余分に金を払って快適さを買うタイプ

togetterのこんなまとめがはてブに上がっていた。

togetter.com

 

で、自分はこんなコメントを。

新宿まで急行でも30分程度なのに、追加で料金がかかる特急に並んでる姿を見て驚いた…「スタバ我慢して快適に帰る方がコスパいい」

埼玉県民。ラビューやレッドアロー利用する方。でもせっかく追加料金払ったのに賑やかなグループとか元気なキッズの近くの席になるとちょっと残念な気持ちになる。まあテンション上がるからね、仕方ないね。

2021/11/18 14:38

 

自分がコメントする際連想したのは西武線の特急レッドアローである。レッドアローは埼玉県の本川越から西武新宿までを結んでいる。途中所沢や高田馬場を経由する。自分はこの特急が好きで都内へ行くときはわりと積極的に利用する。土日であっても西武新宿線の上りはそこまで混雑しない。だから新宿へ行くのにわざわざ特急ではなく急行で行ってもいいわけだ。でも時刻の都合がつくなら優先して特急を利用する。なんなら急行を一本見送ってでも追加料金を払って特急に乗る。なぜか。

 

特急のスペシャル感が好きなのである。テンションが上がるのである。特急車両のシートは座り心地が快適でリクライニングもできる。座席の向きが列車の進行方向に対して横向きではなくまっすぐなのもいい。自動車や飛行機と同じで、グラビティ的に快適な構造だと思う。で、自分はシートを少しだけ倒して、前席背面のテーブルを倒して、コンビニコーヒーかなんかドリンクを乗せて、スマホをいじり、飽きたら過ぎていく窓外の景色をなんとはなしに眺める。これは横向き一列シートではできない。晴れた土曜日の昼過ぎ、空調の効いた車内から、知らない町で知らない人たちが立派に生活しているのを眺めると、じわじわと生きる勇気のようなものが湧いてくる。内田百閒先生の阿呆列車じゃないけれど、目的地へ行くこと着くことより快適に気分良く移動することを優先しているのかもしれない。30分かそこらの移動でも特急に乗るとちょっとした旅行気分が味わえる。元々自分は子供の頃から移動が好きだった。家族旅行はいつも父の運転で、目的地が家から遠ければ遠いほど知らない景色が長時間見られて楽しかった。高速に乗ってしまえば壁やトンネルで景色なんてろくに見えやしないのだが。中年になった今でも知らない道を通ることに積極的な方である。知らない道を行く、知らない風景を見る、というのが好きなんだろう。

 

話を戻す。レッドアローはスマホから乗車券が買える。会員登録が必要だが。窓口まで行かずとも好きな座席を指定して買えるのは便利である。先日歌舞伎町へ行ったときもレッドアローに乗っていった。比較的空いている特急である。車内に自分一人だけ、ということも珍しくない。神経質な人間なので他人が周囲にいないというのはものすごい安らぎである。反対に上記のコメントのように、賑やかなグループや元気なキッズのいるファミリーのそばの席になってしまうとせっかくの安寧を破られるようで、追加料金も払っているだけに残念な気持ちが強くなる。でも元のまとめを見ると子供がいるからあえて特急を選択する、という意見もあって参考になった。子供を持ったことがないから想像もつかなかったがたしかにそういうものかもしれない。

 

レッドアローなら数百円程度の追加料金で済む。それでちょっとした旅行気分が味わえるなら娯楽として安いものである。では新幹線のグリーン車はどうだろう。これは料金が大幅にプラスになる。シートがよくて、スペースが広くて、電源とか照明とがが付いているんだっけか。人生で二回、新幹線のグリーン車に乗ったことがある。これはもう旅行気分どうこうではなく、長時間の移動になるから体の負担を軽減する目的で乗ったものである。一回目は北海道新幹線。あまり覚えていないのだが快適だったような気がする…というか寝てしまったのだったか。寝て、起きたらKindleで何か読んで、また寝て…と繰り返しているうちに大宮に到着したような。でも今調べたら四時間も電車に乗ってたんだ。きっつい。二回目のグリーン車山陽新幹線。広島から東京まで…だったかな。これも座席の記憶はほとんど残っていないのだが、広島駅でカープの選手と一緒になったのは覚えている。通路を挟んで横のシート。やっぱりプロ野球選手はグリーン車なんだ、と(当たり前だが)感心し、しかし野球に興味がないのでなんという選手かはわからなかった。あんまりチラチラ見るのも失礼だし。で、すぐに自分は寝てしまった。高い追加料金払っても、寝るんだったら一般シートでいいじゃねえか、という気がこうして書いている今、してきた。

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広島駅ホームでファンに取り巻かれていた。2018年5月


特急やらグリーン車とは話が少しずれるが、映画館ではプレミアムシート的なのがあると追加料金を払ってでもそちらを選択する。自分はパーソナルスペースが広く、他人がそばにいるとストレスを強く感じるからである。ただ、プレミアムシートってシート自体は快適にデザインされていても前後の間隔は通常シートと同じなことが多くて、以前六本木のTOHOシネマズで高い席に座ったのに後ろから蹴られたのは残念だった。不思議なんだが、映画館ってどうしてあんなに席を多く作るのだろう。言っちゃ悪いが都心以外の映画館なんて土日の昼時ですら120人定員のシアターに30人かそこらしか入らないなんてザラなんだから、もっと席数を少なくして前後左右の間隔を空けたシアターを一部でも作ったらいいと思うのだが。多少割増料金でも自分は利用すると思う。コロナ禍により、前後左右に他人がいない鑑賞環境がどれほど快適かに気づいてしまった。

 

特急にせよ映画館にせよ、自分は金をいくらか余分に払って快適さを買うことに積極的なタイプということが振り返ってわかった。普段通勤は自動車で、電車には月に一度か二度しか乗らないし都内にちょくちょく出かけるわけでもない、映画館も同程度の頻度でしか行かない、だからこそ可能な選択である。