むかのごとき頭の悪さにげんなり。ネットはかつてアジールの趣きがあったけれどもスマホ普及によって現実と地続きのものになった今はビジネスの場に堕してしまったようで、インターネット老人としてはその味気なさが寂しいかぎり。こんな話は今回の記事の趣旨から逸脱しているが、ビジネスなアカウントの多さに心底うんざりしたので書き残しておきたい。

 

今回の俺もそうだったが、何事かについてきちんとした情報が欲しかったらちゃんと身銭を切る、金を払って本を買いそれを読むのが一番間違いがない。ネットは手軽で便利で無料だけれど(俺の検索能力が低いせいで有用な情報に辿りつけないのかもしれないが)情報は上辺だけで信憑性に欠ける。裏付けも乏しい。説明も少ない。大事なことにはちゃんと金を払うべき。金を払うったってへんなオンラインサロンじゃなくて、信頼できる著者、信頼できる出版社の本に。

タダというのがいかにダメな思想か。シンポジウムだろうがなんだろうが気合いが入ったものというのはすべて有料。(略)それを払いたくないというのは自分の人生に投資する気がないんだよ。

 

押井守『押井言論2012-2015』

いいことを言っている…が、これは押井監督の私塾の話だったか。俺は私塾に金を払う気はない。これ、信者相手のビジネスみたいじゃないか…。

 

 

以上、中年独身男性が将来の金についていろいろ考えた。けれども金より健康の方が生きる上では大事である。病める王より健康な物乞いの方が幸福である、とはショーペンハウアーの言葉だったか。栄養バランスのいい食事、たっぷりの睡眠、肉体労働・運動の前のストレッチ、これらにも気を配りたい。あと、できれば金のかからない趣味をいくつか。複数の趣味があれば飽きても別の方へ行き、そっちに飽きたらまた戻って…みたいなことが可能になるように。読書や映画が好きだけれど年々視力が弱まってきているし、インドアに飽きてきてる向きもあり。ならば写真か。最近だとトレッキングもか。トレッキングはいい。3時間程度の距離なら登山靴さえあればリュックもレインコートも不要で、移動に自動車が必要だが(なくてもいいがあった方が格段に便利)埼玉なら飯能や秩父があり奥多摩も遠くない。最初にギアを買ったあとは金もさほどかからない(ウェアはユニクロとかでも揃う)。自然の中を歩くので気分転換にもなる。転倒リスクはあるが部屋にこもってパソコンの前から動かないよりはずっと健康的だろう。老人になり足腰が弱ってきたら近所の散歩に切り替えればいい。あとは趣味が共通の友だちがいれば理想的だろうが…今いないのに将来できるとも思えないし、人間を手段として考えるのは下劣なのでこれも措いておこう。