シン・夜勤マンの憂鬱、あるいは冬眠への憧憬

枕のシンにとくに意味はない。語感がいいので付けた。

 

9月も下旬だというのに今日も最高気温35度だかで真夏のような一日だった。

しかし朝と夜はだいぶ涼しくなった。もう夏じゃない。秋だ(にしては暑い日がまだ続くみたいだけれど)。夏は終わった。

 

ここ何年かの夏の猛暑はもはや夏が、俺が子供の頃のそれとはまったくの別物になってしまったのを感じさせる。昔は暑いといっても大体30度かそこらじゃなかったか。陽射しは今ほど強くはなかった。夕立ちも度々あった。花火、祭り、かき氷、プール、ヒグラシの声…それらが醸す風情は今の夏にはもはやない*1。ただ暑すぎてしんどいだけの季節。毎年どれほどの人が熱中症で亡くなっていることか。埼玉でこれじゃあ沖縄はどうなんだろう。何年か前の5月だかに宮古島へ行ったときは、日中、サングラスをかけていてなお視界が陽射しで白っぽく見えたものだったが。今じゃもっと物凄いのだろうか。

 

うだるような暑さの夏は何をする気も出ないしブルーカラー労働はすぐ汗だくになるしで*2大嫌いなのだがひとついい点がある。

夜明けが早いことだ。

 

自分の職場は交代勤務。夜勤は真っ暗になってから出勤する。で、朝まで。5月から8月にかけては4時半から5時くらいには夜が明ける。外が明るくなると勤務の終わりが近づいたような気がする。その時間が早ければ早いほど体感の勤務時間が短く感じられる。逆に7時近くにならないと外が明るくならない真冬の夜勤は体感的に長く感じられる。労働時間を長く感じる、これは不幸である。冬は俺を不幸にする。

 

ストレスを軽減させる効果があるセロトニンは日光を浴びることで分泌されるという。そのせいか、それとも元から寒いのが嫌いなせいか、日照時間が短くて気温が低い冬はとにかく憂鬱になる。イライラはしない*3。気分が沈む。何かをしようという意欲が出ない。病身だった尾崎一雄は冬は冬眠と称して活動を休止して体を休めたそうだが、俺もそうしたい、そうできたらどんなにいいだろうと憧れる。1年のうち3月から9月までは労働し、10月から2月までは冬眠。

 

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夜勤者だから夜がなかなか明けない冬がつらいと書いた。

しかしこうして書きながら、以前在籍していた日勤職場でもやはり冬はつらかった、と思い出した。出勤する時間帯はまだ外は薄暗く、17時に勤務が終わる頃には日が落ちて暗くなっている。寒く、吐く息が白い。作業服から私服に着替えて建屋から出るとライトを点けた車が次々に駐車場から出ていく。連なるテールランプ。やがて自分もそのうちの一人となる。

 

一部リフォームしたとはいえ自分が住んでいるのは築40年以上の木造住宅。断熱性が低く(自室の窓は二重にしたが)冬の寒さは厳しい。今年の1月だかはよく寒さで目が覚めた。起きたら室温が5度とかざらだった。気温は外と大差ないのではないか。壁があるおかげで風が当たらずに済む、その程度の違いしか。それでも埼玉だからまだマシな方なのだろう。東北や北海道の冬がどれほどの厳しさか、テレビで見ることはあってもその大変さはちょっと想像がつかない。暮らすなら暖かい土地がいい。でも南の方は台風の問題が別にある。

 

ライフハック…とはとてもいえないが、憂鬱を紛らすために、冬になると埼玉県の以下のこよみと月毎の平均気温のページをよく見る*4。真冬のさなか、あと何日すれば日の出が早くなっていくか、日の入りが遅くなっていくか、気温が上がっていくか、を確認してつらい冬を乗り切るエビデンスにする。

eco.mtk.nao.ac.jp

 

www.data.jma.go.jp

 

これによると日の入りは大体12月の頭、日の出は大体1月上旬をピークに少しずつ日中が長くなっていく。12月は多少気分が滅入っていてもボーナスと年末の休暇があるからそれを支えに頑張れる。問題は年明け後だ。寒いから外出せず屋内で酒飲んだりしてだらだら過ごして何の充実もないまま年末年始休暇が終わり、億劫な気分で仕事始めを迎え、一日の日照時間は短く寒さは厳しい。1年のうちで1月から2月にかけてがメンタル的にもっともしんどくなる時期だ。気温もその頃がちょうど底。夜勤の退勤時や早番の出勤時は車の窓ガラスが凍っている。

 

3月に入れば少しずつ気温が上がってくるし、日照時間も長くなり、梅が開花する。これから暖かい季節になる、明るい季節になる、との期待から気分的にだいぶ楽になる。下旬になれば桜も咲く。近所の公園の死んだようだった寂しい風景が春の訪れとともに芽吹き蘇生していくのを毎年見るたびに嬉しくなる。気分が高揚する。

 

hayasinonakanozou.hatenablog.com

 

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また、俺は冬に体調を崩しやすい。毎年少なくとも一回はひどい頭痛で寝込む(熱は出ないのに頭が痛くて動けなくなる)。会社を何日か休む。これは若い頃からもう何十年と続いてパターン化してしまっている。そういう体験の積み重ねの記憶が無意識のうちに冬嫌いを助長しているふしもある。

 

とにかく。

冬が嫌なのだ。

今から考えるだけで憂鬱になってくる。

FIREできるだけの金があれば冬の間は冬眠して過ごしてえ、と切実に思う。

 

 

*1:俺が歳とって感受性が衰えただけか?

*2:毎年熱中症になりそう

*3:そんな元気もない

*4:当然ブックマークしている