2021-01-01から1年間の記事一覧

押井守『シネマの神は細部に宿る』を読んだ

シネマの神は細部に宿る 作者:守, 押井 東京ニュース通信社 Amazon 押井監督が自身のフェティシズムの観点から映画を語る。まえがきがいい。世に数多ある名作傑作の類いはせいぜいが数度見ればもう繰り返し見ることはない。その一方で、褒められた出来ではな…

『Qアノンの正体/Q:INTO THE STORM』を見た

U-NEXTで。Qアノンと呼ばれる陰謀論がアメリカ国内で次第に影響力を増していく過程を追ったドキュメンタリー。全六話。ヘイトと分断を扇動するQとは誰で、その目的は何か、という謎を追うミステリ的要素の引きが強く、一晩で一気見。加齢により物語に熱中す…

ワクチン接種1回目

ようやく1回目のワクチン接種を受けることができた。ファイザー製コミナティ。どうせ受けるのだから半袖の季節に終えてしまいたかった。夏に職域接種を受ける機会があったが、本社のある都心まで電車で行くのが億劫で受けなかった。1回目、2回目ともに接種日…

津野海太郎『最後の読書』『百歳までの読書術』を読んだ

最後の読書 (新潮文庫) 作者:津野 海太郎 新潮社 Amazon 百歳までの読書術 作者:津野 海太郎 本の雑誌社 Amazon 『歩くひとりもの』から時が経った。あれは中年本だったが今度の二冊は老齢本。著者はすでに後期高齢者である。 hayasinonakanozou.hatenablog.…

最近眠れない

ここ二週間程度どうにも眠れない。これまでは、日付が変わる前には自然と眠くなりそのまま翌朝6時頃まで、途中トイレに起きることはあっても大体毎日7時間程度眠る生活を送っていた。それが変わったのが先月のお盆休み頃から。コロナ禍によりステイホームが…

映画『東京自転車節』を見た

この映画、気になってはいたんだが上映館が少なくて見る機会なく。動画配信サービスに来るまで待っていればいいか…と思っていたが、「たまむすび」で町山さんの紹介を聴いてどうしても見たくなり、ニコニコ動画のみ有料配信をやっているというので何年も前に…

映画『くじらびと』を見た

MOVIX昭島で鑑賞。土曜日昼の回で20人程度。上映開始5分前まではガラガラだったが時間が近づくにつれ人が入ってきた。外国が舞台のドキュメンタリーとしてはまあまあな入りではないかと。 舞台はインドネシアの漁村。火山岩が地盤の土地のため農作物が育たず…

ヴァージニア・ウルフ『病むことについて』を読んだ

病むことについて 新装版 作者:ヴァージニア・ウルフ みすず書房 Amazon エッセイ及び書評14編、短編小説2編を収録。 表題作は、病気はなぜ文学のテーマにならないのか、という魅力的な問いから始まる。文学にとっては常に精神が関心事で、肉体の苦痛につい…

『柳下毅一郎の特殊な本棚』を読んだ&DMMブックスアプリの操作性について

柳下毅一郎の特殊な本棚 作者:柳下毅一郎 本の雑誌社 Amazon どこから見つけてきたんですか? と訊きたくなるような特殊な本ばかりを集めた書評集。大手出版社の本もいくらかは混ざっているが、大半は聞いたことのない中小出版社の本や海外の本、官公庁の出…

映画『オールド』を見た

日曜とはいえ結構客の入りがよかった。70人くらい? シャマラン作品って人気あるんだ。自分は『ヴィジット』に感動したクチである。でもそのあと見た『ヴィレッジ』が退屈過ぎて、続けてシャマラン映画を見る気がなくなってしまった。『サイン』、あらすじを…

私が引きこもりだった頃

令和元年に起きた川崎の事件について書いていたら、20代の頃2年間引きこもっていたことを思い出したのでその件について記録として残しておく。もう20年近く前のことだから当時の記憶も薄れつつある。 hayasinonakanozou.hatenablog.com 引きこもった原因はよ…

磯部涼『令和元年のテロリズム』を読んだ

令和元年のテロリズム 作者:磯部涼 新潮社 Amazon 令和元年に起きた三つの事件、川崎登戸通り魔事件、元農水事務次官長男殺害事件、京都アニメーション放火殺人事件をテロリズムと分類して現代日本社会を分析する。東池袋自動車暴走死傷事故、常磐道煽り運転…

映画『孤狼の血LEVEL2』を楽しみ、映画泥棒に遭遇する

ユナイテッド・シネマ入間12:00からの回で鑑賞。観客は30人弱程度。前作が面白かったので続編の公開を楽しみにしていた。端的な感想としてはかなり面白かった。見る前は松坂桃李の前作からの豹変ぶりを楽しみにしていたが、実際に見たら鈴木亮平が完全に主役…

映画『ドライブ・マイ・カー』を見た

カンヌで脚本賞を獲ったと話題の本作を見る前に、濱口竜介監督の予習のつもりでアマプラで『寝ても覚めても』を視聴したら思いのほか気味の悪いいい映画だった。アマプラで寝ても覚めても視聴。めちゃくちゃ感情を揺さぶってくるから見ていて疲れた。こんな…

仲正昌樹『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』を読んだ

悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える (NHK出版新書) 作者:仲正 昌樹 NHK出版 Amazon 本書は政治哲学者ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』と『エルサレムのアイヒマン』から全体主義発生のメカニズムと「悪の凡庸さ」について考察する。アーレ…

『車谷長吉の人生相談 人生の救い』を読んだ

車谷長吉の人生相談 人生の救い (朝日文庫) 作者:車谷 長吉 朝日新聞出版 Amazon 著者の本を読むのは久しぶり。一時期好きで結構読んだ。一番よかったのは『赤目四十八瀧心中未遂』で間違いない。短篇の「漂流物」もえぐくてよかった記憶がある。この人の小…

夏季休暇終了。視聴した映画の感想など

緊急事態宣言下の夏季休暇。そんなもの無視して出かけるのも一つの考えだろうが、万が一にも感染すれば損を被るのは結局自分である。家族を危険に晒すリスクもある。だから従わざるを得ない。昨年に続き今年もステイホームの夏季休暇。しかし東京都知事はさ…

モンテーニュ『エセー抄』を読んだ

モンテーニュ エセー抄 新装版 作者:ミシェル・E・ド・モンテーニュ みすず書房 Amazon 箴言の宝庫のような本。各章まずテーマが示され、それについて自身の経験や読んできた本の引用などが続き、やがて話題が少しずれていく。とりとめないというか融通無碍…

ヴィリエ・ド・リラダン『残酷物語』を読んだ

ヴィリエ・ド・リラダン・コレクションの第一弾。『未来のイヴ』『クレール・ルノワール』と続くとの告知。小説を集めたコレクションであるようで「生活なんてものは召使いにさせておけ」の台詞で知られる戯曲「アクセル」が収録される予定があるかどうか微…

映画『ドント・ブリーズ2』を見た

緊急事態宣言下であるが映画館ならば換気あり対面なしなのでいいだろうとイオンシネマ板橋にて鑑賞。途中東上線の乗り継ぎを間違えた。電車は月に一度乗るかどうかなのでよく間違える。雨の日、傘を持って電車に乗って映画館へ行くのはだるい。 早めに家を出…

連休中に視聴した映画の感想

金曜から月曜まで有給も使っての四連休。埼玉県の新型コロナ新規感染者数が1000人を超え、今月いっぱいは緊急事態宣言が適用される。当方未だ一回目のワクチン接種もできていない状況。というわけでせっかくの夏の連休であってもステイホームせざるを得ず。…

蓮實重彥『見るレッスン 映画史特別講義』を(一応)読んだ

見るレッスン~映画史特別講義~ (光文社新書) 作者:蓮實 重彦 光文社 Amazon Kindle版が50%ポイント還元対象だったので購入。だが自分が求めている内容ではなかった。関心が持てたのは全体の半分程度。そのあたりを読んであとは適当に読み飛ばした。40分く…

映画『パンケーキを毒見する』『返校 言葉が消えた日』を見た

1ヶ月ぶりに映画館へ。そしてハシゴ。 『パンケーキ』は菅義偉首相の人物、現在の政権の問題点、有権者の意識などをテーマとしたドキュメンタリー。大島新監督の『なぜ君は総理大臣になれないのか』が面白かったので、同じく政治ドキュメンタリーである本作…

ソポクレス『オイディプス王』『アンティゴネー』を読んだ

オイディプス王 (光文社古典新訳文庫) 作者:ソポクレス 光文社 Amazon アンティゴネー (岩波文庫) 作者:ソポクレース,中務 哲郎 岩波書店 Amazon ソポクレスによるテーバイもの三作のうちの二作。『アンティゴネー』を読みたくなったのだがその前日譚たる『…

四連休にしたこと、というか連休中視聴した映画の感想

この四連休、梅雨明けで暑い日が続いたというのもあり四日間ほぼエアコン付けっぱなしにして引きこもっていた。外出はスーパーへの食材買い出しと、最終日の今日歩いて近所のマクドナルドへ行ったくらい。引きこもって、映画を見るか、読書するか(ソポクレ…

石牟礼道子/伊藤比呂美『死を想う われらも終には仏なり』を読んだ

新版 死を想う (平凡社新書0884) 作者:石牟礼 道子,伊藤 比呂美 平凡社 Amazon 伊藤比呂美さんから石牟礼道子さんへのインタビュー的な対談集。テーマは主として死について。 石牟礼さんの戦中・戦後の体験から様々な死について述べられる。空襲が来て防空壕…

ここ最近、配信で視聴した映画

『REVENGE リベンジ』 U-NEXTで。荒唐無稽なバイオレンスもの。前半はだるい。武器を手に入れてからの展開はまあまあ。裸足でガラス片を踏んで、悶絶しながらそれを抜き取るシーンがめちゃくちゃ痛そうで変な笑いが出た。ラストバトルは臨場感あって楽しめた…

吉田豪『サブカル・スーパースター鬱伝』を読んだ

サブカル・スーパースター鬱伝 (徳間文庫カレッジ) 作者:吉田 豪 徳間書店 Amazon 中年本の一冊として。なぜサブカルは四十を過ぎると鬱になるのかをめぐるインタビュー集。リリー・フランキー、大槻ケンヂ、杉作J太郎、松尾スズキ、ユースケ・サンタマリア…

ザ・ペニンシュラ東京に泊まってきた

先日、女の人の誕生日祝いという名目で日比谷のザ・ペニンシュラ東京に泊まってきた。昨年のマンダリンオリエンタル東京に続き、都内ハイクラスのホテルに宿泊するのはこれで二度目。 例年だと年に二回くらい春と夏の休暇に二泊程度の旅行に出かける。が今年…

『押井守の映画50年50本』を読んだ

押井守の映画50年50本 (立東舎) 作者:押井 守 リットーミュージック Amazon まず、自分は押井守監督の熱心なファンではない。『イノセンス』と『スカイ・クロラ』を劇場で見、配信で『GHOST IN THE SHELL』と『パトレイバー』2作を見たことがある程度である…