幸福とは継続である──坂口恭平『継続するコツ』を読んだ

 

 

ブクログの感想をコピペ。

人はみな何かを作ることを継続して日々生きている。
生活すなわち継続。
それが人生の幸福につながっていく。
「幸せとは、自分が興味のあることを今も継続できていることである。」
この継続をいかにうまくやるか、著者の実体験をもとに述べる。

 

・自分が好きなことをやる。
・出来上がったものについて(人と比較して)自分を批判しない。
・才能がない、を理由に人は作ることを諦めてしまうが才能とは継続のことである。
・「人から才能がないと言われたくらいで継続を諦めるな。」
・傑作を作ることが目的じゃない、作る過程そのものが楽しいから作っていたはず。それが周囲との比較や批判的な声によって萎縮してしまって、ただ作っていればよかったものが「いいものを作らなければならない」と自分にプレッシャーをかけてしまう。結果、作ることがつまらなくなってやめてしまう。
・人の評価なんてあてにならないから真に受けてはいけない。大事なのは自分が楽しいかどうか。
・「能力がない? 才能がない? 戯言もほどほどにしてください。誰もあなたのことを才能がある人でいてください、だなんて思ってませんから。」
・「大事なことは、周囲に一切の期待をしない。自分にも期待をしない。期待はせずに明日また継続する。」
・自分の気持ちは大事だが周囲から文句を言われない環境は整えておくべき。周囲が嫌がることを無理に続けようとしても長続きしない。
・金のため、生活のためと自分がやってて楽しくないことを無理して継続して、それが生活になってしまっているから人は死にたくなるのではないか。

 

発信したものに対しての他者からの評価が数字として可視化されるネットはある意味で残酷な場だと思う。自分も自分以外誰も読んでいないようなブログを淡々と続けているがそれが楽しいかと言うと…どうだろう。ただ、現時点での生存記録として、未来の自分のために残している部分はある。いや、でも公開している以上他者の目を意識しているのだろう。

 

本書にはない視点として何かを作ったら他者からの承認を求めてしまうのは自然なことだ。いい悪いじゃない。料理を作れば「美味しい」と言われたいし、いい写真を撮れば「綺麗だね」と言われたい。それが継続するモチベーションになる面もある。プロの歌手やスポーツ選手も、それが好きでやっているのだろうけれど、観客のいない状況でも自身のパフォーマンスに満足できるだろうか。楽しく感じるだろうか。いや、本書はアマチュアがいかに好きを継続するか、についての本なのだけれど。

 

要はバランスなのだろう。他者からの評価なんてどうでもいい、という境地には至れない。かといって他者からの評価を求め過ぎれば病む。賞賛が却って重荷になることもある。無理のないペースで粛々と作り続け、否定の声は無視(ブロック)し、たまの「いいね」に感謝する…そんな心構えで自分も過疎ブログを続けていきたい。なんだかんだ言っても6年以上続いているのは、自分も何かを書くことが好きなんだろう。

 

山を登るコツはひたすら登ることだ、ただし登っていることは忘れろ、みたいなニーチェ箴言があった気がするがそういうことなのだろう。

とにかく、続ける。

やめる理由ならいくらでもある。「世の中にはもっとうまい人がたくさんいるのにこんなことやっててもしようがない」「金にならない」「才能がないから向上しない」…。他人は関係ない、好きなことを続けるのは金の問題ではない、続けないことには向上しようがない…のだが、なかなか難しい。

 

でも好きなことって結局続けてしまうものではある。評価されないとか自己満足でしかないとか、わかっていてもそれがやめる理由にならないというか。自分の場合なら書くこと。このブログを始めて7年になる。ここ以前に読んだ本の感想ブログを7年くらいやっていたので合わせるともう15年近くの月日を何かしら書くことに費やしてきた。もちろん毎日ではないけれど、書くことは常に身近にあった。上達はないかもしれない(むしろ若い頃の方がうまく書けていた気がする)。ただ書きたいから続けている。やっている最中幸福かどうか、そんな感じは特別ない。でも不幸ではない。マシな精神状態ではある。

 

作っている過程が重要だ、そこに幸福がある、と著者は述べる。自分にとっては完成させて量を増やしていくことも重要だ*1。そのためには負担の少ないやり方が望ましい。楽なやり方なら継続できる。本の感想をこの記事のようにブクログから引用するのも一つの方法。箇条書きでもツイートのまとめでもいい。とにかく完成させる。完成させて次へ。量が積み重なっていくことで得られるものがある。

 

自分の気持ちを最優先しろ。

他人と比較して落ち込むな。

他人の評価を気にするな。

不安や恐怖に惑わされるな。

本書で説かれる継続のコツは、メンタルヘルスを保つためのアドバイスにも読める。

 

 

*1:質はともかく量ならなんとかなる