曇天の浅草・両国散歩

某ホテル予約サイトのポイント期限が近かったので浅草に一泊してきた。浅草を選んだ理由は安くていいホテルがそこで見つかったから。ポイントを利用して二名素泊まり6000円程度。浅草へ行くのは久しぶりで…いつ以来だろう。一度浅草寺にお参りしたことがあるが…もしかしたら11年ぶりかもしれない。2011年にまだ建設途中だった東京スカイツリーの工事現場を見たついで(その逆だったか?)以来のような気がする。以下の記事の写真を撮ったとき。

 

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遠いし、何か買い物するというのでもないし(買い物ならほぼ近場で間に合ってしまう)浅草に行く機会がない。若い頃は用のない休日は美味しいお店に行くなんてこともしたが歳食ってからは億劫で食の趣味は疎遠になった。行くのはチェーン店ばかり。

 

土曜日。曇り。夕方から雨の予報が出ていた。午後に女の人と現地集合の約束だったが30分ほど遅れるとLINEが来たのでとりあえず駅を出て浅草寺にお参り。雷門の前が混雑しているでもなく仲見世商店街も人が多すぎて歩きづらいほどではなかったのでコロナの影響が強く及んでいるのだろう。浅草寺の賽銭箱の前ではちょっと並んだ。お参りしてもまだ連絡が来ないので境内を散策。犬の散歩ができるらしくいいなと思った。一通り散策したのちおみくじを引くと人生初の凶。項目全部ネガティブに書かれていて笑ってしまった。凶のおみくじのみ指定場所に結んでいいとあったので結んでご縁をつくってきた。で、ベンチに座って休憩していると女の人が来たので合流。ホテルにチェックインする。

 

室内でコーヒーを飲みながら菓子をつまんでだらだら喋っていたら五時近くなってきたので夕食の調達へ。来る前はどじょうかとんかつかと迷っていたのだが、この日は前日からの頭痛がまだ残っていて店で食べる気分でもなかった。駅そばにあるケンタッキーで30パーセントオフの告知を見て、ああ久しぶりにケンタ食いてえとなった。連れも同意してくれたので、ただそれだけだと栄養バランス的にアレだから松屋の地下で惣菜サラダも買った。ビールも。この頃にはぽつぽつ雨が降り出していた。ケンタのセットは1500円でオリジナルチキン5個、クリスピー4個と結構な量。食べ終わったら満腹に。食後少し寝る。そのあと風呂に入ってアンドロイドTVだったので鬼滅の刃を二話ほど見る。カーリング女子の決勝進出のニュースも少し。北京五輪はほぼ見ていない。ニュースのスポーツコーナーで結果を知るくらい。資本主義の祭典。でも一所懸命プレーしている選手たちには敬意を。

 

翌朝。普段の習慣通り6時頃目が覚める。カーテンを開けると雨。まだ少し頭痛の余韻あり。だがせっかく来たのだからと、起きて着替えて傘とカメラを持って一人浅草寺へ。朝のお参りと記念の撮影。珍しくミラーレス一眼を持ってきたのだが傘差しながらの片手撮影でぶれまくり、iPhoneで撮った方がずっと綺麗に撮れていたのは惨めだった。こんな天気の日曜朝6時じゃあ俺以外誰もおるめえと思っていたら案に相違して結構な数の人が来ていてさすがの観光名所と感心した。

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まだ暗い中一部が点灯していていい感じだった

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ちょうどその時間だったのかお坊さんがお経をあげていた

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雷門とスターバックス

お参りを終えてセブンイレブンで朝食を買って部屋に戻る。食べて、Kindle読書していたら眠くなってきたので二度寝。明るくもうるさくもできないからと女の人はその間に散歩に出ていたとは起きてから知った。コーヒーを飲みテレビを少し見ていたらチェックアウトの時間。時間が過ぎるのは早い。ホテルを出る頃には雨は上がっていたが空はどんより。行くあてもないのでとりあえず隅田川の方へ。水がある方へ行きたくなるし橋があれば渡りたくなる性分。吾妻橋を渡りながら東京スカイツリーを遠くに眺め、路上の案内表示を見て旧安田庭園にでも行ってみるかと川沿いに歩き出す。たぶん一度行ったことがあるような気がした。歩いていると何人ものランナーとすれ違った。

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どんより

 

刀剣博物館の裏が目的地。着くと有料かと思っていたのに無料と知り嬉しくなる。昔の金持ちが作った庭をプロレタリアが無料で散策できるとは。自分たちの他にほとんど人もおらずベンチに腰掛けて心字池の鴨を眺める。眺めながら今読んでいる『魔女の子供はやってこない』の話を連れに聞かせる。あまり乗ってこなかった。日比谷公園の池も心字池と言わなかったか。

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ごちゃごちゃうるさい写真

ダラダラ喋っているうちに腹が減ってきたので出発。両国駅の方へ出て、去年ここへ古代エジプト展を見に来たのを思い出す。あーここに出るんだ、と。プルーストの二つの「方」じゃないが、まったく別の場所だと思っていた二箇所が実はつながっていたと発見することには不思議な感動がある。ちょっと高揚した。東京の人にしてみれば何言ってんだという感じだろうが。

 

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ここまで来ることなんて滅多にないから食事のあと江戸東京博物館に寄ることにする。昼飯はサイゼで。昨日から野菜が足りていなかったので野菜をたくさん注文した。ブロッコリーのひたひたって新メニューのがいいと思った。あとはラム肉の串焼きとスープとガーリックパンを。浅草・両国でケンタとサイゼで食事ってやべえかな、と思いつつ、変に非日常を意識するのもだりいなあとも。連れは何も言わなかったが内心どう思っていたのやら。

 

江戸東京博物館の常設展はかなり充実しており満足度が高い。江戸時代から近代にかけての発展の歴史はちょっとお勉強感強く早足で通り過ぎた。関東大震災東京大空襲の展示を見ると東京全域で人が死んでいない場所なんてないだろうし、今更事故物件とか言って騒ぐのは平和ボケだと感じる。一番面白かったのは高度経済成長期から現代にかけての展示。1959年の団地の部屋のノスタルジー。『秋刀魚の味』で見た! みたいな。そりゃそうに決まっている。自分が子供の頃も自宅は和式便所だったがタイル張りだった。風呂場も同じ。展示は木なのでもっと古い。風呂は結構なノスタルっぷりだった。でも五右衛門風呂じゃない。父方の実家はトイレも風呂も家の外にあった。トイレは汲み取り式、風呂は今は亡き祖母が薪を燃やして湯加減を調節してくれた。木板を踏んで入る。外から「熱くないかい?」今だったらすげえ楽しめるだろうけれど子供の頃は怖くて祖母の家へ行くのは憂鬱だった。今はリフォームして普通の風呂・トイレになっている。

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今思うとぶら下がってるジャラジャラって何の目的があったんだろう

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風呂がやばい。玄関扉は令和の今でもまだあるような

流行のアイテムとかファッションが展示されているコーナーもよかった。ラジカセとか初代ファミコンとかボディコンのドレス? とか。自分の青春期は1990年代。「東京ラブストーリー」「ポケベル」「Windows95」「iMac G3」「コギャル」まさにその時代。パソコン関連は当時無知無関心だった(当時だったか、MacのCMのキクチモモコさんの記憶は今も鮮明に残っている)。展示を見て説明文を読んでいるとだんだんと妙な気分になった。自分にとってはついこないだ──とまでは言わないにせよそれほど遠い過去とは思えない時代が、実際にはすでに歴史の一部となっているという事実に、俺は四十年以上生きて今ここにいるんだなあと。そりゃ歳とるはずだ、あと五年も生きれば50年生きたことになるわけで、こんなふうにして誰もが歳をとりやがて死んでいくのだろう、子供を持たない中年独身男性ゆえ歳くった実感を抱きにくい。要は現実の時間と体感時間の齟齬を目の当たりにして戸惑ったのだ。

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後ろのモニタでは広末涼子docomoのcmが流れていた

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「執着した」って文言が素晴らしい


博物館には二時間ほど滞在した。JAF割引利用で一般480円、それでこれだけ楽しめたらかなりコスパいいスポット。つまらない映画を見るよりよっぽど充実した時間を過ごせた。博物館って行ってみると楽しい。日本橋だかにあるお金の博物館も楽しかった記憶がある。美術館と違って基本的に撮影可なのもいい。

 

で、満足して帰宅。この日の歩数は11439歩。よく歩いた。