懐かしさと可愛さと奇想が絶妙にブレンドされた世界──panpanya『商店街のあゆみ』

『ぱらのま』経由で『楽園 Le Paradis』を知りそこでこの可愛い少女が出てくる漫画の存在は知っていた。可愛い少女とリアルな背景の組み合わせ。でも読むまでにはいたらずこれまで来た。何かで(Xで?)今月新刊『商店街のあゆみ』が出ると知り、それまでな…

最後の一文がずるい 飛鳥部勝則『堕天使拷問刑』を読んだ

堕天使拷問刑 (ハヤカワ・ミステリワールド) 作者:飛鳥部 勝則 早川書房 Amazon 復刊の報を知り購入。『魔女考』『針女』の付録ありバージョン。 著者についての知識はなかったがXが本書の復刊に盛り上がっていたのでなんとなくで購入。届いた本は450頁を越…

ナポレオン、黒毛和牛バーガー、露天風呂

本日、弊社カレンダーにより休日。 嬉しい平日休み。と言っても夜勤明けなので寝て終わり。 …のはずなのだが諸条件により動けた。 珍しい。こんなこともある。 それでも帰宅して外出するのは躊躇われた。眠気は急にくる。それに俺はもう若くない。体の無理は…

「この世のものは何であれいつか終わる」──ミシェル・ウエルベック『滅ぼす』を読んだ

滅ぼす 上 作者:ミシェル・ウエルベック 河出書房新社 Amazon 滅ぼす 下 作者:ミシェル・ウエルベック 河出書房新社 Amazon ブクログによると読み終えたのは8月末。なので読んでから4ヶ月以上が経っている。 もうすでに細部はおろか全体についてさえ記憶は薄…

絶賛大掃除中

休日の昼過ぎ。急にスイッチが入ったので部屋の掃除を始めた。 先月中旬くらいから少しずつ掃除、片付けを始めている。短期間で一気にやるのではなく少しずつ時間をかけて終わらせていくスタイルが自分には合っている。今週末はこれだけやる、とプランを立て…

「闇の深い世界ですね、ナチの美術品取引というのは」──『ヒトラーの馬を奪還せよ 美術探偵、ナチ地下世界を往く』を読んだ

ヒトラーの馬を奪還せよ ――美術探偵、ナチ地下世界を往く (単行本 ) 作者:アルテュール・ブラント 筑摩書房 Amazon 第二次世界大戦終盤、ベルリン攻防戦のさなかで破壊されたと思われていたナチスお抱え彫刻家ヨーゼフ・トーラックによるブロンズの馬(『闊…

首! 首! 首! 映画『首』を見た

荒木村重の反乱から本能寺の変を経て山崎の戦いまで。 監督自身が演じる秀吉は観察者のよう。一歩引いて状況を見ている。ストーリーの中心にいるのは彼ではなく信長。加瀬亮演じる信長は狂人にしか見えない。言動がめちゃくちゃで、とんでもないニヒリストが…

背筋『近畿地方のある場所について』を読んだ

近畿地方のある場所について 作者:背筋 KADOKAWA Amazon カクヨムにアップされていたのを今年3月にはてブ経由で知った。当時は「ネット掲載情報4」まで。更新されるたびリアルタイムで読んだ。 kakuyomu.jp その後書籍化。当初は電子版を購入するつもりだっ…

晩酌やめて10日が経過した

なんとなく続けていた晩酌をやめて10日が経過した。 上の写真は2週間の酒量。大した量じゃない。 晩酌は帰宅後のルーチンだった。風呂入って飯食ってから自室に引き上げ適当なつまみと一緒に一杯。デュワーズは暖かい季節ならロックで、寒くなってきたらスト…

冬がはじまるよ

すでに始まっているが。 実家に暮らしている。築40年の木造住宅。昨年の秋リフォームして二重窓にしたもののアルミサッシなので樹脂サッシほどの断熱効果はない。それでもリフォーム前に比べたらマシになっているのだろうがその頃は物置部屋だったので比較し…

当事者たちの貴重な体験を聞く 永田豊隆『妻はサバイバー』 小林エリコ『この地獄を生きるのだ』

妻はサバイバー 作者:永田 豊隆 朝日新聞出版 Amazon 著者は新聞記者。妻を20年にわたって介護している。 妻がかかる病い、示した症状は摂食障害、トラウマによる解離、自殺願望、精神疾患による入院、アルコール依存症、大腿骨頭壊死症、認知症。 食べては…

もうめでたくない日2023

素で忘れていたが誕生日なのだった。 女の人からLINEが送られてきて気づいた。 40過ぎたくらいから誕生日を意識しなくなった。日常に自分の誕生日より他にもっと意識が向くことがあり、相対的に価値が低くなってしまった結果忘れてしまうのだろう。それとも…

現代社会への諷刺と問いかけ──映画『正欲』を見た

ダイバーシティや多様性を謳う現代への強烈な諷刺。 多様性の尊重と言ったってそれは普通の人たちが理解できる範疇にのみ適用されるのであってそこからはみ出した人間には適用されないんでしょ? という。 彼らは外見上は一般の人たちと同じで区別がつかない…

春日武彦『自殺帳』を読んだ

自殺帳 作者:春日武彦 晶文社 Amazon 精神科医による自殺に関するエッセイ。 自殺という行為を「その不可解さがもはや珍味と化している事案」として考察する。以前著者の『屋根裏に誰かいるんですよ。』を読んだが、あれと同じような、対象を突き放すクール…

レジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』を読んだ

ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち (集英社新書) 作者:レジー 集英社 Amazon ここ数年、ビジネス書には教養のタイトルが使われるものが増えているという。 小説、映画、美術、音楽等の教養を手っ取り早く身につけ、それをビジネスで活かし、成功して金…

不死身のゴジラ、不死身の浜辺美波 映画『ゴジラ -1.0』感想

タイトル、ネタバレになっているが公開されて1週間経つからもういいだろう。 去る11月3日に見てきた。この日は文化の日、そしてあとで知ったのだがゴジラの日でもあったという(1954年11月3日に初代ゴジラが封切られたとのこと)。あとで知ったくらいだから…

SNSの問題点について──戸谷洋志『SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ』を読んだ

SNSの哲学: リアルとオンラインのあいだ シリーズ「あいだで考える」 作者:戸谷 洋志 創元社 Amazon SNS(主にInstagramとX)から承認欲求、時間、炎上、アルゴリズム、連帯について考える。タイトルに哲学とあるようにこれらの問題を考えるのにヘーゲル、ハ…

蒐集──これも生きる者のサガか… とみさわ昭仁『無限の本棚』を読んだ

無限の本棚 増殖版 (ちくま文庫) 作者:昭仁, とみさわ 筑摩書房 Amazon 著者の開店した古書店について(現在は閉店している)、自身の蒐集家としての来歴、そして蒐集という行為についての考察、大体そんなことが書いてある。俺ももう30年近く本を買い集めて…

206分でも最後まで飽きずに見られた 映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』感想

上映時間がやばい。206分。でも『アイリッシュマン』が209分だったから少しだけ短くなっている。誤差の範囲だが。『アイリッシュマン』は退屈で途中何度もうとうとしてしまったが本作は終盤で少しだれたものの(要らなくねえか? と思えるシーンがいくつか)…

便利でつまらなくなったインターネットについて

わかってるわかってる。おっさんは自分が歳食ったせいで楽しめなくなっただけなのに「〜は終わった」「〜は死んだ」「もうあの頃の〜は帰ってこない」って言いたがるよな。よくわかってる。そんなん言ったって何も変わらないし周りの人を不快な気持ちにさせ…

AirPodsとApple Watchを売ってApple製品の束縛から(少し)自由になる

初代AirPodsとApple Watch3を売却した。 前者は2019年1月に18000円で、後者は2020年8月に30000円くらいで購入。 近所の某店で前者は2000円で、後者は6000円で買い取ってもらった。相場を調べると大体そんなところっぽい? Watchはケースを付けず裸で使用して…

金曜の夜、サービスエリアで

だから仕事終わりに高速に乗ったのだった。 気まぐれと感傷。 気まぐれはいつもそうだ。では感傷は? 7年乗った車をあと3週間ほどで手放す。それなりに思い入れがある車だ。色々な場所へ乗って行った。まめに洗車をしているのでパッと見は綺麗に見えるが乗っ…

『現代思想2023年10月号 特集スピリチュアリティの現在』を読んだ

現代思想 2023年10月号 特集=スピリチュアリティの現在 作者:栗田英彦,橋迫瑞穂,石井ゆかり,鏡リュウジ 青土社 Amazon 今年は例年になくよく雑誌を読んでいる。この『現代思想』も、『本の雑誌』『スペクテイター』『SFマガジン』『ユリイカ』『週刊ダイヤ…

『原理運動の研究』『週刊ダイヤモンド 巨大宗教「連鎖没落」』を読んだ

原理運動の研究 (ちくま文庫 ち-20-1) 作者:茶本 繁正 筑摩書房 Amazon 旧統一教会研究の古典であるという。品切れだったがちくま文庫で復刊。刊行が1977年なので情報としてはかなり古い。が、1980年代から90年代にかけての新興宗教全盛時代へ向かって右肩上…

新宿散歩(断念)

藤子・F・不二雄ミュージアムからの帰り。 hayasinonakanozou.hatenablog.com 新宿で小田急を降りてヴィアイン新宿に宿泊した。 ミュージアム内を歩き回って疲れていたし(1万歩ちょっと歩いた)、コロナ第9波と言われる今、新宿をうろつくのは躊躇われた。…

藤子・F・不二雄ミュージアムへ行ってきた

登戸にある藤子・F・不二雄ミュージアムへ行ってきた。 長くなるので先にこれだけ書く。 藤子・F・不二雄ファンまたはドラえもんに思い入れがある(あった)人ならかなり楽しめるので行ってみるといい、と思う。自分はかなり楽しめた。 以上。 以下は自分語…

週末、夜歩く

この週末、急に秋がきた。 涼しい、というか半袖だと寒いくらいで(室温24度)土日とも自室のエアコンをつけずに過ごした。 土曜日の夕方から夜にかけてかなり強い雨が降った。 何年も車のフロントガラスの油膜除去をしておらず、雨のたび雨滴を弾いて、それ…

他人との近過ぎる距離が不幸の源である──鶴見済『人間関係を半分降りる』を読んだ

人間関係を半分降りる ――気楽なつながりの作り方 作者:鶴見済 筑摩書房 Amazon 冒頭に「人間の悩みはすべて対人関係の悩み」という心理学者アドラーの言葉が引かれている。さすがにすべてではないだろう、金銭や健康の悩みも中にはあるだろう。でも世の中の…

シン・夜勤マンの憂鬱、あるいは冬眠への憧憬

枕のシンにとくに意味はない。語感がいいので付けた。 9月も下旬だというのに今日も最高気温35度だかで真夏のような一日だった。 しかし朝と夜はだいぶ涼しくなった。もう夏じゃない。秋だ(にしては暑い日がまだ続くみたいだけれど)。夏は終わった。 ここ…

映画になったら面白そう──チャック・パラニューク『インヴェンション・オブ・サウンド』を読んだ

インヴェンション・オブ・サウンド 作者:チャック パラニューク 早川書房 Amazon 失踪した娘を何年も探している男。 人が絶命する瞬間の叫び声を録音している音響技師の女。 まったく別の人生を歩んでいるはずの二人の人生、二つの物語はやがてひとつになる…