1泊2日、熱海旅行

先週末、金土で熱海へ行ってきた。

かなり久々な気がする。最後に行ったのがコロナ禍以前だったのは間違いない。

埼玉の自宅からそこまで距離はない。高速使って2時間から2時間半くらい。ただし道中がスムーズに流れていれば。

 

同行者と待ち合わせして10時頃出発。

最初はスムーズだったが厚木の手前あたりから渋滞しはじめる。途中、完全に停止してしまうことも。

え、平日なのになんでこんなに混んでるの?

戸惑う俺に助手席の同行者が、春休み、卒業旅行のシーズンだからじゃないの、と。

すっかり失念していた。

その後も何度か渋滞にハマり、疲れる。

熱海のビーチラインもだいぶ車が多く、いやー観光客が多いなあ、と。俺たちもそのうちの一組だったが。

 

ナビの目的地を宿泊するホテルではなくMOA美術館にしていた。何度か熱海には来ているがここへは行ったことがなかったので今回行ってみることにしたのだ。展示されている美術品よりも、宗教団体の手になる美術館の箱自体に関心があった。熱海駅方面からさらに山を登ることしばし、ようやく到着。駐車場は奥にあると警備員に案内されさらに先へ。住宅の立ち並ぶ細くて急な坂道を登りながら、海の近くでロケーションはいいけれど生活するには随分不便な場所だよなあとの感を抱く。

 

駐車場は広い。チケットを購入して敷地内に足を踏み入れると目の前に一気に相模湾の景観が広がり、思わず、おお、と声が出る。

 

階段を進んで振り返れば箱自体もデカい。しかもこの施設は横にデカいだけでなく縦に階層が広がっている。あとで知ることになるのだが警備員に案内されたエントランスからここまで来るのに長いエスカレーターを7つ経由することになるほど。

 

久しぶりに見た海をしばし眺めていると寒くなってきた。晴れてはいたが気温が低い。伊豆のあたりは冬でも温暖なイメージがあったが熱海はそうでもない。ここは標高が高いせいか埼玉より寒く感じた。風は吹いていなかったが。写真でもわかるように芝生でくつろいでいる人も大勢いたがよく寒くねえなあと。

 

どこから入ったらいいのかよくわからず、適当に入れそうな扉から館内へ。エスカレーターを下ると天井に万華鏡が投影されたホールに出た。

 

一瞬ごとに色も図像も変化し続ける。映えスポットらしく多くの人たちが写真を撮っていた。自撮り棒も許されている様子。また親切にも自撮り用にスマホが置ける台も複数用意されていた。ここがこの美術館一番の見どころだろうか。椅子があったので腰掛けて頭上の映像を眺める。宗教団体の絡み…と見るのは偏見だろうが、ハトがクローバー? を咥えて飛んでいるような図にらしさを覚えた。客は若い男女が多い。8割くらいがそうか? 家族連れや俺たちのような中年は少ない。同行者が、「同性同士が多い」という。たしかに、カップルもいるにはいるがそれ以上に同性のグループの方がはるかに多く見受けられた。同性同士の方が気兼ねがなくて楽なのかもしれない。俺は頷き、「女の子は二人連れが多いが、男の子は複数人のグループが目立つ」と付け加えた。

 

上層から来ると館内図が見当たらず、エスカレーターをいくつも降りて最下層の受付へ。そこで入手するも現在位置がよくわからない。日本庭園のある場所へ出たかったので行き方を質問するとエスカレーターを7つ昇った先だと案内される。「エスカレーターを7つ昇れ」。何かの試練のお題目のようでちょっと可笑しくなる。ただ立って運ばれるだけだから試練でも何でもないが。

 

7つ昇った先で美術館への入り口を発見。この時は企画展「江戸の美人画」をやっていた。最後まで回ってわかったのだが西洋美術は展示していない様子。秀吉の黄金の茶室のレプリカもあった。俺自身の関心として最近はあまり絵への興味がなくて、それより彫刻や陶磁器なんかの立体物の方が見て楽しく感じる。美術館や博物館の周り方、他の人たちはどうしているのだろう。俺は適当に気に入ったのだけ見て、飽きてきたり人が多かったりするとそのままスルーしてしまう。全部見て回ると疲れるし、時間がかかるし、集中力が続かない。本当に関心がある対象だったら飽きずに見続けていられるのだろうが。例えば藤子・F・不二雄とか。お勉強的な感じの展示は教養がないのでどうも。

 

hayasinonakanozou.hatenablog.com

 

日本庭園はこんな感じ。時代劇のセットみたい…とは浅薄にもほどがある感想か。もう少し遅ければソメイヨシノが満開だったんだろうがちょっと時期が早かった。俺は美術館の展示よりも、その箱や庭、つまり空間に関心がある。歩いていて楽しい、刺激を受ける、というのが体験として好きなのだ。

 

館内のカフェでトシ・ヨロイヅカとのコラボケーキを提供中と案内があったので絶対に行こうと思っていたのに、店の前まで来たら14:20で既にクローズになっていたので落胆する。

 

MOA美術館、教養のない俺には展示はイマイチだったが箱のデカさは体感できたので来てよかった。床とか大理石じゃないのか。財力のなせるわざであろう。駐車場からの眺めもよかった。

 

美術館を出てホテルへ向かう。途中通った熱海駅前はかなりの混雑だった。

宿泊するのはホテルニューアカオ。着く頃になって雨がぱらつきはじめた。

昭和レトロな佇まいで有名なホテル。熱海へは来るたび国道沿いのミクラスに泊まっていたのだが去年閉館してしまっていた。残念。オーシャンビューの露天風呂、かなり好きだった。俺と同行者の最初の旅行先でもあったので思い出の宿だったのだが。

 

かなり人が多くチェックインで待たされる。やはりシーズンだったのだろう。人混み嫌いな俺なのに、迂闊。とはいえ弊社カレンダー的に直近ここしか平日休みがなかったのだから仕方ない。

 

余談だが、以前こういうはてな匿名ダイアリーがあった。

anond.hatelabo.jp

いやはやまったくそのとおりで、俺なんか金を遺す子供もいないんだからオルカン投資なんざほどほどに、ダイ・ウィズ・ゼロ精神でやっていけばいいじゃん、てもんなんだが、金の使い道としての旅行、サラリーマンだと結局世間一般と同じカレンダーでしか行けない。従って割高な上、混雑しているシーズンを避けられない。オフシーズンの安くて人もいないタイミングで行けるなら俺だってバンバン旅行しまくるが、人が多くて金も高い、一番コスパ悪いタイミングで行ったって楽しいより不快な思いする確率の方が高く、だったら行かなくていいや〜、家でゴロゴロしよ〜という考えになってしまうので結果金を(あまり)使わない、というのはある。コト消費、もっとしたいんだけどな。

 

受付で、地上1階だと思っていたらここは地上17階だと言われたまげる。ここ、そんな高さだったのか。たしかに海抜0mを1階とするとかなり上の方ではあった。エレベーターで自室のあるフロアまで移動。新館とは15階で繋がっている。同行者が迷いそう…と言っていたが後に案の定迷子になった。

部屋はこんな感じ。見慣れぬタイプのエアコンが。リフォームされているらしく壁紙とかは綺麗。掃除も行き届いている。ただ、どうも全体的にくすんだ感じは否めず。好意的に解釈すればレトロな味だろう。壁、床が薄いようで、天井から上の部屋の足音が筒抜けなのは参った。俺はホテルは新しければ新しいほどいい、という考えだが、昭和レトロってどんなもんだろう、という好奇心から今回宿泊させてもらった。同行者は満足な様子だったのでよかった。

エレベーターは4基あるものの広い階層を行き来するので待たされる。館内がかなり広く距離を歩くことになるので足が悪い人には負担かもしれない。高齢者の宿泊客も目についたが。

 

風呂は本館に一つ、新館に二つ。移動がだるいのでとりあえず本館の露天風呂へ。人はほとんどいなかった。夕方、夕食会場へ。よくXに写真が投稿されているどでかいホール。ピアノが置いてあって生演奏もあった。千と千尋のメインテーマがよかった。ビュッフェ形式、とにかく人が多くて並ぶ。サラダ、マグロとサーモンとイカの刺身、マグロの握り、ピザ、ステーキ、ローストポーク、肉野菜炒め、おでん、大体そんな感じのものを食べた。あとデザートとドリンク。味はファミレスと同じくらいかな、という印象。ロイヤルホストには負けてるかもしれない。ポットの煎茶がとても美味しかった。さすが静岡。

 

食後、館内をぶらぶら。ゲームセンターやカラオケや缶詰バーがある。自販機や売店はあるがコンビニはない。近くにもなかったと思う。

 

夜は面倒になって風呂に入らず就寝。

翌朝、5時に起床。新館のオーシャンビューの風呂が5時からだったので慌てて向かう。しかし入るなり露天は10人以上が浸かっていて満員な様子。げえ。体洗って内湯に浸かり海を眺める。風呂の位置的に日の出は見えない。徐々に群青から明るくなっていく海が見えるのみ。それにしても人が多い。これだけ人が多いホテルに泊まったのは初めてかもしれない。

 

朝食も、空いていると案内された7時に会場へ向かったが行列ができていた。空いていると聞いてみんな殺到する逆パターンが発生した気も。ビュッフェ、めちゃくちゃ並んじゃって心折れそうに。サラダと味噌汁とご飯を食べてたらだんだん人が減ってきたので取りに行った。これだけの人数がいるのに全員を収容して多く感じさせないホールの広さ、途轍もない。

 

ご飯にしらすと小エビと明太子トッピングしたのとサラダと味噌汁とソーセージ、目玉焼き、サバの切り身、切り干し大根、ほうれん草のおひたし、納豆、あとフレンチトースト、ヨーグルトを食す。ご飯お代わりした。フレンチトーストが旨かった。

 

チェックアウトは10時。外は雨だった。天気予報を見ると一日雨の模様。

駐車場すぐそばにある、花の妖精というカフェに寄る。

相模湾を望むロケーションでパフェを(シェアで)食す。

 

本当は熱海駅前の商店街やビルで買い物や買い食いをしたかったのだが、雨なのと、人および車の多さに辟易して予定変更。とりあえず帰路につき、途中お土産が買えそうなところがあったら寄ろうとなる。「来る途中に鈴廣があったね」と同行者。たしかにあったが熱海のお土産じゃない…というか静岡ですらない…。

 

…といいつつ、ロードサイドの大きな鈴廣に寄る。イートインで五目がんも棒を食す。

結局ここで両親と自分へのお土産を購入。蒲鉾、伊達巻、チューハイ。

 

帰り、雨の高速道路。

スムーズだったが途中八王子で事故渋滞。最新ナビのおかげ? なのか、勝手に混雑回避で下道ルートに通される。八王子で降りて、入間まで下道で。入間の三井アウトレットに寄ってモンベルでトレッキングポールを買いたかったのだ。速乾のマフラータオルと合わせて購入。2万円オーバー。トレッキングポール、カムロックのアンチショック、1本1万円以上した。げえ。一体いつ使う予定があるのだろうか。最近全然山行けてないのに。

 

フードコートのよしかわで遅いランチ。名古屋コーチン中華そば、醤油。

アウトレットもまあまあ混んでいた。みなさん、何をそんなに買い物しに来るのだろう? 人が多くて疲れるのでさっさと出る。出て、近くにあるミスドで一服。だらだら喋ってから解散。

 

天気に恵まれ、人が少なかったらまた印象が違ったかもしれないが、今回の旅行は疲れが勝った。満足っちゃあ満足だが、大満足というほどではない。ニューアカオのような昭和レトロなホテル、日本にまだ経済的な余裕があった時代の建築ゆえその箱物としての壮観は圧倒的だが、経年による劣化は必ずあるもので、それを味ととるか否かで評価が分かれそう。ハトヤホテルやホテル川久、行ってみたい気持ちがあったがはたして令和の今行ってどうだろうか。高度経済成長期、バブル経済期、そうした物語込みで楽しむ心構えが必要な宿かもしれない、と考えを新たにした。いや、実際に行ってみないことにはわからんが。金はなんとかなるから、今は休みがほしい。