ブックオフにあまり通っていないけれど『ブックオフ大学ぶらぶら学部』を読んだ

 

 

ブックオフの魅力と思い出を執筆者たちが述べた本。自分はあまりブックオフに思い入れはなくて、掘り出し物を見つけた記憶もほとんどない。あったかな? 2012年頃は無職だったので、車で15分くらいかかる最寄りのブックオフへよく通った。ちょっと本を探して、立ち読みして、でも欲しい本がなくて、買うことはあまりなかった。このブックオフは五年くらい前になくなってしまった。

 

ブックオフのよさは入りやすさにある。神保町の古本屋、古本屋というか古書店と呼ばなくてはいけないような、ああいうかしこまった感じはブックオフには微塵もない(神保町でも@ワンダーなんかはカジュアルで入りやすいけれど)。神保町、何度か行ったけれど、大半のお店と趣味が合わず、値段も安くなく、ここでいい買い物は一度もしたことがない。結局古書店では何も買わず、三省堂で何か新刊を買って、丸香でうどんを食べて満足して帰る、というのが自分が神保町へ行ったときのお決まりの流れ。中央線沿線の古本屋の方が自分の趣味に合った。ここのいくつかの店舗では結構買い物をした。探している本を見つけることもあった。自分のフェイバリットである増田みず子の『シングルセル』講談社文芸文庫は、盛林堂書房の充実した講談社文芸文庫の棚で見つけた。加能作次郎も。中央線沿線の有名な古本屋はほとんど行った。中野、東中野の変わり種ブックオフにも行った。江古田にも。高田馬場にも。

 

2019年から毎週のように映画館へ行くようになった。これは映画を新たな趣味にしようと当時の自分が思ったからで、せっかくだから映画を見るのと併せてあちこちの映画館を回ってみようとも思った。とくに都内の。早稲田松竹はこの映画館めぐりの流れで行くようになった。コロナ禍以降は行っていないから2019年と2020年前半の一年半に三回か四回は行った。映画を見たあと、毎度必ずブックオフ高田馬場北店へ寄った。初めて行ったとき、黒っぽい本も扱う変わり種の店舗と知ってはいたけれど、店の一番奥にあるその売り場へ行って実際に棚を見た時はびっくりした。え、全然ブックオフっぽくない、と。ここではわりと買い物をした。自分にとってはこのお店が一番印象に残っているブックオフである。

 

本書でZというせどらーが「ブックオフせどり」の歴史を書いている。それによると自分が人生で一番よくブックオフへ行っていた(といっても週に一度行くかどうかだったから本書の執筆者のように多いときは朝夕一日二回行くような人とは比較にならないが)2012年頃はバーコードリーダーを活用した「ビームせどり」の全盛期だったようだ。しかしバーコードを読み取ったり、カゴいっぱいに本を入れているせどらーを店で見かけた記憶はない。自分がよく行っていたブックオフはいつも閑散としている寂しい店舗だった。別の執筆者は四国のどこかのブックオフで2万円で売れるレアものの『オバ Q』を見つけた話を書いている。ジャンルによっては探せば今でもそういうお宝があるのだろうか。それとも、もはや完全にデータベースで管理されてそういうイレギュラーはないシステムになっているのだろうか。

 

ブックオフのみならず古本屋全般に関して思うのだが、特定の本を求めて訪れるのは効率が悪い。お店で状態のいい、手頃な値段で売られている目当ての本にめぐり会える確率は奇跡的な数字だろう。欲しい本があるなら古本屋へわざわざ足を運ぶより、ヤフオクマケプレ、メルカリ、日本の古本屋などで検索して買う方が効率がいい。少し前に、何年も、たぶん十年以上探していた本を、状態良好で相場より安くメルカリで買うことができた。自分の場合、探している本が買えた回数は圧倒的に店よりもネットの方が多い。古本ならネットで探せばいい。買えばいい。そう思うのに、いざ古本屋へ行くと、どうしてあんなにわくわくするのだろう。棚に並んだ背表紙を端から順番に見ていくとき、どうしてあんなに興奮するのだろう。

 

以上、本の内容とあまり関係ない感想、というか雑文になってしまった。この本を読んで、世の中にはブックオフをはしごしたり、旅行がてらブックオフめぐりをするほどブックオフ好きな人がいるのだと知ったのはちょっとした驚きだった。でも他人のブックオフ愛を読み、自分でもこうやって思い出めいたものを書いていたら、久しぶりにブックオフ(または古本屋)へ行きたい気持ちが湧いてきた。