大江英樹『90歳までに使い切る お金の賢い減らし方』を読んだ

 

 

以下、ブクログの感想からコピペ。

日本人は死ぬ時にもっとも金を持っている。大金を残したまま死ぬよりも生きている間に使い切る方が幸福ではないか? という『DIE WITH ZERO』と似た内容。

 

世の中にお金の増やし方や節約の指南本が溢れている。皆がお金を増やすことに関心を持っているからだろう。なぜ増やしたいのか。その最たる理由は老後の生活不安。「老後2000万円問題」というのがかつて話題になった。しかし70代の著者は、老後は若い時のようにはお金を使わなくなるといい、夫婦二人で支給される年金と同額の月23万円で問題なく生活できていると報告する。「老後2000万円問題」を過度に意識しすぎる必要はない、老後は若い頃ほど使わなくなるから年金の範囲内で生活できる、という。ただし住居について何も触れていない。たぶん持ち家。賃貸だとまた違ってくるだろう。自動車は軽自動車を保有

 

金を増やすのはそれほど難しいことじゃない。給与から先取りで預金あるいは積立投資(全世界分散型)を淡々と続ければいいだけ。実際自分はそうやってここ10年ほどで総資産を7000円から中古物件が買えるくらいまでには増やせた。しかし使う方は? 金を「賢く」使うのは案外難しい。買い物って一つのスキルでしないでいるといつまでたっても上達しないしセンスも磨かれない。

 

著者がとくに推す使い道は旅と寄付。モノ消費よりコト消費、人間最後に残るものは思い出。「人」「本」「旅」によって人は賢くなるという名言も。寄付に関してはお金の向こうに人を見ろ、と。利他的行為が同時に自己満足を与えてくれる利己的行為にもなりうる。また寄附は寄附金控除により税金の使い道を指定できる。これは知らなかった。

 

一方でやめた方がいいお金の使い方は「見栄」と「義理」のために使うこと。
「私は、基本的に〝人との比較〟のためにお金を使うべきではないと思います。なぜならそれはキリがないからです。「自分の心の満足が得られるのなら、ブランド物を買って見せびらかしてもいいじゃないか」という人もいるでしょう。でもそうやって高価な品を買った翌日に、また他の人がもっと高価なものを身に付けている場面に出くわしたらどうでしょう。おそらくそれまでの優越感や幸福感は消えてしまうに違いありません。
 そうやって、もっとよいものを、もっと高いものをと追いかけていくと、本当にキリがなくなってしまうのです」
他者との比較ではなく自分が幸せを感じられる使い方をすべき。

 

お金とは何か目的のためのツールである。お金より大切なものは何か。
時間、信用、健康、幸福感。
どれも金で買えないものばかりだ。
「お金は、①自分にとって必要なものを手に入れるため、そして、②お金よりも大切なものを守るため、に存在する単なるツールと考えるべきです」
金は所詮道具。

 

「人生の最後で一番大切になるものは、「それまでの思い出」です。どれだけたくさんの思い出に囲まれるかが、晩年の幸福感に大きな影響を与えることでしょう。であれば、健康に不安がなく、さまざまな体験ができるうちにお金を使って、それをしておくべきではないかと思うのです。
 そういう意味でお金と健康を考えるべきです。つまり、健康を失わないようにお金を使うのではなく、健康が失われないうちにお金を使うということです」
本書の要諦はこの一文に尽きる。


自分も少し前に老後の資産を仮計算してみたことがあった。大企業勤務、65歳まで働くとして退職金はそれなりに出、現在の資産の大半を新NISAで満額運用、年金の受け取りの後ろ倒し…などを実行すればかなり金銭的に余裕ある老後になりそうで、相続させたい配偶者も子供もいないのにこんなに必要か? と。でも俺の場合別に我慢して節約してるわけでもない。もとから物欲があまりない。物を増やしたくないのだ。本は400冊くらいあるもののあとは生活必需品しかないミニマムな部屋で暮らしている(実家)。旅は嫌いじゃないが世間の休日とかぶる高額・混雑時期に行く気にはならないのであまり行かない。寄附は考えてみてもいいかもしれない。ふるさと納税のおかげで寄付という行為の敷居が下がった感がある。カメラのレンズ、車、これらは好きなものなので使い道としてはいい使い道だろう。今一番欲しいものは新しいエアコン。

 

労働はだるくてめんどくさいがFIしたい気持ちはあるもののREしたいとはあまり思わない(どのみちできない)。職場での人間関係が現在の俺の人間関係のほぼすべてだし、それなりに承認欲求も満たされている。若い頃は大金もってひきこもりたい願望があった。でも歳をとって、たとえムカつく思いをすることが多々あるとはいえ他者を通じた社会との繋がりがなくなると孤独で頭がおかしくなるかもしれない…と思うようになった。人間、変わるものだ。実際、俺は働きたくなくて若い頃2年近くひきこもっていた人間なのだが。

 

上記感想にさらに加えるとしたら、日本人の偏ったお金観*1や日本は同調圧力が強いといった話、何事も事なかれ主義で受け身の「サラリーマン脳」からの脱却のすすめ*2コスパ至上主義批判*3などが面白かった。

 

金がないことの不安、恐怖を知ってから10年あまり、自分はそれなりに遊びもしつつ堅実に資産を増やしてきた…と思う*4。それに比べると使う方はあまりしてこなかった。無理に使う必要はないが、そろそろ体力の衰えが感じられてきた45歳*5、まだかろうじて無理がきく40代のうちに、あとになってからはできない体験に金を払ってチャレンジしておくべきなのかもしれない。

 

 

 

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*1:ウルトラマンバットマンを比較して検討

*2:「50歳になったら早く成仏しなさい」

*3:コスパのよさを求めることが日本人をますます貧乏にしている」

*4:現在は毎月給与の4割を積み立て投資やiDeCoに回している。

*5:最近階段の上り下りがきつい。膝が痛い。食欲も性欲も減退した。そしてとにかく記憶力が衰えた。